歯根端切除術にあたっての担当医の説明に納得できない点が(NZ)
相談者:
Thrushさん (64歳:女性)
投稿日時:2011-02-09 11:48:31
2011/02/03に初めて質問投稿いたしましたが、その続きです。
⇒前回の相談:
「根に問題はないと歯科医は言うのに、歯茎にしこりがあり排膿(海外)」
今日、口腔外科に行き、結果、来週水曜日に、歯根端切除手術を受ける予約をしてきました。
口腔外科医の説明では、歯の根っこの先に暗い影があり、そこを切開してみなければわからない。
●抜くか、先端を切開切除する手術の二つに一つしかない。
●悪い所を取り除き、消毒して、縫合。
●過去に、一度切り開いて掃除した経験があると言うことから成功率は75%。
●手術は、時間にして、30分くらい。
とのことです。
レントゲン写真は、3〜4センチくらいのすこぶる小さい写真で、肉眼で見て、判るのかしら?という疑問があり、マイクロスコープや、マイクロミラーを使って手術をしますか?という質問には、いとも簡単に、
「使いませんよ。私の目で十分です」
と、言われました。
また、
「その前に、根管治療をする必要はありませんか?」
との問いに、
「根管ではなく、その先に問題があるから、そこを切ってきれいに殺菌処理します。うまく行けば、そのまま炎症を起こすことはないでしょうし、どうしてもだめな場合、その後抜歯ということになるでしょう」
といった内容の質疑応答でした。
この、サイトで、同じような質問に対する先生方のご回答を、読んで、
「・・・レントゲン写真の影を見ただけでは、歯根膿胞なのか、ただの膿なのか、判らない・・・」
とありましたが、根管治療は、10数年前にしたっきりなので、もう、しても無駄ということでしょうか?
また、肉眼で、30分くらいで手術できるものなのでしょうか?
海外(NZ)で、歯科技術に関して、あまり信頼できない?様な気がして、今一度、手術を受けるべきかどうか、お教えいただければ幸いです。
⇒前回の相談:
「根に問題はないと歯科医は言うのに、歯茎にしこりがあり排膿(海外)」
今日、口腔外科に行き、結果、来週水曜日に、歯根端切除手術を受ける予約をしてきました。
口腔外科医の説明では、歯の根っこの先に暗い影があり、そこを切開してみなければわからない。
●抜くか、先端を切開切除する手術の二つに一つしかない。
●悪い所を取り除き、消毒して、縫合。
●過去に、一度切り開いて掃除した経験があると言うことから成功率は75%。
●手術は、時間にして、30分くらい。
とのことです。
レントゲン写真は、3〜4センチくらいのすこぶる小さい写真で、肉眼で見て、判るのかしら?という疑問があり、マイクロスコープや、マイクロミラーを使って手術をしますか?という質問には、いとも簡単に、
「使いませんよ。私の目で十分です」
と、言われました。
また、
「その前に、根管治療をする必要はありませんか?」
との問いに、
「根管ではなく、その先に問題があるから、そこを切ってきれいに殺菌処理します。うまく行けば、そのまま炎症を起こすことはないでしょうし、どうしてもだめな場合、その後抜歯ということになるでしょう」
といった内容の質疑応答でした。
この、サイトで、同じような質問に対する先生方のご回答を、読んで、
「・・・レントゲン写真の影を見ただけでは、歯根膿胞なのか、ただの膿なのか、判らない・・・」
とありましたが、根管治療は、10数年前にしたっきりなので、もう、しても無駄ということでしょうか?
また、肉眼で、30分くらいで手術できるものなのでしょうか?
