インレーの接着と合着、セメント層のこと

相談者: 主婦Aさん (36歳: )
投稿日時:2007-05-31 18:49:00
先生方、こんにちは。
お忙しいところ、またの質問で恐縮ですがよろしくお願いします。

保険外インレーCR充填のことなど、詰め物の材料でいったい何がよいのか?というテーマは過去に繰り返し話題に出ているところですが、では修復物と歯のあいだに存在するセメント層はどうなのか?ということについても、もう少し知りたいと思いまして投稿させていただいた次第です。

(ちなみに現在、修復の先生のもとでインレー換装中なのですが、1本目はPGAにしました。当初、担当医は、女性の方だからと白いものを勧めてくれていたのに、なんとオススメに逆らってしまいました(>_<) 次の歯についてはまた迷っています。接着か、合着か‥‥金属か白いものか……とにかく目的として、神経を抜く羽目にならないように! 生きた歯髄を最大限保存したい!と思っています)


タイヨウ先生の過去のコメントで、

接着性レジンセメントはこれら『合着と接着の違い』『水に溶けない』と言う2点からでも明らかにメリットがあると思います」

とのお話があり、説得力があるなぁと感じていました。

従来型のセメントは、唾液で徐々に溶けてしまうからインレー脱落の原因になるということですよね。

一方で、自費のインレーの話のなかで、タカタ先生ご自身やご家族のお口のなかにあるゴールドインレーが、数十年など長い期間にわたって持っているというお話もあったかと記憶しています(過去ログ検索したのですが見つけられず引用ができませんでした)。

これは、金属インレーが歯と「合着」している場合で、たとえ水に溶けるような従来型セメントを使用していたとしても、適合のよい金やPGAで精度の高い治療を行った場合は、マージンがぴた〜っとしているためにセメント層からの漏洩は少なく、20年、30年もつ場合があるという理解でよいのでしょうか??

そうなると、接着と合着、どっちがどっち…!?と。

そして、「ポーセレンハイブリッドは はっきり言って 適合精度は”ゴミ”みたいなものです」とタカタ先生が指摘しておられましたが、そこをカバーするために接着性レジンセメントがあると。そういうことでしょうか(化学的に結合した層は、接着強さもあると同時に、そこから虫歯菌も入り込む隙間もないと思ってよいのでしょうか)


(結局どちらにしても、"術者の技量による"という話に収斂されていく??)


今まで、ハイブリッドセラミックスによる修復の術式は、タイヨウ先生がたびたび書いておられましたが、金属インレーでの「合着」の場合、どんな術式で、歯とインレーのあいだには一般的にどんなものがサンドされているのでしょうか?

現在でも、金属での修復の際には、水に溶けるセメントが使用されているのでしょうか?

調べていたところ、合着させるセメントにも、貴金属にくっつくもの、卑金属にくっつくもの、などがあるようですが、そうなると保険の金属インレーと保険外の金属インレーとでは、使われるセメントが異なるのですか? 


また、タカタ先生の過去のコメントから

「接着技術にかなり依存するために接着性レジンセメントの性能が落ちる5年目を境としてファイバーコアが外れるといった事態が報告されております」

とありましたが、接着系レジンセメントでインレー修復したり、CR充填などをした場合、5年目を過ぎて接着剤の性能が落ちても、辺縁から盛り足したりしてチョチョッとお直しすれば漏洩は防げたりするのでしょうか?

