奥歯のCRを銀歯にとりかえるよう勧められました
相談者:
ハルハルさん (39歳:女性)
投稿日時:2017-03-01 00:43:30
このサイトにはいつも大変お世話になっております。
実は、同じ歯医者さんで、お二人の先生に診ていただいたのですが、お二人の先生のおっしゃる事が違っていて、困惑しています。
一人目の先生からは、
「右下7番にCRが詰めてあるが、そのすぐ横に小さな虫歯がある。
痛みがないなら今すぐ治療の必要はないけれど、虫歯が進行するのが不安ならば、CRか銀歯で治療しておいても良いと思う。
でも奥歯でCRは、強度の面でお勧めしない。
奥歯だと欠ける可能性がある。」
と言われました。
その時は、
「銀歯にします。」
と言って一度予約を取ったのですが、「やっぱり経過観察をしたい。」と考えが変わり、予約はキャンセルしました。
3か月後に、定期検診で伺ったのですが、違う先生でした。
その先生からは、
「虫歯はないけれど、今あるCRは銀歯に変えた方が良い」
と言われました。
理由は、
「CRは縮むから、歯とCRの間に隙間が生じて、しっかり歯を磨いていても隙間から唾液などが入って虫歯になる可能性があるから。
もちろん、『可能性』の話で、必ず虫歯になるとは限らないが。
銀歯は縮まないから、CRよりも虫歯のリスクがない。」
との事でした。
もう虫歯があるのかないのかさえ、分からないのですが・・・
お伺いしたいのは、以下の事です。
@仮に虫歯があったとして、痛みもなく、今すぐ治療の必要のない虫歯を治療するべきか?
ACRは隙間ができて、虫歯が再発しやすいというのは本当か?
B下奥歯のレジンは、強度の問題を考えると銀歯に変えるべきなのか?
レジンを詰めたのは数年前ですが、今の所、何の問題もなく使えている気がするのですが・・・。
先生方のご意見をお聞かせ下さい。
よろしくお願いします。
実は、同じ歯医者さんで、お二人の先生に診ていただいたのですが、お二人の先生のおっしゃる事が違っていて、困惑しています。
一人目の先生からは、
「右下7番にCRが詰めてあるが、そのすぐ横に小さな虫歯がある。
痛みがないなら今すぐ治療の必要はないけれど、虫歯が進行するのが不安ならば、CRか銀歯で治療しておいても良いと思う。
でも奥歯でCRは、強度の面でお勧めしない。
奥歯だと欠ける可能性がある。」
と言われました。
その時は、
「銀歯にします。」
と言って一度予約を取ったのですが、「やっぱり経過観察をしたい。」と考えが変わり、予約はキャンセルしました。
3か月後に、定期検診で伺ったのですが、違う先生でした。
その先生からは、
「虫歯はないけれど、今あるCRは銀歯に変えた方が良い」
と言われました。
理由は、
「CRは縮むから、歯とCRの間に隙間が生じて、しっかり歯を磨いていても隙間から唾液などが入って虫歯になる可能性があるから。
もちろん、『可能性』の話で、必ず虫歯になるとは限らないが。
銀歯は縮まないから、CRよりも虫歯のリスクがない。」
との事でした。
もう虫歯があるのかないのかさえ、分からないのですが・・・
お伺いしたいのは、以下の事です。
@仮に虫歯があったとして、痛みもなく、今すぐ治療の必要のない虫歯を治療するべきか?
ACRは隙間ができて、虫歯が再発しやすいというのは本当か?
B下奥歯のレジンは、強度の問題を考えると銀歯に変えるべきなのか?