海外(NZ)で、歯科技術に関して、あまり信頼できない?様な気がして、今一度、手術を受けるべきかどうか、お教えいただければ幸いです。
回答1
細見歯科医院の細見です。
回答日時:2011-02-09 12:04:16
どうも根尖病変の様ですね。
御質問に有った根管治療をしても無駄かどうかですが、実際診ていないので一般論としてお聞きくださいね。
根尖病変の原因は感染した根管が生体内である歯槽部に開存しているからです。
治療法は基本的には通常通りの感染根管治療がファーストチョイスです。
歯根端切除は通常通りの根管治療ができない場合、通常通りの根管治療では治癒が望めない場合に行います。
実例としては、大きな或いは長いコアが入っていて除去困難、或いは除去によって根破折を起こす可能性が高い。
根尖が曲がっていて先端までの治療が困難、などです。
>肉眼で、30分くらいで手術できるものなのでしょうか?
これに関してはコメントできません。
出来る人は出来るだろうし、出来ない人は出来ません。
御質問に有った根管治療をしても無駄かどうかですが、実際診ていないので一般論としてお聞きくださいね。
根尖病変の原因は感染した根管が生体内である歯槽部に開存しているからです。
治療法は基本的には通常通りの感染根管治療がファーストチョイスです。
歯根端切除は通常通りの根管治療ができない場合、通常通りの根管治療では治癒が望めない場合に行います。
実例としては、大きな或いは長いコアが入っていて除去困難、或いは除去によって根破折を起こす可能性が高い。
根尖が曲がっていて先端までの治療が困難、などです。
>肉眼で、30分くらいで手術できるものなのでしょうか?
これに関してはコメントできません。
出来る人は出来るだろうし、出来ない人は出来ません。
相談者からの返信
相談者:
Thrushさん
返信日時:2011-02-09 18:35:48
細見先生
早速のご回答、まことにありがとうございます。
>基本的には通常道理の感染根管治療がファーストチョイスです。
>歯根端切除は通常通りの根管治療ができない場合、通常通りの根管治療では治癒が望めない場合に行います。
やはり、根管治療を、したうえで、駄目なら切除、と言うのが順序のようですね。
ですが、担当の先生は、それは必要ない、いきなり、歯根端を切除するとのこと・・何かすっきりしない気持ちです。
(最悪、いちかばちか、手術を受けて、75%の成功率に掛けるしかないのかな??と・・・)
根尖部の炎症が持続した結果、歯根肉芽腫になるとのことですが、私の場合、炎症が長期にわたっていますので、歯根肉芽腫になっていたとして、その場合は、歯根端切除するしかないということなのでしょうか?
>実例としては、大きな或いは長いコアが入っていて除去困難或い>は除去によって根破折を起こす可能性が高い。
大きな長いコアとは?レントゲンで見た限りでは、先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました。
そのことでしょうか?
実際見ていただくことができず、お答えのしようがないとは思いますが、一般論として、以上のこと、ご意見をお伺いできましたら、幸いです。
早速のご回答、まことにありがとうございます。
>基本的には通常道理の感染根管治療がファーストチョイスです。
>歯根端切除は通常通りの根管治療ができない場合、通常通りの根管治療では治癒が望めない場合に行います。
やはり、根管治療を、したうえで、駄目なら切除、と言うのが順序のようですね。
ですが、担当の先生は、それは必要ない、いきなり、歯根端を切除するとのこと・・何かすっきりしない気持ちです。
(最悪、いちかばちか、手術を受けて、75%の成功率に掛けるしかないのかな??と・・・)
根尖部の炎症が持続した結果、歯根肉芽腫になるとのことですが、私の場合、炎症が長期にわたっていますので、歯根肉芽腫になっていたとして、その場合は、歯根端切除するしかないということなのでしょうか?
>実例としては、大きな或いは長いコアが入っていて除去困難或い>は除去によって根破折を起こす可能性が高い。
大きな長いコアとは?レントゲンで見た限りでは、先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました。
そのことでしょうか?
実際見ていただくことができず、お答えのしようがないとは思いますが、一般論として、以上のこと、ご意見をお伺いできましたら、幸いです。
回答2
泉川歯科医院(茨城県笠間市)の泉川です
回答日時:2011-02-09 20:08:28
こんにちは!
