歯列矯正の抜歯・非抜歯論争はなぜ収束しないのでしょうか?

相談者: sgkさん (32歳:男性)
投稿日時:2018-08-17 18:30:51
矯正歯科のHP等を調べる中で、歯科医師によって抜歯・非抜歯に対する考え方が大きく違うことに疑問を感じています。(80%以上は要抜歯という先生もいれば、9割は非抜歯で治るという先生もいる。)

想像するに、

・閾値に関する考えの違い(「何mm以上のスペース不足は抜歯」とか?)
・治療手段に関する考えの違い(「うちではストリッピングはしない」、「うちでは床矯正はしない」など)
・ゴール設定の違い(「きれいに並べば、多少、口元が出てもよいのでは」など)

といった、諸々の考え方の違いが先生ごとにあるものと思いますが、とはいえ、もう少し収束しないものでしょうか?

癌治療に用いられるような、治療アルゴリズムのようなものが、症例のデータをもとに作成・公表されれば、治療方針について、ここまでの違いは出ないように思うのですが、どうなのでしょうか。(あっても、歯科医師の間でオーソライズされていない?そんな単純な話ではない?)

複数の医院から説明を受ければ、「意見の違いがあること」はわかるでしょうが、結局、判断材料がない(「説明に納得できるか」というのは、エビデンスがなければ信じる信じないの次元にしかならない)ので、混乱を増すだけとなってしまうように思っています。


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-08-17 18:41:51
こんにちは。

癌治療もそうですが術者が行うものは、術者の技量に結果が必ず左右されますからアルゴリズムは使えません。
個別の対応になるでしょう。

抜歯矯正が得意な先生もいれば抜歯矯正が得意な先生もおり、治療目的も治療目標も違うので色々あるのは当たり前です。
また歯科医によって採用している矯正システムが全く違うわけですから、できる出来ないが大きく分かれます。

現在はアンカースクリューというものがメジャーになっていますからか、なりのことが出来るようになって来ています。
また、矯正治療の介入時期によって成長期であれば、成長誘導も可能ですから非抜歯ケースが増えるのはいうまでもありません。


複数の歯科医から提案を受けると、何ができて何ができないかがわかって来るでしょう。

流派(所属学会がわかりやすいでしょうか)によってまた使用するシステムによって異なるので色々あるので、しっかりメリットデメリット、治療費、治療期間、治療装置の苦痛度、通院間隔などの細かい内容までご検討されればよいとおもいます。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sgkさん
返信日時:2018-08-17 20:43:20
船橋先生

ご回答ありがとうございます。

>術者の技量に結果が必ず左右されますからアルゴリズムは使えません。
>個別の対応になるでしょう。

これは、「治療アルゴリズムは、それを作成した人間の技量を前提としているので汎用性がない」と意味でしょうか?


>流派(所属学会がわかりやすいでしょうか)によってまた使用するシステムによって異なるので〜

確かに、先生の所属学会によって考え方がはっきりと分かれているという印象があります。

各流派の推奨する治療法によってうまくいった症例がいくつあるのか等、(データがあれば)調べてみようかと思います。
治療期間、治療装置の苦痛度、通院間隔などはしっかりと確認したいと思います。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2018-08-21 10:45:39
sgkさん、こんにちは

一つの理由として、診断基準の差が大きいように思います。

近年は、ボーダーラインの幅が広くなってきているような気がします。
とくに、”抜かない”方向へ振ってきているように感じます。

個人的な感想として、一つの理由に、経営に為に評判を気にして、患者さんに迎合する傾向があるのではないでしょうか。

ボーダーライン上にある患者さんが、A歯科医院では「抜歯が必要」、B歯科医では「非抜歯で」といった診断治療計画となった場合、患者さんはB歯科医院を選ぶ傾向にあるのではないかと思います。
更に、場合によっては「A歯科医院は歯を抜きたがる」という評判がついてしまう可能性があります。

海外で矯正の専門医の資格を取られ、日本で開業されて先生が、「日本の患者さんは極端に抜歯を嫌がる。〇〇国では、歯科医師の決めた治療方針に従ってくれる」とおっしゃってみえました。
日本では目の前の歯科医師より、ネットの情報のほうを重要視する方がたくさん見える様に思います。

耳鼻科の先生が「昔は良く耳鼻科は痛いところというイメージがあったが、最近はあまりに痛いイメージがなくなってきたようだ」「最近は、評判を気にして、痛い治療はさけて、薬で逃げてしまい、どうしても痛い治療が必要になれば、大きな病院に紹介する先生が増えてきたように思う」とおっしゃって見えました。

