保険だから安価・低品質なもので済まそうと考える歯医者は存在するか?

相談者: プリンさん ( : )
投稿日時:2007-10-17 01:54:00
はじめましてプリンと申します

レジンでも2次カリエスの発生を食い止めることは可能ですか?

などを見て、

「最近のレジンは改善されてきていて、種類も増えてきている」

ということを知ったのですがそうなると、当然価格もいろんなものが出てきてしまうということになります。

もしそうであるなら、保険を適用させる場合はもらえる報酬も一緒ということになるので歯医者によっては 安価・低品質 なもので済まそうと考える方も出てきてしまうのでは?と思います。

さらに、「性能はよいが高い」というレジンも、保険では採算が取れず保険治療では行わないという歯医者もいるのかもしれません。

さらに、その他の保険の詰め物のページに、

コンポジットレジンインレー(CRインレー)
>本来は保険適応なのですが、保険でCRインレーを行っている歯科医院はごく少数です。

このようなことが書かれているのですが、

「コンポジットレジンインレー(CRインレー)」と「コンポジットレジン充填」は別物なのでしょうか

整理すると質問は次の3つほどになります。


1:

安価・低品質 なもので済まそうと考える歯医者は存在するか?
するとしたらどのくらい存在するのか?


2:

「性能はよいが高い」というレジンを、保険治療では行わないという歯医者は存在するか?

(おそらく「歯科医院によっては保険外レジン充填を行なっている場合もある」の理由はこれ(採算が合わないこと)だと思われるのですがこれは正しいでしょうか)


3:

「コンポジットレジンインレー(CRインレー)」と「コンポジットレジン充填」は別物なのか?


もし  1 2   どちらか一方の質問に対する答えが yes ならば、

レジンの種類
特徴・性能
価格

などの情報を事前に把握しておくことは自分に合ったレジンを選択できるようになるために必要です。

レジンについての説明ページにこのようなことに関する情報を追加していただきたいです。

質問だけではなく注文まで付けてしまって申し訳ないのですがよろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 02:51:00
はじめまして。
まず結論としては、1 2 3 全部 YES です。

ただ、ちょっと1と2については、プリンさんが考えておられる感覚とは若干のズレがあると思いますので、ちょっと説明させて頂きますね。

まず保険というのはあくまでも「最低限の治療」を保障する制度です。

1でプリンさんが書かれている「安価・低品質」というのは、「高価・高品質」なものと比べると確かにそうだと思いますが、「最低限の治療」という条件は十分に満たしているものだと思います。

例えば、保険のレジンを「牛丼」、保険外のレジンを「フランス料理」だとすると、大切な人の接待をするのに牛丼ではちょっとまずいと思いますが、お腹いっぱいにするだけなら牛丼で十分ですよね?

世界的に見ると牛丼すら食べられない国もけっこうありますから、そういった意味では日本の保険制度は素晴らしいと思います。

しかし最近の日本人は、牛丼では満足出来ない人が増えてきているようですが…。


次に、「性能はよいが高い」というレジンを、保険治療では行わないという歯医者は存在するかということについても、牛丼とフランス料理に置き換えて考えてみて下さい。

380円でフランス料理を出しているところがありますか?

医療もボランティアではありませんから、保険で料金が決められている以上、その中で利益を出さなければなりません。

ただ、380円の牛丼を作る際に、300円分の手間隙をかけるのか?80円分の手間隙しかかけないのかは、歯医者さんのモラルの問題ということになってきます。

ですから、この差を見抜いて少しでも良い治療を受けようと思われるのであれば、患者さん自身が勉強することは必須だと思いますよ。

(しかしこの差をホームページなどの情報だけで見抜くのは、同業者ですら困難なのですが…。実際に歯科医院に行って、治療しているところを見れば大体分かりますが…)


3の「コンポジットレジンインレー(CRインレー)」と「コンポジットレジン充填」の違いについては、お口の外で作るか(CRインレー)、お口の中で作るか(コンポジットレジン充填)の違いです。