レジンを詰めたのは数年前ですが、今の所、何の問題もなく使えている気がするのですが・・・。
先生方のご意見をお聞かせ下さい。
よろしくお願いします。
回答1
回答日時:2017-03-01 01:49:04
んー・・難しいですね。
一応、一般的な予後に関する研究で言えば、数値的にはメタルインレーもレジンも大体「同等」と捉えて良いかと思います。
ただ実際には個々の患者や歯科医、あるいは個々の歯で判断が変わってくるところなので、こうして意見が分かれるのももっともです。
全然医学的な回答ではないですが、印象の良い方の先生に従ってもいいと思いますよ。
実際には材料の差よりも技術の差で結果が全然変わる訳ですが、理屈の上での話をしますと、インレーは必ず隙間が出来る、というか隙間を作って作らないと歯にはめることが出来ませんし、形もジグソーパズルの如く複雑になるので隙間は出来やすく、気にしない先生も多い様ですが処置の難易度としても実は高いです。
出来た隙間はセメントで埋めることになるのですが、当然それほど丈夫なものではありませんから、使用していくうちにぽろぽろと減って行ったりわずかながら何年もかけて唾液に溶けていく様な現象も起こりますので、そういったことにも本来は配慮が必要です。
それでも実際には、上の方(歯根じゃなくて歯冠、"エナメル質"のところ)に関しては少々隙間があっても簡単にはむし歯になりませんが、外形が歯根に及んでいる場合には10中8,9 そのうちむし歯が出来てきます。
唯一・・なのですがレジンよりも優位な点はメタルそのものがレジンや歯質と較べてはるかに丈夫なので、割れたりするようなことがまずありません。
・・が、割れないということは、極端な力がかかった場合には歯を割ってくることになりますし、あるいは変形して、ひずみが出てもしつこく何年か歯に引っかかっているという様なことも起こるので、5年後以降ぐらいで金属の裏からまたむし歯が見つかるということが頻繁に起こります。
一方、レジンでの治療は、それそのものが接着剤みたいなものですから、理論上隙間はまったくあきません。
硬化時の収縮は確かに起きますが、一般的には5%程度ですので殆ど無視出来るレベルなのですが、気にする先生だと小分けに硬めたり、一括充填用に収縮量を1〜2%程度まで抑えた製品を使ったりします。
というかそんなこと(隙間の問題)よりも接着操作を正確に行えるかどうかと、削ったところからはみ出したり気泡等入れたりしてしまわないか、あと汚れが付着しにくいレベルまでの研磨、という技術的な問題の方がはるかに大きいです。
汚れた面や塗れた面には全くくっつきませんから、神経質にするなら(どんな処置でもそうですが)非常に時間はかかります。
自費専門医院での話になりますが当院の場合だと、奥歯でそこそこ範囲の大きいレジン充填ならラバーダム防湿をして、マイクロスコープはほぼ覗きっぱなしで90分ぐらいかかります。
レジンは色や収縮量、操作性の都合で少なくとも3種類ぐらいを使いますし、使うレジンも歯質強化やむし歯への抵抗性をわずかですがもっている製品を選んでいたりしますが、小さい穴ならラバーダムなしで30分ぐらいの処置でも十分安心出来るレベルの処置は可能です(マイクロは自分の場合必須ですが)
あと強度に関してですが・・強度というと本当は説明がややこしくなるのですが、ざっくりと言えばやはり少し弱い(磨り減ったり割れたり)です。
歯よりは弱いということは、場合によっては良いこととも悪いこととも言えます。
硬ければいいということでもありませんし、出来るだけ歯と同じぐらいか少し弱い様にわざわざ調整がしてあります。
ただこういったことも、その歯のその場所に、どの程度の強さでかみ合わせがくるか次第ですので適していそうか適していなさそうかの判断は非常に難しいですね。
結論としてはどちらでも、その先生の得意な方法で行えば良いかと思いますが、個人的にはインレーは選びません。
ご質問の答えになってないかも知れないので、
>@について
痛みの有無だけが基準にはならないので、状況次第です。
それがむし歯と言えるか、という話と、治療方針(進行を予防していくのかインレーかレジンかクラウンか)は別の次元の話で、それぞれ先生ごとでも話が違ってくることが日常的に起こっています。
出来れば担当医は、ころころ変わらない方が安心なのではないかと思います。
>Aについて
むし歯の原因は色々なのですが、レジンは英語でdirect bondingと呼ぶぐらいで正しく使えば隙間自体が存在しません。
レジンの周りからむし歯が出来てくることはありますが それは日頃のお手入れの問題もあり得ますし、あとは隙間を作ってしまった、形態不良からプラークコントロールの邪魔をした、研磨不足でプラークを溜め込んだ、あるいは取り残し など・・とにかく材料以外の問題です。
>Bについて
ケースバイケースです。
奥歯だからどちらかが良い、ということにはなりません。
>レジンを詰めたのは数年前ですが、今の所、何の問題もなく使えている気がするのですが・・・。
日本は保険制度上どうしても、患者が問題があると感じてから医療機関を受診して(そうでないと保険が使えない)、診断と治療を受けるという流れになっていますが、その歯や臓器に問題があるのかないのか、治療や予防が必要かどうかの判断は普通ご自身では出来ません・・という知識が大切なのではないかな、と個人的には思います。