ネット社会の怖さですね。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答3
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2018-08-21 15:43:56
何歳から治療に関われるかの差は大きいと思います。
例えば、比較的低年齢の時に顎の成長発育を阻害する要因を取り除くことが出来れば、非抜歯で可能となる可能性がかなり大きくなります。

2人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sgkさん
返信日時:2018-08-22 20:12:23
小牧先生
ご回答ありがとうございます。

>経営に為に評判を気にして、患者さんに迎合する傾向があるのではないでしょうか。

単に迎合している歯科がある一方で、(他の先生方の回答にあるように)技術の進歩によって非抜歯適応が増えているとなると、両者を峻別することは患者側には難しいと感じました。


>ボーダーライン上にある患者さんが、A歯科医院では「抜歯が必要」、B歯科医では「非抜歯で」といった診断治療計画となった場合、患者さんはB歯科医院を選ぶ傾向にあるのではないかと思います。

私もそうする気がします。(2件まわって両方から非抜歯と言われたので結果的に迷うことにはなっていないのですが。)



藤森先生
ご回答ありがとうございます。

私は地方から上京したのですが、矯正をしている年頃の子が多いように感じます。
意識の高さに感心します。
当時の自分なら断固拒否したと思います。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2018-08-23 09:53:58
>技術の進歩によって非抜歯適応が増えているとなると、

ここ数十年で、抜歯ケースが非抜歯となるような技術の進歩はないですね。
もしそうなら、歯科医師だって非抜歯で治療したい訳ですから、どの歯科医にかかっても「非抜歯」となると思います。
混在するのは治療の進歩ではないでしょう。

因みに、矯正治療も進歩していますが、治療が簡単になり専門医でなくてもある程度のケースは治療出来るとか、治療期間が短くなった、治療中の見た目の改善、確実な固定で治療の精度がよくなったなどでしょう。

治療技術の進歩が、治療計画に大きく影響を与えるものとしては、大きな圧下を伴う開咬のケースでしょう。

2人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答5
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2018-08-23 13:19:18
充分に成長発育出来なかった顎に、すべての永久歯が並ばないケースがある限り、抜歯矯正はなくならないと思いますよ。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sgkさん
返信日時:2018-08-26 10:46:08
様々なご回答をいただきありがとうございます。

>近年は、ボーダーラインの幅が広くなってきているような気がします。
>とくに、”抜かない”方向へ振ってきているように感じます。
>患者さんに迎合する傾向がある
>ここ数十年で、抜歯ケースが非抜歯となるような技術の進歩はない
>充分に成長発育出来なかった顎に、すべての永久歯が並ばないケースがある限り、抜歯矯正はなくならない
歯科医師だって非抜歯で治療したい

以上を前提に考えると、抜歯・非抜歯いずれのケースかを判断するという観点では、まずは診断基準が比較的抜歯ケースに寄っている(患者に迎合しない)医師に相談するのがベターということになるのでしょうか。
回答 回答6
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-08-26 22:28:29
骨と歯根の関係をちゃんと治療計画に反映してくれる矯正治療でなければ害がありますから、少なくとも前方、側方からのセファロ撮影と、出来ればCTで骨のボリュームを見て治療計画に反映してくれる方がよいでしょう。

なかなかそこまでやってくれる歯科医院はないのですが、顎関節の情報を得るためにMRIを撮ったり機能検査までしてくれるところも中にはあります。

計測項目が多いほど情報量は多くなり、処理すべき情報量が膨大になるので、割愛される場合が多いと思います(治療費とは別に検査費だけでもかなり高額になりますからね)。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2018-08-27 16:31:45
>以上を前提に考えると、抜歯・非抜歯いずれのケースかを判断するという観点では、まずは診断基準が比較的抜歯ケースに寄っている(患者に迎合しない)医師に相談するのがベターということになるのでしょうか。


お話をして充分に聞かれて、ご自身の考え方に合った先生を選ばれると良いと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sgkさん
返信日時:2018-08-27 21:02:48
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
非常に参考になりました。



タイトル 歯列矯正の抜歯・非抜歯論争はなぜ収束しないのでしょうか?
質問者 sgkさん
地域 非公開
年齢 32歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 矯正で抜いた・抜く予定
歯列矯正の治療法
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

歯磨きをしても虫歯になる原因 デンタルフロスは効果無し? 歯ブラシとデンタルフロスどっちが先? 歯科衛生士が就職前に絶対に知っておきたい

Total total   今日 今日   昨日 昨日  
現在 人が閲覧中