歯根嚢胞で抜歯を薦められたが、根管治療で治せないでしょうか

相談者: まーゆんさん (39歳:女性)
投稿日時:2008-07-29 16:26:04
はじめまして。
お世話になります。                     

2ヶ月程前から、神経のないの左下7番の下の歯茎に直径8mmぐらいのフィステルができ、近くの歯科医院根管治療を7回ほどしていただきましたが、変化がなく口腔外科を受診しました。


診断の結果は、のう胞があるのでを抜歯してのう胞を摘出する、あるいは、抜歯してのう胞を摘出し歯を再植するとのことでした。


その後、このサイトなどを読み根管治療でなんとか治せないものか思い、また別の歯科医院で診察をうけたところ、もう一度根管治療をして様子をみるか、抜歯をするか、セパレーションを行うか、との事でした。  

                             

そこで抜歯について教えて頂きたい事があります。


口腔外科の診断、処置は抜歯をしてから更にのう胞を摘出する。

歯科医院の診断、処置は抜歯だけをすれば自然によくなる。                               

極度の怖がりなので、抜歯をするならできれば抜歯のみだけですみたいのですが、なぜのう胞を摘出する場合と抜歯だけでよい場合があるのでしょうか。


分かりにくい説明で申し訳ありません。
改行のやり方がわからずご迷惑をおかけします。       

先生方、どうかよろしくお願い致します。                           


回答 回答1
  • 回答者
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-07-29 16:48:42
まーゆんさん、こんにちは。

嚢胞の処置で色々とご心配なことと思います。

ただ、ご質問の内容のみではまーゆんさんの嚢胞の状況・進展具合は分からないため、以下は一般論としてお読みください。

嚢胞の原因抜歯するという前提で、抜歯に加えて嚢胞摘出を行うかということですが、嚢胞が大きく、歯の根の3分の1以上を含んで進展している場合は、通常は『抜歯+嚢胞摘出』を行います。

ただ、上記は抜歯を前提とした一般論です。
実際には諸条件によって変わってきますし、抜歯以外の選択肢も充分考慮したいところです。


最後に口腔外科出身の私の個人的な意見としては、口腔外科では嚢胞摘出を積極的に視野に入れることが多いと思います。

ただ、嚢胞(歯根嚢胞)を口腔外科的疾患と考えるか、根尖病巣の延長線上に考えるかで、処置内容も変化するように思います。

まーゆんさんが根管治療を得意とされる歯科医院にもしめぐりあえたのであれば、処置内容について担当の先生に充分にご相談されてみては、と思います。
抜歯した歯は二度と元に戻りませんので…



以上、ご参考になれば幸いです。
お大事にどうぞ。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-07-29 17:00:55
昨日書いたものですが、

〔[写真あり] 根管治療の再治療で歯根端切除術を予定 (アメリカ在中)〕
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00022735.html


の回答3に大まかに書いてあります。

 

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: まーゆんさん
返信日時:2008-07-29 22:19:13
中本先生 井野先生、お返事ありがとうございます。     


またまた教えていただきたいのですが、の根の3分の1以上を含んで進展している場合というのは、歯の根を3分の1以上おおっているという意味でよいのでしょうか。


口腔外科でとったCTで見ると、のう胞といわれた黒い丸い部分の直径が、歯の根から歯の先くらいあります。

画像をはりつけたいのですが、うまくいかなくて悲しいです。泣   


また歯の根の3分の1以上を含んで進展している場合に、抜歯のみだけだと抜歯後どうゆう経過が予想されますか。


のう胞が消えなかったり、再度、嚢胞摘出だけを行わなければならなくなる可能性がでてくるという感じでしょうか。


再度分かりにくい説明と改行のやり方もわからずご迷迷惑をおかけしますが先生方、どうかよろしくお願い致します。                 
回答 回答3
  • 回答者
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-07-30 00:32:26
まーゆんさん、あらためまして。