文面等を拝見しました。海外で処置されるんですか。
それは不安がありますね、
日本では、いろいろな処置の選択肢がありますが、あくまでも私の私見で申し上げれば、意図的再移植もいいかなと思う今日この頃です。
意図的再移植は便宜的に、該当歯を抜歯し根端の病巣を取り除き、再び該当歯を移植するテクニックです。
主に前歯が適応です。
歯を固定しますが、歯根膜が健康であれば、2、3週間で、歯は固定されることが、ございます。
解釈にズレ等がありましたら、ごめんなさい。
ご参考にされてください。
文面等を拝見しました。海外で処置されるんですか。
それは不安がありますね、
日本では、いろいろな処置の選択肢がありますが、あくまでも私の私見で申し上げれば、意図的再移植もいいかなと思う今日この頃です。
意図的再移植は便宜的に、該当歯を抜歯し根端の病巣を取り除き、再び該当歯を移植するテクニックです。
主に前歯が適応です。
歯を固定しますが、歯根膜が健康であれば、2、3週間で、歯は固定されることが、ございます。
解釈にズレ等がありましたら、ごめんなさい。
ご参考にされてください。
回答3
細見歯科医院の細見です。
回答日時:2011-02-09 20:32:53
>歯根肉芽腫になっていたとして、その場合は、歯根端切除するしかないということなのでしょうか?
いえいえ、それでもファーストチョイスは通法通りの感染根管治療です。
それで治癒するケースも多いです。
>大きな長いコアとは?レントゲンで見た限りでは、先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました。
>そのことでしょうか?
それなんですが、根管充填剤が根尖付近まで入っていて途中までが土台の金属だと思います。
素人目には同じように白く見えるかもしれませんが、実際白さの違いが微妙にあると思います。
いえいえ、それでもファーストチョイスは通法通りの感染根管治療です。
それで治癒するケースも多いです。
>大きな長いコアとは?レントゲンで見た限りでは、先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました。
>そのことでしょうか?
それなんですが、根管充填剤が根尖付近まで入っていて途中までが土台の金属だと思います。
素人目には同じように白く見えるかもしれませんが、実際白さの違いが微妙にあると思います。
回答4
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-02-09 20:54:25
>レントゲンで見た限りでは、先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました。
根管充填剤のことでしょうか。
歯根端切除術は、あるレベル以上の根管充填がされている場合には根管治療のやり直しが必ずしも必要とは限りませんから、主治医はそう判断されたのではないでしょうか。
むしろ、日本の平均的保険診療レベル以上の治療を期待出来そうな気もします。
費用は日本の場合、歯根端切除手術1350点(3割負担なら4050円)、同時に歯根のう胞摘出を行った場合400点( 3割負担なら1200円)、これに再診料(3割負担で約120円)と薬代(3割負担で200円ちょっと位)です。
根管充填剤のことでしょうか。
歯根端切除術は、あるレベル以上の根管充填がされている場合には根管治療のやり直しが必ずしも必要とは限りませんから、主治医はそう判断されたのではないでしょうか。
むしろ、日本の平均的保険診療レベル以上の治療を期待出来そうな気もします。
費用は日本の場合、歯根端切除手術1350点(3割負担なら4050円)、同時に歯根のう胞摘出を行った場合400点( 3割負担なら1200円)、これに再診料(3割負担で約120円)と薬代(3割負担で200円ちょっと位)です。
回答5
誠安・瑞石牙医診所(台湾)の王です。
回答日時:2011-02-09 21:17:44
勝手の分からない海外で大変のようですね・・・・お気持ちお察しいたします。
前回のご相談も含めますと記述内容がとても長く、ご質問も多いので、段落を付けていきながらお答えしていきますね。
長文になるかもしれませんが・・・・^^;
>1998年に、(海外で)右上3番の歯(日本で根管治療をした歯です)ぐきが腫れ、歯科医が、歯ぐきを切開して掃除し縫合し、そのまま、何も処置してくれず、歯茎は、開いたままの状態で今日まで来ています。
切開+排膿は応急処置として捉えると間違いはないように思いますが、根本的な解決には繋がらないです。
その後の治療計画がなかったのは残念ですね。
最初に受診されたのはGP・一般歯科だと思うのですが、せめて、高次医療機関か根管治療専門医のところに紹介してほしかったですね・・・・
>レントゲンを見て、歯科医は、
>「歯根は全く問題ないのに、何でこんなことが起こるのか、理解しがたい。口腔外科を紹介するので、行って相談してください」
>とのことで、抗生物質Amoxycillin 500gを処方してくれました。
こちらもGP(General Practice)の先生なのでしょうか?