そして問題のあるなしの判断も歯科医、医師には能力差がかなりあるというのも現実だと思います。
どうか信頼出来るかかりつけの医院を見つけて、定期的なチェックや予防処置を習慣にして下さいね。
長々と失礼致しました。
一応、一般的な予後に関する研究で言えば、数値的にはメタルインレーもレジンも大体「同等」と捉えて良いかと思います。
ただ実際には個々の患者や歯科医、あるいは個々の歯で判断が変わってくるところなので、こうして意見が分かれるのももっともです。
全然医学的な回答ではないですが、印象の良い方の先生に従ってもいいと思いますよ。
実際には材料の差よりも技術の差で結果が全然変わる訳ですが、理屈の上での話をしますと、インレーは必ず隙間が出来る、というか隙間を作って作らないと歯にはめることが出来ませんし、形もジグソーパズルの如く複雑になるので隙間は出来やすく、気にしない先生も多い様ですが処置の難易度としても実は高いです。
出来た隙間はセメントで埋めることになるのですが、当然それほど丈夫なものではありませんから、使用していくうちにぽろぽろと減って行ったりわずかながら何年もかけて唾液に溶けていく様な現象も起こりますので、そういったことにも本来は配慮が必要です。
それでも実際には、上の方(歯根じゃなくて歯冠、"エナメル質"のところ)に関しては少々隙間があっても簡単にはむし歯になりませんが、外形が歯根に及んでいる場合には10中8,9 そのうちむし歯が出来てきます。
唯一・・なのですがレジンよりも優位な点はメタルそのものがレジンや歯質と較べてはるかに丈夫なので、割れたりするようなことがまずありません。
・・が、割れないということは、極端な力がかかった場合には歯を割ってくることになりますし、あるいは変形して、ひずみが出てもしつこく何年か歯に引っかかっているという様なことも起こるので、5年後以降ぐらいで金属の裏からまたむし歯が見つかるということが頻繁に起こります。
一方、レジンでの治療は、それそのものが接着剤みたいなものですから、理論上隙間はまったくあきません。
硬化時の収縮は確かに起きますが、一般的には5%程度ですので殆ど無視出来るレベルなのですが、気にする先生だと小分けに硬めたり、一括充填用に収縮量を1〜2%程度まで抑えた製品を使ったりします。
というかそんなこと(隙間の問題)よりも接着操作を正確に行えるかどうかと、削ったところからはみ出したり気泡等入れたりしてしまわないか、あと汚れが付着しにくいレベルまでの研磨、という技術的な問題の方がはるかに大きいです。
汚れた面や塗れた面には全くくっつきませんから、神経質にするなら(どんな処置でもそうですが)非常に時間はかかります。
自費専門医院での話になりますが当院の場合だと、奥歯でそこそこ範囲の大きいレジン充填ならラバーダム防湿をして、マイクロスコープはほぼ覗きっぱなしで90分ぐらいかかります。
レジンは色や収縮量、操作性の都合で少なくとも3種類ぐらいを使いますし、使うレジンも歯質強化やむし歯への抵抗性をわずかですがもっている製品を選んでいたりしますが、小さい穴ならラバーダムなしで30分ぐらいの処置でも十分安心出来るレベルの処置は可能です(マイクロは自分の場合必須ですが)
あと強度に関してですが・・強度というと本当は説明がややこしくなるのですが、ざっくりと言えばやはり少し弱い(磨り減ったり割れたり)です。
歯よりは弱いということは、場合によっては良いこととも悪いこととも言えます。
硬ければいいということでもありませんし、出来るだけ歯と同じぐらいか少し弱い様にわざわざ調整がしてあります。
ただこういったことも、その歯のその場所に、どの程度の強さでかみ合わせがくるか次第ですので適していそうか適していなさそうかの判断は非常に難しいですね。
結論としてはどちらでも、その先生の得意な方法で行えば良いかと思いますが、個人的にはインレーは選びません。
ご質問の答えになってないかも知れないので、
>@について
痛みの有無だけが基準にはならないので、状況次第です。
それがむし歯と言えるか、という話と、治療方針(進行を予防していくのかインレーかレジンかクラウンか)は別の次元の話で、それぞれ先生ごとでも話が違ってくることが日常的に起こっています。
出来れば担当医は、ころころ変わらない方が安心なのではないかと思います。
>Aについて
むし歯の原因は色々なのですが、レジンは英語でdirect bondingと呼ぶぐらいで正しく使えば隙間自体が存在しません。
レジンの周りからむし歯が出来てくることはありますが それは日頃のお手入れの問題もあり得ますし、あとは隙間を作ってしまった、形態不良からプラークコントロールの邪魔をした、研磨不足でプラークを溜め込んだ、あるいは取り残し など・・とにかく材料以外の問題です。
>Bについて
ケースバイケースです。
奥歯だからどちらかが良い、ということにはなりません。
>レジンを詰めたのは数年前ですが、今の所、何の問題もなく使えている気がするのですが・・・。