【1】

>の根の3分の1以上を含んで進展している場合というのは、歯の根を3分の1以上おおっているという意味でよいのでしょうか。

そうです。

ただこれは、嚢胞摘出に重点を置いているのではなく、抜歯歯根端切除のどちらを選択するかということに重点をおいた考え方です。

嚢胞に外科的なアプローチを加える場合は、一般に、

1)嚢胞摘出 + 歯根端切除術

または

2)嚢胞摘出 + 抜歯

という処置になると思います。

そして、嚢胞が根の3分の1以上をおおっている場合は、歯根端切除もなかなか難しいため、2)の方になることが多いです。


【2】

>歯の根の3分の1以上を含んで進展している場合に、抜歯のみだけだと抜歯後どうゆう経過が予想されますか。
のう胞が消えなかったり、再度、嚢胞摘出だけを行わなければならなくなる可能性がでてくるという感じでしょうか。
 

病理学的に歯根嚢胞と診断されているのであれば、抜歯のみの場合は嚢胞が残る場合があります(残存嚢胞といいます)。
この場合は後にあらためて嚢胞摘出をする可能性が高いと思われます。


ただ、病理診断で「歯根嚢胞」との確定診断が出ており、加えて抜歯対象となるステージであれば、嚢胞摘出をせずに抜歯のみするとは考えにくいです。

歯科医院で抜歯のみのアプローチを提案されているのは、もしかすると担当の先生は病理学的に厳密な意味での歯根嚢胞ではなく、根尖病巣として考えられているのかな、とも思います。

その場合は、抜歯のみで治癒する可能性は高いです。


いずれにしても、抜歯する方向であるならば、一度歯科医院の担当の先生に、口腔外科では嚢胞摘出まですることろ提案されている旨をお伝えになり、なぜ抜歯のみでよいのか説明を受けられてください。


以上、ご参考になれば幸いです。
お大事にどうぞ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: まーゆんさん
返信日時:2008-07-30 10:49:38
中本先生、またまたありがとうございます。


嚢胞摘出に重点を置いているのではなく、抜歯歯根端切除のどちらを選択するかということに重点をおいた考え方です」と
いうのはよく理解ができました。


歯科医院で抜のみのアプローチを提案されているのは、もしかすると担当の先生は病理学的に厳密な意味での歯根嚢胞ではなく、根尖病巣として考えられているのかな、とも思います。」というのも意味は理解できました。



わからないのは、

?「それで、(病理学的に歯根嚢胞と診断されているのであれば、抜歯のみの場合は嚢胞が残る場合があります(残存嚢胞といいます。この場合は後にあらためて嚢胞摘出をする可能性が高いと 思われます。)」

の部分の、

「病理学的に歯根嚢胞と診断されているのであれば」

の部分なのですが、 
 
 
質問1 嚢胞というのは摘出する前に、CT等などで嚢胞だと断定ができるものなのですか。
言いかえますと、嚢胞はどの場合に断定できるのですか。


?「もしかすると担当の先生は病理学的に厳密な意味での歯根嚢胞ではなく、根尖病巣として考えられているのかな、とも思います。
抜歯のみの場合は嚢胞が残る場合があります(残存嚢胞といいます)。
この場合は後にあらためて嚢胞摘出をする可能性が高いと思われます。)」

の部分の、

「あらためて嚢胞摘出をする可能性が高いと思われます。)」

ありますが、
 


質問2 歯科医師が歯根嚢胞ではなく根尖病巣として考えられて、抜歯のみで嚢胞を摘出しないで嚢胞を取り残してしまい、あらためて嚢胞だけを摘出をするという例が、一般的によくある話なのですか。


再度分かりにくい説明と改行のやり方もわからずご迷惑をおかけします。先生方、どうかよろしくお願い致します。                                
回答 回答4
  • 回答者
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-07-30 14:13:25
まーゆんさん、こんにちは。

病理云々の話はちょっと分かりにくかったですね。ごめんなさい。


【ご質問1】

>嚢胞というのは摘出する前に、CT等などで嚢胞だと断定ができるものなのですか。
言いかえますと、嚢胞はどの場合に断定できるのですか。


【回答】

【1】

嚢胞(顎骨嚢胞)という疾患は、顎の骨の中に、嚢状の空洞ができ、その中に液体や半流動体の内容物を含んでおり、しかもその空洞の表面(壁)は独特の上皮で覆われている状態、のことをいいます。

嚢胞であるかどうかを確定的に診断するには、病変の一部(嚢の壁)を少し切り取って、その「独特の上皮」を顕微鏡で観察して判断することをいいます(これを『生検』『病理診断』といいます)。