個人的に、こういった問題は根管治療科(Endodontic department)またはその専門医(Endodontist)を紹介して頂いたほうが適切だったと思います。
>根管治療の問題ではないらしいのに
そうでしょうか・・・・?
実際に診ていませんのに、こういう言い方は不適切ですが・・・
記述内容で「先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました」とありますので、そう判断されたのかもしれないですね。
ただ、これが仮に根管充填だったとして、
先までキレイに根管充填されている=全く問題ない
というわけではないのです。
根管治療の最大の目的と目標は”根管内の全ての抗原物質を除去する”(そして”再び入れない”)ですので、根管内に抗原物質が残留していますと、根管充填をキレイに確実に行っても予後不良になることがあります。
抗原物質というのは根の先にある根尖歯周組織を傷害する細菌、細菌の代謝産物、壊死した歯髄組織などのことです。
ミクロ上の「完全な」無菌化というのは現時点の技術ではまだ無理ですが、極力、無菌化に近づく、近い状態にすることは可能で、特に根管治療を得意とされている先生や専門医といわれる先生は無菌化に対する力の入れ方が違います。
もちろん、歯根に関しての専門知識も違います。
>来週、相談に行く前に、ある程度、知識を得ておきたいのですが、どのような質問をしたらよいものでしょうか?
まず、的確な診断をして頂くことが大切だと思います。
細見先生が指摘されている、
1、根尖性歯周炎
2、歯槽膿漏
3、根破折(パーフォレーション)
さらに、上3番ということなので、根と顎の骨との関係で+フェネストレーションなどといった可能性もあるかもしれません。
識別診断の意味でも、せめて歯周ポケットの検査はして頂いたほうが良いかもしれませんね。
>レントゲン写真は、3〜4センチくらいのすこぶる小さい写真で、肉眼で見て、判るのかしら?という疑問があり、マイクロスコープや、マイクロミラーを使って手術をしますか?という質問には、いとも簡単に、「使いませんよ。私の目で十分です」と、言われました。
同じ根尖端切除術を行う場合、口腔外科の先生と根管治療科の先生では、後者の方がマイクロを併用する確率が高いです。
ただし、根管治療を得意とする先生でも使われない方も多く、あるなし自体が直接予後に影響するというのではありません。
なくても素晴らしい治療をされている先生はいらっしゃいます。
(ただし、あったほうが術域の視野が良いということは言えますので、私は使っています。)
根尖端切除術というのは、外科的歯内治療の一つの方法で、通常の根管治療では治せなかった根管疾患を治すためのいわば奥の手(最終手段)です。
根尖切除+逆根管充填+歯根修復などが一式になっているのが理想的です。
手術時に根管治療医と口腔外科医が使う器具はサイズ的に全く違いますし、種類も違うことから、根管科の方がより精度の高い処置が可能だと言えます。
>「その前に、根管治療をする必要はありませんか?」
>との問いに、
>「根管ではなく、その先に問題があるから、そこを切ってきれいに殺菌処理します。うまく行けば、そのまま炎症を起こすことはないでしょうし、どうしてもだめな場合、その後抜歯ということになるでしょう」
奥の手である外科的処置は慎重に用いたほうが良いということと、感染源を根管内に残したまま闇雲に根尖を切ってもまた再発するリスクを負う事になるという理由で、個人的には出来れば再根管治療され、ある程度予後を見られてから施したほうが良いかと思いますが、除去困難な長いポストが入っている場合などは外科的アプローチに頼わざるを得なくなりますね・・・・・
根尖端切除は何度も繰り返して良いものではありません。
切って、切って、また切ると・・・・歯冠と歯根の長さ、比率が崩れることになり、例え歯根が残せるようになったとしても歯の安定性と機能面で問題が出てきます。
>この、サイトで、同じような質問に対する先生方のご回答を、読んで、「・・・レントゲン写真の影を見ただけでは、歯根膿胞なのか、ただの膿なのか、判らない・・・」とありましたが、根管治療は、10数年前にしたっきりなので、もう、しても無駄ということでしょうか?