日本は保険制度上どうしても、患者が問題があると感じてから医療機関を受診して(そうでないと保険が使えない)、診断と治療を受けるという流れになっていますが、その歯や臓器に問題があるのかないのか、治療や予防が必要かどうかの判断は普通ご自身では出来ません・・という知識が大切なのではないかな、と個人的には思います。
そして問題のあるなしの判断も歯科医、医師には能力差がかなりあるというのも現実だと思います。
どうか信頼出来るかかりつけの医院を見つけて、定期的なチェックや予防処置を習慣にして下さいね。
長々と失礼致しました。
相談者からの返信
相談者:
ハルハルさん
返信日時:2017-03-05 07:49:38
渡辺先生、お礼が遅くなりましたが、ご回答ありがとうございました。
大変詳しく説明をしていただき、大変参考になりました。
歯の治療は難しいですね・・・。
数日考えていましたが、現状維持でいようと思います。
定期的なチェックや予防処置は、習慣にしたいと思います。
どうもありがとうございました。
大変詳しく説明をしていただき、大変参考になりました。
歯の治療は難しいですね・・・。
数日考えていましたが、現状維持でいようと思います。
定期的なチェックや予防処置は、習慣にしたいと思います。
どうもありがとうございました。
回答2
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2017-03-05 12:45:10
渡辺先生の回答は丁寧な回答ですね。
ただし、歯科の一般的な認識としてはメタルインレーの耐用年数は約15年。
アマルガム充填耐用年数約10年。
歯質接着性レジン耐用年数約5年という認識もあります。
これは、口腔内のバクテリアや唾液中の消化酵素などがレジン・象牙質接着構造のコラーゲン繊維に加水分解をもたらし接着構造を崩壊させるからです。
また接着界面にも常に体内から各種酵素が供給されていますからこの面での接着崩壊は現時点では防げないのでは?ということになっています。
ですから、エナメル質とレジンの接着面が崩壊するような力がかかりやすい面にレジン充填の界面があるとか修復物の淵がくるのは好ましくないとされていると思います。
現在、様々な研究開発が進められていますから将来的に体内供給の接着崩壊因子の影響を受けないようなレジンが開発され商品化されればよいのですがまだ研究途中だという認識です。
人工物に置換されなければ生体を守れない状態=つまり虫歯になってしまうということは、常にデメリットやリスクを抱えることになりますからまず、虫歯を作らないことが大切です。
ミクロの世界の話ですから人間が治療可能な単位はmm程度だと思いますので神経質になる必要はありませんが、人工物には寿命がある。
特につなぎ目に問題を生じるということを知っておいていただいて、必要であれば早期に治療介入してもらいリスクを低減させておくことが必要な場合もありそうです。
歯科医の先生の、見立てに従って必要があれば治療を受けられたほうがよい場合もあるでしょう。
ただし、歯科の一般的な認識としてはメタルインレーの耐用年数は約15年。
アマルガム充填耐用年数約10年。
歯質接着性レジン耐用年数約5年という認識もあります。
これは、口腔内のバクテリアや唾液中の消化酵素などがレジン・象牙質接着構造のコラーゲン繊維に加水分解をもたらし接着構造を崩壊させるからです。
また接着界面にも常に体内から各種酵素が供給されていますからこの面での接着崩壊は現時点では防げないのでは?ということになっています。
ですから、エナメル質とレジンの接着面が崩壊するような力がかかりやすい面にレジン充填の界面があるとか修復物の淵がくるのは好ましくないとされていると思います。
現在、様々な研究開発が進められていますから将来的に体内供給の接着崩壊因子の影響を受けないようなレジンが開発され商品化されればよいのですがまだ研究途中だという認識です。
人工物に置換されなければ生体を守れない状態=つまり虫歯になってしまうということは、常にデメリットやリスクを抱えることになりますからまず、虫歯を作らないことが大切です。
ミクロの世界の話ですから人間が治療可能な単位はmm程度だと思いますので神経質になる必要はありませんが、人工物には寿命がある。
特につなぎ目に問題を生じるということを知っておいていただいて、必要であれば早期に治療介入してもらいリスクを低減させておくことが必要な場合もありそうです。
歯科医の先生の、見立てに従って必要があれば治療を受けられたほうがよい場合もあるでしょう。
相談者からの返信
相談者:
ハルハルさん
返信日時:2017-03-07 11:25:03
タイトル | 奥歯のCRを銀歯にとりかえるよう勧められました |
---|---|
質問者 | ハルハルさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 39歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
レジン(白いプラスチック) 保険のインレー(銀・金属) 詰め物の下の虫歯(二次カリエス) 二次カリエス(2次的な虫歯) |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。