ただ、CRインレーというのは当サイトの説明ではハイブリッドセラミックインレーに非常に近いものです。

ハイブリッドセラミックインレーの相場は3万円前後、対してCRインレーは1500円前後ですから、好き好んでやりたがる歯科医院はなかなか無いでしょうね…。

それにレジン充填を丁寧に行えば、そもそもCRインレー自体必要ないのでは?という気もします。

(この辺りは僕の苦手分野なので、他の先生方のほうがはるかにお詳しいと思います)

良い歯科医院(治療レベルが高そうな歯科医院)の見分け方については、少しずつ説明ページに追加していく予定ですので、もうしばらくお待ち下さい。

(あまり安易にはできないところなので…)

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 09:37:00
田尾先生が大半を語ってしまったので それ以外の話を。

様々なメーカーからレジンが出ていますが、工業界的には、コンポジットレジンの物性はどれも大した差の無いものです。

また、製造コストに関しても、プラントを稼動させると 一度に何トンものレジンが作られます。製造コストは大して変わりません。

ただ、広告費が変わってきますので、それが私どもの仕入れ価格に反映しておりますが、それも微々たる物ですし、ましてや 口の中に使う量となると もっと微々たる物なので仕入れ価格の差はそれほど影響しません。

これから日本はドンドン金属からレジンに移行していくと思います。

理由は、金属は価格変動が激しく(特に最近は中国・ロシアの影響が大きいです)、仕入れ価格が大きく上下するのに対してレジンは石油価格が変動しても、元々の製品の容量が小さいため殆ど影響しません。

それもあって、ドンドンレジンに移行していくと思います。
ハイブリッドも コンポジットも製品的には殆ど同じものです。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 11:10:00
はじめまして。
結構鋭いところに気付かれてると思いますよ。

田尾先生も書かれましたが、医療もボランティアではありませんから、仕入れ価格や利益など、お金のことは常に考えなければなりません。

このあたりに気付かれてる患者さんと、気付いてない患者さんでは、自分に合った歯科医院選びに、少しは差がついてくるのではないかと思いますよ。


>もしそうであるなら、保険を適用させる場合はもらえる報酬も一緒ということになるので歯医者によっては 安価・低品質 なもので済まそうと考える方も出てきてしまうのでは?と思います

についてですが、レジンだけでなく、何事も全くその通りだと思います。

例えば紙コップやエプロン、診療用のチェアー、型とりの材料、ラバーダムクラウンの金属、器具の消毒液、何ひとつ無料や定価で配布されてる物はありません。

宣伝広告費、豪華な建物、豪華なソファー、大型テレビ、どれも有料のコストです。

出来るだけ低い仕入れ値で、高い利益を得ようとするのは当然です。
増してこの歯科不遇の時代ですからね。。

参考⇒簡単に神経を抜くことと、歯科業界の実情(ワーキングプアー?)


ですが、こういったことは保険制度がなくても同じです。

例えばあるクラウンを、相場通りに患者さん価格10万円で設定したとします。

それを合計5万円のコスト(材料費、時間、人件費など含む)で作った方が良いと分かっていても、3万円で作った方が利益が上がりますよね?

これで歯科技工士さんなどは特に辛い思いをされてる訳ですが、患者さんは相場よりも安いクラウンに飛びつく傾向もあります。

海外の様に(実態を詳しくは知りませんが・・)、例えば民間保険会社から歯科医院に支払いがある様なシステムになったとしても・・やはり同じですよね?

歯科医院に払うお金は誰でも低くして国なり民間企業なり患者さんなりが自分のお金を多く残したいですし、逆に歯科医院側にとっても同じことです。

ですから、私腹を肥やしたがりそうなタイプの先生なのか、実際にコストをかけて良い医療を提供したそうなタイプの先生なのかを想像するのはいいことだと思います。

あとこれは個人的な考えなのですが、良い医者の私生活が貧乏ではむしろいけないと思っています。

例えば外車に乗っているから悪い医者と、短絡的には考えて貰いたくないと言うか。(そう思ってる方って多いと思うのですが・・)

自分が歯医者だから言う訳ではないのですが、どこの業界でも、真面目に努力した人はそれなりに金銭面でも報われる社会であって欲しいですよね。

でないと、「あの仕事って、真面目にやるほど貧乏になるんだなー」なんてことになっては努力する人間がいなくなってしまって、業界がますます萎縮する気がします。

・・と、だいぶ話がそれてしまいましたが、お金の話でした。
歯科医院に行った時には、人柄を見て下さいね。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 16:22:00
僕も他の先生方と同意見です。