歯根膿胞か、ただの膿か、判らない・・・・だと思いますよ。
根尖病変には「根尖性歯周炎」「歯根肉芽腫」と「歯根嚢胞」があり、特に後者の二つが混同されて診断されている場合が非常に多いです。
英語で根尖性歯周炎が「Apical periodontitis」、歯根肉芽腫は「Periapical granuloma」で、歯根嚢胞は「Radicular cyst」という全くの別物ですが、ネーミングが似ている上に、レントゲン画像だけでは区別されにくいということから混同されてしまっています。
サイズが同じようなものは確かに識別診断が困難です。
確定診断には病理組織検査をしなければならないのですが、実際は大きさや(10mm以上は嚢胞だというように)、膿の周りの映像の映り方で「なんとなく、おそらくは、たぶん・・・」と判断されることが多く、レントゲン透過像(膿・影の部分)の小さいものを根尖性歯周炎・歯根肉芽腫、大きいものを歯根膿胞と区別したりしています。
どの発症原因も同じで、根管内に貯留した感染物質によるものです。
簡単に言い換えますと、歯髄が壊死した場合や歯神経を取る治療に不備があった場合、根の中に残された腐敗組織、細菌や汚染物が根の外に溜まって膿を作るということです。
感染物質に対する免疫応答の結果根尖部に炎症が起こったわけですから、根本的な治療方法は、根尖性歯周炎では再根管治療、歯根肉芽腫であれば、再根管治療と、必要に応じて外科的処置(根尖端切除術)を併用したものになります。
歯根膿胞の場合は、再根管治療→縮小傾向が認められなければ→歯根端切除術+嚢胞摘出を行い、サイズ的に大きいものや保存が困難なものは抜歯+嚢胞摘出となるのが一般的です。
さて、長々と書いてきましたが・・・・
グローバル化している今、とんでもない僻地か、医療事情が厳しい国を除いて、海外だから日本のように処置の選択肢が多くない、治療出来ないという事はないと思います。
受診された歯科医師の診断力や技量、専門性、考え方、経営方針で治療方針が違ってくると認識されたほうが正しいかと思います。
これは日本国内に於いても言えることだと思っています。
ただ、勝手の違う海外では、言葉の問題、情報源の少なさで、現地人より選択肢が限られてしまうことはあると思います。
もう少し現地の医療情報を集め、慎重に考慮なさってから治療を始められたほうが良いのではないかと思いますよ。
一度、根管治療の専門知識を持つ現地の先生にセカンド・オピニオンを求められたら如何でしょうか。
微力ながら、少しでもお力になれば幸いです。
お大事になされて下さい。
前回のご相談も含めますと記述内容がとても長く、ご質問も多いので、段落を付けていきながらお答えしていきますね。
長文になるかもしれませんが・・・・^^;
>1998年に、(海外で)右上3番の歯(日本で根管治療をした歯です)ぐきが腫れ、歯科医が、歯ぐきを切開して掃除し縫合し、そのまま、何も処置してくれず、歯茎は、開いたままの状態で今日まで来ています。
切開+排膿は応急処置として捉えると間違いはないように思いますが、根本的な解決には繋がらないです。
その後の治療計画がなかったのは残念ですね。
最初に受診されたのはGP・一般歯科だと思うのですが、せめて、高次医療機関か根管治療専門医のところに紹介してほしかったですね・・・・
>レントゲンを見て、歯科医は、
>「歯根は全く問題ないのに、何でこんなことが起こるのか、理解しがたい。口腔外科を紹介するので、行って相談してください」
>とのことで、抗生物質Amoxycillin 500gを処方してくれました。
こちらもGP(General Practice)の先生なのでしょうか?
