歯科矯正で動かせる顎の距離について

相談者: saian1さん (24歳:女性)
投稿日時:2024-02-13 07:49:25
こんにちは。


今回は「歯科矯正で動かせる顎の距離」について質問をさせていただきます。

よく、ネット上などでは「歯科矯正(インビザラインなど)でEラインの横顔にアプローチ」という言葉を見かけます。

歯科矯正で噛み合わせが整うことで本来あるべき位置に顎が収まり、その結果、顎の位置が正常化してEラインの横顔に近づける、という論理です。実際、そのようなこともあるのかな、と思います。


お伺いします。

インビザライン・ワイヤー矯正など矯正方法を問わず、歯科矯正で動かせる顎の距離はどれくらいなのでしょうか?

5mm?7mm? 最大でもそのくらいかな、と感じています。
生まれつきの顎の骨格異常、または、顎の骨格そのもののズレによって1cm(10mm)以上、顎の位置を動かさなければならない場合は、顎の骨切り手術などの外科的矯正(+歯科矯正)が必要になるのでしょうか?


上記、「歯科矯正で動かせる顎の距離」についてご教示いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2024-02-13 11:42:11
こんにちは。


一概に何ミリとはいえないと思います。

一般的に下前歯をサポートする骨の量が最も薄い為、下前歯の位置は大きく動かせません。

まあ、動かすと歯根が硬い皮質骨にゴリゴリ当たり続けて歯根吸収がどんどん進むか?歯茎が大きく下がりますからあまり動かさないのが安全な矯正治療の大原則になります。


下顎の回転を使う場合は、上顎がダウングロスして下がっていればその平面を上げる事や、噛み合わせ咬頭対咬頭になっていればそれを咬頭対溝に移動する事で下顎はその移動分だけ回転させられます。

また、歯並びにより下顎が後方に押し込まれていわゆる顎関節症状を生じているならば、その悪い歯並びのロックを解消する事で後方に押し込まれて窮屈な動きしか出来ないようにガチガチに制限されていた顎位置に自由度を与えて新しい位置に噛ませるという事もよく行われています。

つまりケースバイケースでかなり変わるという事です。


どれくらい移動するか?は元の位置の分析が必ず必要になります。

上顎から移動するならば上顎には強力なアンカーを打つ必要があります。骨量が少ない部位に歯を圧下させますと必ず歯根吸収が生じます。
数ミリぐらいは平気で歯根吸収させながら顎位置を変えることまで目指す場合もよくあります。


様々なリスクも費用も大きく異なって来ますから、ネットで見るだけではなく気に入った矯正歯科でご相談してみてください。


外科を併用した場合保険適用で可能になる場合も多々ありますし、歯根へのダメージが少なく出来る場合もしばしばあります。
無理せず外科を選択された方が長い人生無理がないという場合もしばしばございます。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: saian1さん
返信日時:2024-02-13 13:30:34
船橋先生、いつも大変お世話になっております。
お忙しい中、今回もご教示くださりありがとうございます。


>一概に何ミリとはいえない

そうなのですね。

「1cm以上、歯科矯正で顎の位置を動かすのは難しいのでは?」と質問させていただいたのは、以前、Youtubeで受け口の外科的矯正をされた方が居て、その方が外科手術で1cm以上、下顎を下げたときに「1cm以上動かした場合は、「(他の医師からは)ずいぶん下げたね〜」と言われるくらい、1cm以上顎を動かすのは大変なこと」と言っていたので。

外科手術ですら1cm以上、顎を動かすのは大幅な移動としているので、歯科矯正では1cm以上、顎を動かすのが困難なのでは?と感じたからです。


@上顎がダウングロスして下がっていればその平面を上げる

A噛み合わせ咬頭対咬頭になっていればそれを咬頭対溝に移動する

B悪い歯並びのロックを解消する事で後方に押し込まれて窮屈な動きしか出来ないようにガチガチに制限されていた顎位置に自由度を与えて新しい位置に噛ませる


お答えいただいた上記3つのいずれかの方法で、受け口で突き出た下顎を10mm以上、歯科矯正のみで移動させられるケースは現実的・臨床的に考えられますでしょうか?