【2】

一方で、歯根嚢胞の疑いがある場合に生検まで実施しているケースは、そんなに多くないと思います。

まーゆんさんも、歯科医院ないし口腔外科で、麻酔をかけて病変の部位を一部切除した、という経験は、おそらくはないかと思います(もしかすると、針のようなものを刺した検査はされたかもしれません)。


【3】

このように、嚢胞であるかどうかは、厳密には嚢の壁を一部切除して生検をしないと分からないのですが、一般にはレントゲンやCTでの画像診断で「歯根嚢胞の疑いがある」とされることが多いです。

問題はここにあり、レントゲンなどの画像では、「歯根嚢胞」なのか、その一歩手前の「歯根肉芽腫」なのかの鑑別は難しいことが多いです。

病変の大きさや映り方で、「おそらくは歯根嚢胞であろう」と判断されることが多いです。


【4】

また、歯根嚢胞という言葉自体、結構広い意味で使用されていて、歯根肉芽腫を含めた意味で言われていることも多いように思います。

ご質問の内容をうかがうかぎり、口腔外科の先生は厳密な意味での「歯根嚢胞」、歯科医院の先生は「歯根肉芽腫」に近い意味での歯根嚢胞と考えられているのでは、と思います。


【5】

ここで話は戻りますが、「歯根嚢胞」と「歯根肉芽腫」の違いについて、ちょっと乱暴ですがたとえで説明します。


【5−1】

膨らんだ風船を考えてみててください。

膨らんだ風船は、膨らまし口をほどいてやるとしぼみますよね。

これが「歯根肉芽腫」のイメージに似ています。

「歯根肉芽腫」=「風船」

「膨らまし口をほどく」=「抜歯

膨らまし口をほどくと再度吹き込まない限り、風船はふくらみません。
つまり抜をしてやれば、基本的に二度と膨らまないということになります。


【5−2】

今度は、膨らんだ風船の表面を硬い粘土か何かで覆ってやる場面をイメージしてください(あまりそんな場面はありませんが^^;)。

この場合、たとえ風船の膨らまし口をほどいてやって、風船はしぼんだとしても、粘土は元の形のまま残りますよね。

これが「歯根嚢胞」のイメージです。

「歯根嚢胞」=「風船」+「粘土」

「膨らまし口をほどく」=「抜歯」←でもこれだけでは粘土は残る

「粘土も壊してやる」=「嚢胞摘出」

ということになります。

本当に乱暴な説明ですが、少しでも参考になれば幸いです。



【ご質問2】

>歯科医師が歯根嚢胞ではなく根尖病巣として考えられて、抜歯のみで嚢胞を摘出しないで嚢胞を取り残してしまい、あらためて嚢胞だけを摘出をするという例が、一般的によくある話なのですか。

【回答】

残存嚢胞や、抜歯後の嚢胞の再発は、割合的にはそこまで多いとは思えません。


以上、長くなりましたが、担当の先生にもしっかりとご相談くださいね。

初めに書いたとおり、まーゆんさんの個別具体的な状況はこちらでは分かりません。
ここで私が回答したことはあくまで一般論です。


実際には、個別の症状に応じた処置を選択します。


まーゆんさんの治療がスムーズに進むことを願っています。
お大事にどうぞ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: まーゆんさん
返信日時:2008-07-30 22:05:28
中本先生、ありがとうございます。


風船のたとえがすごくわかりやすく、ものすごく助かりました。


そこでちょっと理解ができなかったので、もう一度お聞きしたいのですが、

「残存嚢胞や、抜歯後の嚢胞の再発は、割合的にはそこまで多いとは思えません」

とありますが、 


質問? それは、イコール = 歯科医師歯根嚢胞ではなく根尖病巣として考えられて、抜のみで嚢胞を摘出しないで嚢胞を取り残してしまい、あらためて嚢胞だけを摘出をするという例が、少なからず何件かはあったという事でよいのでしょうか。


なぜここまで気になるのかというと、インターネット等に歯根端切除後の嚢胞の再発は例がでているのですが、抜歯後の嚢胞の再発、抜歯後に再度、嚢胞の摘出手術の例が、たった一件も見つけられず、