コンポジットレジン自体に「安物=粗悪品」は無いと思っています。
メーカー品であれば一定のクオリティは保たれていると思いますよ。

性能の差と言っても「好みの差」に近いものがあります。

各メーカーも「操作性の良いもの」「発色の良いもの」「研磨性の良いもの」「強度の強いもの」「フッ素徐放性のあるもの」などなど、特色を出してきていますが‥。

タカタ先生であれば「三M」でしょうし、渡辺先生であれば「まつかぜ」が、僕は「とくやま」か「じーしー」が、「いいと思っている」と言う感じでしょう。

デルモンテのケチャップ、カゴメのケチャップ、ハインツのケチャップ‥

あとは好みと予算ですね。

むしろ、低品質(品質がわからない)のは金属の方が確率が高いですよ。
混ぜ物をされてもわかりませんからね。


>「性能はよいが高い」というレジンを、保険治療では行わないという歯医者は存在するか

と言うよりも性能の良いコンポジットレジン(ハイブリッドレジン)は最初から「健康保険適応外」として売られていますから、保険診療で「使わない」のではなく「使えない」のです。

もちろん、コスト的にも採算が取れないような金額で売られています。
(といってもグラムあたり倍くらいの金額差です)

むしろ「自費のCR」は材料代と言うより、ドクターの技術料ですからね。

保険では日本全国一律の金額設定で、新卒の研修医もベテランドクターも同じ金額設定です。

保険医は「準国家公務員」ですからね。

自費診療において金額の差は技術の差と理解してもらった方が良いと思いますよ。

ただ、この「技術」は目に見える「モノ」ではないので客観評価が難しいのが事実ですが‥。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: プリンさん
返信日時:2007-10-17 18:29:00
田尾 耕太郎様
タカタ様
渡辺 徹也様
タイヨウ様

大変丁寧で分かりやすいお返事ありがとうございます

しかし、私は 「樹脂含浸象牙質を形成するレジン治療」 などの存在を知って、今日本ではほとんど行われていなくてもとても二次カリエスの予防に有効なレジンもあるんだなぁと感じ、これ以外にもこういった 質の高い 性能のよい レジンの存在を教えていただきたく思っています。

さらにこのような高いレジン治療を保険適応でお願いするとき これを断る権利が医者にはあるのか 応召義務にあたるのか ということも知りたいです。

と思ったのですが 診療治療≒診療 であってこのような個々の治療の求めに関しては断れるんでしょうか?
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 18:42:00
ここ最近のほとんど全てのレジンボンディングシステムは樹脂含浸象牙質を形成します。

これは保険保険外に関係がありません。

ただし、レジンでの治療では、良好な結果が得られるかどうかは術者の技術に左右されますから、

「技術的にできない先生にやれと言っても無理な事は無理」

なんですよね。

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 19:24:00
虫歯予防に効果があるレジンとしては、kuraray から出ています。

レジンを歯につける接着用材料なのですが、抗菌性モノマーというものが入っているため 歯の内部での虫歯の進行を食い止めることが出来るとかできないとか。。。

この辺りまで行くと 電子顕微鏡レベルではなく分子レベルの話になってきます。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2007-10-17 22:24:00
>さらにこのような高いレジン治療を保険適応でお願いするとき これを断る権利が医者にはあるのか

>であってこのような個々の治療の求めに関しては断れるんでしょうか

普通一般の歯科医院はそこまで材料がたくさんある訳ではありませんし、保険適応材料さえ使えば立派な保険治療ですから、患者さんが治療材料を指定してきてもウチはこの材料しかないなぁ〜、で終わりだと思います。

他の先生方がおっしゃられているように保険診療とは形式に則った治療であり、患者さん個々の希望を全て叶えられるシステムではないところをご理解ください。




タイトル 保険だから安価・低品質なもので済まそうと考える歯医者は存在するか?
質問者 プリンさん
地域  
年齢  
性別  
職業  
カテゴリ レジン(白いプラスチック)
詰め物、インレーの治療費・費用
詰め物、インレーその他
その他(歯科治療関連)
その他(歯科医師関連)
その他(保険と保険外)
治療費・費用
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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