個人的に、こういった問題は根管治療科(Endodontic department)またはその専門医(Endodontist)を紹介して頂いたほうが適切だったと思います。
>根管治療の問題ではないらしいのに
そうでしょうか・・・・?
実際に診ていませんのに、こういう言い方は不適切ですが・・・
記述内容で「先端まで、くっきり白くて長くまっすぐで先細りの筋がありました」とありますので、そう判断されたのかもしれないですね。
ただ、これが仮に根管充填だったとして、
先までキレイに根管充填されている=全く問題ない
というわけではないのです。
根管治療の最大の目的と目標は”根管内の全ての抗原物質を除去する”(そして”再び入れない”)ですので、根管内に抗原物質が残留していますと、根管充填をキレイに確実に行っても予後不良になることがあります。
抗原物質というのは根の先にある根尖歯周組織を傷害する細菌、細菌の代謝産物、壊死した歯髄組織などのことです。
ミクロ上の「完全な」無菌化というのは現時点の技術ではまだ無理ですが、極力、無菌化に近づく、近い状態にすることは可能で、特に根管治療を得意とされている先生や専門医といわれる先生は無菌化に対する力の入れ方が違います。
もちろん、歯根に関しての専門知識も違います。
>来週、相談に行く前に、ある程度、知識を得ておきたいのですが、どのような質問をしたらよいものでしょうか?
まず、的確な診断をして頂くことが大切だと思います。
細見先生が指摘されている、
1、根尖性歯周炎
2、歯槽膿漏
3、根破折(パーフォレーション)
さらに、上3番ということなので、根と顎の骨との関係で+フェネストレーションなどといった可能性もあるかもしれません。
識別診断の意味でも、せめて歯周ポケットの検査はして頂いたほうが良いかもしれませんね。
>レントゲン写真は、3〜4センチくらいのすこぶる小さい写真で、肉眼で見て、判るのかしら?という疑問があり、マイクロスコープや、マイクロミラーを使って手術をしますか?という質問には、いとも簡単に、「使いませんよ。私の目で十分です」と、言われました。
同じ根尖端切除術を行う場合、口腔外科の先生と根管治療科の先生では、後者の方がマイクロを併用する確率が高いです。
ただし、根管治療を得意とする先生でも使われない方も多く、あるなし自体が直接予後に影響するというのではありません。
なくても素晴らしい治療をされている先生はいらっしゃいます。
(ただし、あったほうが術域の視野が良いということは言えますので、私は使っています。)
根尖端切除術というのは、外科的歯内治療の一つの方法で、通常の根管治療では治せなかった根管疾患を治すためのいわば奥の手(最終手段)です。
根尖切除+逆根管充填+歯根修復などが一式になっているのが理想的です。
手術時に根管治療医と口腔外科医が使う器具はサイズ的に全く違いますし、種類も違うことから、根管科の方がより精度の高い処置が可能だと言えます。
>「その前に、根管治療をする必要はありませんか?」
>との問いに、
>「根管ではなく、その先に問題があるから、そこを切ってきれいに殺菌処理します。うまく行けば、そのまま炎症を起こすことはないでしょうし、どうしてもだめな場合、その後抜歯ということになるでしょう」
奥の手である外科的処置は慎重に用いたほうが良いということと、感染源を根管内に残したまま闇雲に根尖を切ってもまた再発するリスクを負う事になるという理由で、個人的には出来れば再根管治療され、ある程度予後を見られてから施したほうが良いかと思いますが、除去困難な長いポストが入っている場合などは外科的アプローチに頼わざるを得なくなりますね・・・・・
根尖端切除は何度も繰り返して良いものではありません。
切って、切って、また切ると・・・・歯冠と歯根の長さ、比率が崩れることになり、例え歯根が残せるようになったとしても歯の安定性と機能面で問題が出てきます。
>この、サイトで、同じような質問に対する先生方のご回答を、読んで、「・・・レントゲン写真の影を見ただけでは、歯根膿胞なのか、ただの膿なのか、判らない・・・」とありましたが、根管治療は、10数年前にしたっきりなので、もう、しても無駄ということでしょうか?