(1)抜歯後に嚢胞の嚢胞の摘出手術や、再発はないに等しいのではないかと考えこんでしまいます。


(2)ですから、抜歯後の残存嚢胞、再発した嚢胞は、自然に消えていくのではないかとも思ってしまいます。


質問? 上の(1)(2)は完全に間違いなのでしょうか。



質問? 抜歯後の嚢胞の再発とは、抜歯をすると嚢胞が一度消えてから再度、嚢胞ができるという意味ですか。



質問? 残存嚢胞や、抜歯後の嚢胞の再発は、割合的にはそこまで多くないのになぜ口腔外科の先生は抜歯+嚢胞摘出を積極的に行う傾向があるのでしょうか。


再度分かりにくい説明と改行のやり方もわからず、ご迷惑をおかけします。
先生方、どうかよろしくお願い致します。                                
回答 回答5
  • 回答者
湯浅です。
回答日時:2008-07-30 23:33:48
湯浅です。

中本先生が、丁寧に答えられているので、これ以上は、やはり実際にまーゆんさんを診察しないとわからないと思います。
大きさとか、位置とか、の状況とか、いろいろありますから。

仮定で話をしても、複雑になって、さらに、まーゆんさんの不安材料が増えるばかりだと思います。


質問1:インターネットでの検索は、あてにはなりませんから。

抜歯後の残存嚢胞に関しては、残念ながら、どうなるのかのデータはありません。

残留のう胞に関しては、本当に、歯根のう胞であったか、他ののう胞であったかなど、いろいろな場面が想定されます。
また、抜歯後に、同部から洗浄を繰り返すかどうかにもよります。

すいません、どんどん、話が複雑になっていきます。

このあたりの説明だけで、40分ほど患者さんに説明したこともありますので、ネットでは、無理でしょう。



質問2:ですので、完全に間違いとは、言えません。


質問3:抜歯後の嚢胞の再発とは・・・に関しては、抜歯して歯根のう胞を摘出した場合、再発は、ありません。

しかし、歯根のう胞でない場合、抜歯しても再発があります。
また、それを鑑別するには、のう胞を摘出して病理検査をしなければなりません。

再発率は各疾患によって異なるので、それこそ教科書を読むことになります。



質問4:のう胞が、本当に歯根のう胞かどうかが不明だからです。
歯根のう胞と思ったのに、他の疾患だったという例があるからです。

たとえば、タイトルのみ探したのですが、

上顎歯根嚢胞から発生したと考えられる扁平上皮の一症例

http://www.meteo-intergate.com/journal/jsearch.php?jo=cp8stoma&ye=2000&vo=49&issue=3

です。

すいません、不安要素が増えました。


僕としては、抜歯するのならのう胞も取ったほうが良いと思います。

しかし、神経に近いとか、あまりにも大きい場合、洗浄してもらって小さくなるのを待つこともあります(僕は、それが多い)。でも、一部は取って病理検査をします。

回答 回答6
  • 回答者
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-08-01 02:07:19
まーゆんさん、こんにちは。

さて、私も湯浅先生がお答えされているように、これ以上の内容はインターネットでの医療相談の限界にあたると思います。

最後に私の個人的意見とすれば、抜歯前提で当該部位の治療を行うのであれば、やはり口腔外科嚢胞も摘出された方がよいと思います。


>なぜ口腔外科の先生は抜歯+嚢胞摘出を積極的に行う傾向があるのでしょうか。

とのご質問は、口腔外科ではの保存よりも嚢胞や口腔外科的疾患の治療に重点をおくからです。

口腔外科は、その名の通り「外科」です。


一方で、根切や歯を残す方向で考えられるのであれば、根管治療が得意な先生としっかりとご相談された上、治療を進めていかれることをお勧めします。

治療がスムーズに進むことを願っています。
お大事にどうぞ。




タイトル 歯根嚢胞で抜歯を薦められたが、根管治療で治せないでしょうか
質問者 まーゆんさん
地域 非公開
年齢 39歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯、根の病気で抜けた・抜く予定
根管治療の治療法
根管治療関連
根の病気(根尖病変・根尖病巣)
歯茎の婁孔(ろうこう・フィステル)
意図的再植
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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