>一般的に下前歯をサポートする骨の量が最も薄い為、下前歯の位置は大きく動かせません。
>まあ、動かすと歯根が硬い皮質骨にゴリゴリ当たり続けて歯根吸収がどんどん進むか?歯茎が大きく下がりますからあまり動かさないのが安全な矯正治療の大原則

歯槽骨が薄いため、前歯(特に下の前歯)を大きく動かすのは得策ではないし、危険(歯ぐきが下がる、歯槽骨から前歯が飛び出る)もあるのでできるだけ前歯はあまり大きく動かさない」という点は、Youtubeで歯科矯正の先生が同じことをおっしゃっていました。
やはり、前歯を大きく(側方拡大や遠心移動を含む大きな前歯の移動)動かすのはデメリットが多いのですね。



>無理せず外科を選択された方が長い人生無理がない

私がお伺いしたかったのは、まさにこの点です。
歯科矯正のみで10mm以上の顎の位置の移動は現実的ではなく、歯ぐきの退縮、歯根吸収、歯槽骨から歯が飛び出すなど、トラブルが発生しやすくなる、という認識があります。

なので、最初から外科的矯正(+歯科矯正)を受けることがスムーズでトラブルが起きにくい=そもそも、10mm以上も大きく顎の位置を動かしたい場合は外科的矯正が第一の選択肢となるのでは?と感じています。


>ネットで見るだけではなく気に入った矯正歯科でご相談してみてください。

アドバイスをくださりありがとうございます。
矯正相談を受け付けているクリニックへの質問を考えております。
回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2024-02-13 14:45:43
受け口で悩まれておられるのですね?

受け口の程度を正常な数値(正常な噛み合わせでかつ綺麗な顔の標準値)とまず比較して、程度を確認してもらい現状について説明を受ける事が大切でしょう。


ご自身は歯だけどうにかなれば良いとお考えでも標準値と比較して分析してもらうと顎の位置や形に問題が大きい場合もしばしばありますから、歯だけどうこうしても標準より受け口の顔のままという場合もしばしばあります。

下顎だけの問題だと思っていても上顎同時に動かさないと綺麗な終わりにならない場合もしばしばありますから、積極的に外科矯正保険適用でしてくれる施設基準を取っている矯正認定医を選んでご相談された方が良いでしょう。
その方が無駄がないと思います。


外科ができる矯正専門医でご相談されましたら外科を含めた治療についてしっかり説明を受けられますが、外科を行う事がない矯正歯科に相談に行かれますと無理な治療計画になりやすく、また治療後のお顔の変化も期待値以下となり不満が残る可能性が高くなります。

矯正歯科で外科矯正を保険適用でしてくれる歯科医院は少ないですが、まずそこを探してご相談されるのが良いと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: saian1さん
返信日時:2024-02-13 15:40:56
丁寧なご教示をくださりありがとうございます。


>積極的に外科矯正保険適用でしてくれる施設基準を取っている矯正認定医を選んで相談

はい。ネットで施設基準(保険適用での歯科矯正を行っている歯科医院&外科矯正(口腔外科or形成外科)への紹介をしてくれる歯科医院)を満たしている歯科医院を探して相談してみようと思います。


ネット上では「インビザラインでEラインの横顔にアプローチ!」なんて歯科医院のブログやまとめサイトを見かけます。
しかし、1cm以上、歯科矯正で動かすのはやはり、現実的ではなさそうなので。

外科矯正を最初から頭に入れて、外科矯正+歯科矯正で複合的に顎の位置を動かすことにアプローチするのが先生のアドバイス通り、最適解かと思います。


ありがとうございます。
また、お手すきの際はアドバイスをいただければ幸いです。
これからもよろしくお願いいたします。



タイトル 歯科矯正で動かせる顎の距離について
質問者 saian1さん
地域 非公開
年齢 24歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯列矯正の治療法
外科矯正
下顎前突(受け口)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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