歯根膿胞か、ただの膿か、判らない・・・・だと思いますよ。
根尖病変には「根尖性歯周炎」「歯根肉芽腫」と「歯根嚢胞」があり、特に後者の二つが混同されて診断されている場合が非常に多いです。
英語で根尖性歯周炎が「Apical periodontitis」、歯根肉芽腫は「Periapical granuloma」で、歯根嚢胞は「Radicular cyst」という全くの別物ですが、ネーミングが似ている上に、レントゲン画像だけでは区別されにくいということから混同されてしまっています。
サイズが同じようなものは確かに識別診断が困難です。
確定診断には病理組織検査をしなければならないのですが、実際は大きさや(10mm以上は嚢胞だというように)、膿の周りの映像の映り方で「なんとなく、おそらくは、たぶん・・・」と判断されることが多く、レントゲン透過像(膿・影の部分)の小さいものを根尖性歯周炎・歯根肉芽腫、大きいものを歯根膿胞と区別したりしています。
どの発症原因も同じで、根管内に貯留した感染物質によるものです。
簡単に言い換えますと、歯髄が壊死した場合や歯神経を取る治療に不備があった場合、根の中に残された腐敗組織、細菌や汚染物が根の外に溜まって膿を作るということです。
感染物質に対する免疫応答の結果根尖部に炎症が起こったわけですから、根本的な治療方法は、根尖性歯周炎では再根管治療、歯根肉芽腫であれば、再根管治療と、必要に応じて外科的処置(根尖端切除術)を併用したものになります。
歯根膿胞の場合は、再根管治療→縮小傾向が認められなければ→歯根端切除術+嚢胞摘出を行い、サイズ的に大きいものや保存が困難なものは抜歯+嚢胞摘出となるのが一般的です。
さて、長々と書いてきましたが・・・・
グローバル化している今、とんでもない僻地か、医療事情が厳しい国を除いて、海外だから日本のように処置の選択肢が多くない、治療出来ないという事はないと思います。
受診された歯科医師の診断力や技量、専門性、考え方、経営方針で治療方針が違ってくると認識されたほうが正しいかと思います。
これは日本国内に於いても言えることだと思っています。
ただ、勝手の違う海外では、言葉の問題、情報源の少なさで、現地人より選択肢が限られてしまうことはあると思います。
もう少し現地の医療情報を集め、慎重に考慮なさってから治療を始められたほうが良いのではないかと思いますよ。
一度、根管治療の専門知識を持つ現地の先生にセカンド・オピニオンを求められたら如何でしょうか。
微力ながら、少しでもお力になれば幸いです。
お大事になされて下さい。
相談者からの返信
相談者:
Thrushさん
返信日時:2011-02-10 08:29:36
細見、泉川、藤森、王各先生方、
大変ご多忙な一日でお疲れなのに、遅い時間に、適切な、専門的な、ご回答をくださり、頭の下がる思いでいっぱいです。
泉川先生
先生のおっしゃる意図的再移植などの技術は、まだ、NZの歯科では、無理なような気がします。
調べてみないと判りませんが(一部の大病院では行っているかもしれませんが)・・・もしするのであれば、日本に帰ってやりたいと思います。
細見先生
いつも、速やかなお返事を下さり、感謝です。
>根管充填剤が根尖付近まで入っていて途中までが土台の金属
ということが妥当なような気がします。
藤森先生
NZは、怪我は、無料、病気は、国立病院に行けば、安くて治療してもらえます(但し、待ち時間、予約で一杯という状態で、お金のある人は私立病院に行きます)。
でも、歯科は例外で、自分で保険に入るか、高い費用を払うしかありません。ちなみに、今回、歯根端切除手術の費用は、1000ドル(現在1NZドル≒66円位です)くらいだと言われました。
歯科の分野は、自分の経験から、あまり、日本ほどに、繊細な治療をしてくれないような気がします。
NZは、歯科医療は、自費で高いので、水道にフッ素を入れている自治体が多く、皆、すごく歯が丈夫みたい?です。
王先生
長い文を、丁寧に読んでくださり、ひとつひとつ、非常に解りやすくご説明くださり、ありがとうございました。
おかげさまで、どうしたらいいか方向が見えてきました。
台湾に行って治療していただきたいくらいです。
先生方の一致したご意見で、結局、apicoectomyは、最後の手段で、その前に、再根管治療が必須だと言うことが、よく理解できました。
来週のapicoectomyの予約は、とりあえず、延期してもらいます。
そして、根管充填剤にどういうものが入っているのか?