レジンは後から盛り足せると渡辺徹也先生が書いておられた記憶があったので。

長々と申し訳ありません。

ずいぶん前からインレーの話をご相談させていただいていて、「まだ迷ってたの?」という感じですが、修復の精度を高めるためということで先に土台の治療(歯肉炎)をしていたり、いざ削っても術後痛が出ないか様子をみていただいたり、なんだかんだ超時間がかかっております‥‥

(そこが今の先生を気に入っている所以でもありますが…)。

しかし治療と治療のあいだに日数があるために、その間についつい歯チャンネルを読んで、次の歯をどうするかまた迷うという‥‥。

質問内容をうまくまとめられず、大変恐縮ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2007-06-01 08:53:00
うーーん、どこから答えてよいやら。。。

まず、合着というのは 補綴物詰め物など)が歯との間に硬いセメントを介してくっついている状態で、これは分子レベルで考えると分子同士が手を結んでいるわけではありません。

接着は 分子同士が手を結んでいます。

で、セメントについての私の見解としては、何でもいいと思います。

昔のリン酸亜鉛セメントで合着したインレーでも30年ノントラブルという人もいれば、最新のレジンセメントで接着しても1,2年でダメになる人もいます。

ポイントは 補綴物は歯に対して極限までフィット良くしておき、無駄な セメントの層をなるだけ薄く薄くしたほうがよいのです。

私が ハイブリッドや オールセラミック それから最近では ジルコニアといった材料を嫌うのは(でも臨床上は要望があるために用います)、マイクロ技工で作成されたメタルボンドガルバニックに対して 歯に対するフィットが 悪すぎるからです。

歯に対するフィットが悪いということは 歯と補綴物の間に分厚いセメント層ができてしまいます。

これがたとえレジンであろうと 古いセメントであろうと関係ありません。 

強度や硬さがまったく違う素材が 歯と補綴物との間に存在するのです。
薄いほうがいいに決まっています。

では なぜ インレーを作るときにゴールドインレー(私は22金)を用いるかといいますと、 通常、補綴物と歯との境は どうあっても30ミクロン近い誤差が生じて出来上がってきて、その隙間にセメントを流し込んだ状態にするのですが、ゴールドインレーの場合、 装着する際にマジックマージンテクニックという方法でゴールドインレーのふちの金をグイグイ伸ばしてこの30ミクロンの隙間を埋めていくことができるのです。

金って 良く伸びます。

わずか1グラムの純金がポコポコ どつけば 畳一畳になるほどですから。

ですので、 インレーはゴールドがいいなと。

あとはレジンの物性についてですが。
セメントの補修は難しいでしょうね

CR充填の場合 もともとの充填をある程度きちんとしてあれば補修は可能です。

現在最も問題になっているのは 接着剤だけに完全に頼っている ラミネートベニアという方法なのですが これは セットしてから5年ほど経過するとペロっと脱落するケースがアメリカでも増えてきています。

年々接着剤の技術は進歩しているので改善されるでしょうが 基本は接着剤に頼るのではなく


●歯をキチンときれいに削り
●キチンと歯の型を取り
●その歯形にバチっとフィットする補綴物を技工士が作る


という工程がなされていれば セメントに関係なくよく着きます。

実際 フィットのいいクラウンや詰め物は 接着前に試適といって試着みたいに歯にチョコっとかぶせてみるのですが、それで取れなくなってしまうくらいフィットしていることもあります(お茶や海苔の缶と蓋の関係と同じです)


長くなりましたが  答えになりましたでしょうか??
ふぅっ!

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-06-02 10:59:00
タカタ先生、丁寧なご返答をいただき、ありがとうございました。

結局のところ、どんなインレーであれ、セメントの種類が何であれ、セメントの層は薄ければ薄いほどよいのですね。

そのためには、とにかくすべてにおいて「精密であること」が最も重要だということは理解できました。

インレーを入れたあとの歯の予後は、セメントとか接着剤の質にもかなり依存するのかなと思っていたのですが、それよりも先に作業の精密さ、適合のよさが優先するのですね。

お忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

次の歯の治療まで、先生のお話を参考にしてもう少し考えてみようと思います。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2007-06-03 14:07:00
相変わらずマニアックなご質問ですね。

ご質問についてはタカタ先生が教科書的な内容+αで回答されて、私も勉強になりました。

で個人的に感じているポイントを整理してみます。


接着にこだわるなら直接法のレジン充填が一番リスクが少ないと思います。
歯質→ボンデイング→レジンだけなので、界面がほぼありません)

でフィットにこだわるとゴールド系(高カラットの金合金や、白金加金

フィットが悪いものを接着で補う、中間的な発想がタイヨウ先生がやられてる様な、かなり手間のかけたハイブリッドセラミックを用いた方法、だと思います。

(ただし、上手い先生がしっかり手間をかけないと、かえってハイリスクかも・・)


この中で私は直接レジン充填が一番好きなのですが、それは接着重視の考えとも言えますし、逆に材料の物性については軽視と言えるかも知れません。

金属系と比べればかけたりしやすいですからね。
(とは言っても天然歯に近い硬さはありますが・・)

それと形態の付与が、口の中で作るのは非常に難しいので、細かーいかみ合わせの関係にこだわる場合にも不向きです。

それで形態を、口の外で作る方法がハイブリッドセラミック(※モノとしてはレジン)なのですが、フィットが落ちるのはもちろん、これが本当に直接レジン充填と同じレベルで接着させられるかというと、相当難しいものがあります。

一度固めたレジンは基本的に接着しませんからね。

因みに構造としては、

歯質→(ボンディング→レジン→)接着性レジンセメント→ハイブリッドセラミック となります。

()の中をやらない先生、あるいはここに、絶対接着しない、セメントを入れる(※メタルインレーの際に一般的に使うもの)先生もいらっしゃるので、結構トラブルは多いのかも知れません。

参考⇒インレーと歯の間にCR(レジン)がサンドイッチ状態?

接着を諦めてひたすらフィットを求め、合着に頼るというのも、クラウンならいいのですがインレーだと歯が割れないかな?という心配もないこともなかったり・・。

それと審美性、金属アレルギーもですね。

参考⇒保険のインレーの作り直し(ベストな詰め物とは?)


どれも一長一短で、まだまだ課題は多いですね。

こだわりの主婦Aさんが、結局何を選ばれたか、また良かったら教えて下さいね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-06-08 20:11:00
>渡辺徹也先生

コメントありがとうございました。

回答期限までに診察予約があったので、その時に担当医とまたじっくり話してお礼のコメントを入れようと思っていたため、遅くなってしまいました。

結局、その日はたまたま担当医が多忙そうにしており、質問がほとんど出来ずに帰ってしまいました(ふだんは質問タイムが必ずあるのですが)。

渡辺先生のお話(他の皆さんへの回答なども)を読んでいると、またレジンの直接充填もいいように思えてきて揺れています(私の先生も、レジンでの審美修復は得意そうです)。

何度も削って歯髄に近づかないよう、一回一回の治療を大切にしたいという思いが強いために迷いも一段と……。

セメント層は薄ければ薄いほどよい、ということは理解したのですが、そうなると、窩洞が深くなってしまっていて覆髄材も必要になるような私の6番は、どうせサンドイッチするものが増えてしまうから、あれこれ考えても、もうしょうがないのかなーと諦めの気持ちも出てきました。(^^;;

セメントの話とは関係ないですが、セラミックと金属では窩洞の形成方法がずいぶん違うみたいですね。

ここでもしセラミックインレーにして、次にもし再治療になったときに、やっぱり金属にしたくなって……となったら、窩洞のかたちの違いからも、さらに歯が減ってしまうのかなぁ、などということも考え始めて、また堂々巡りになってきました(汗)。

またご報告させていただきます。
本当にありがとうございました。m(_ _)m



タイトル インレーの接着と合着、セメント層のこと
質問者 主婦Aさん
地域  
年齢 36歳
性別  
職業  
カテゴリ レジン(白いプラスチック)
セラミックインレー(陶器の詰め物)
ゴールドインレー(金の詰め物)
詰め物、インレーその他
補綴関連
材料・機材関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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