あるいは、再根管治療は、できないのか、もう一度、口腔外科を紹介してくださったかかりつけの歯科医に、確かめ、ウェブサイトで、NZの歯科、あるいは、歯科医のセカンドオピニオンなど調べた上で、どうするか決めたいと思います。
先生方、本当に、ありがとうございました。
海外在住の者にとって、このha channel 88は、大いなる助けです。
他の方の、色々な質問に対するご回答を読むにつけ、歯をそんなに悪くなるまでほおっておいた、自分自身が悔やまれます。
これ以上歯を失わないよう(現在2本抜歯した状態です)これから、計画的に歯科での定期的点検など、行って行きたいと思います。
歯科医の諸先生方、ha channel88を立ち上げてくださり、ありがとうございました。心からお礼申し上げます。m__m
また、何か起こりましたら、相談させてください。
歯を大切に、”エナメル質より輝く人生を!”送りたいです!
Thrush
大変ご多忙な一日でお疲れなのに、遅い時間に、適切な、専門的な、ご回答をくださり、頭の下がる思いでいっぱいです。
泉川先生
先生のおっしゃる意図的再移植などの技術は、まだ、NZの歯科では、無理なような気がします。
調べてみないと判りませんが(一部の大病院では行っているかもしれませんが)・・・もしするのであれば、日本に帰ってやりたいと思います。
細見先生
いつも、速やかなお返事を下さり、感謝です。
>根管充填剤が根尖付近まで入っていて途中までが土台の金属
ということが妥当なような気がします。
藤森先生
NZは、怪我は、無料、病気は、国立病院に行けば、安くて治療してもらえます(但し、待ち時間、予約で一杯という状態で、お金のある人は私立病院に行きます)。
でも、歯科は例外で、自分で保険に入るか、高い費用を払うしかありません。ちなみに、今回、歯根端切除手術の費用は、1000ドル(現在1NZドル≒66円位です)くらいだと言われました。
歯科の分野は、自分の経験から、あまり、日本ほどに、繊細な治療をしてくれないような気がします。
NZは、歯科医療は、自費で高いので、水道にフッ素を入れている自治体が多く、皆、すごく歯が丈夫みたい?です。
王先生
長い文を、丁寧に読んでくださり、ひとつひとつ、非常に解りやすくご説明くださり、ありがとうございました。
おかげさまで、どうしたらいいか方向が見えてきました。
台湾に行って治療していただきたいくらいです。
先生方の一致したご意見で、結局、apicoectomyは、最後の手段で、その前に、再根管治療が必須だと言うことが、よく理解できました。
来週のapicoectomyの予約は、とりあえず、延期してもらいます。
そして、根管充填剤にどういうものが入っているのか?
あるいは、再根管治療は、できないのか、もう一度、口腔外科を紹介してくださったかかりつけの歯科医に、確かめ、ウェブサイトで、NZの歯科、あるいは、歯科医のセカンドオピニオンなど調べた上で、どうするか決めたいと思います。
先生方、本当に、ありがとうございました。
海外在住の者にとって、このha channel 88は、大いなる助けです。
他の方の、色々な質問に対するご回答を読むにつけ、歯をそんなに悪くなるまでほおっておいた、自分自身が悔やまれます。
これ以上歯を失わないよう(現在2本抜歯した状態です)これから、計画的に歯科での定期的点検など、行って行きたいと思います。
歯科医の諸先生方、ha channel88を立ち上げてくださり、ありがとうございました。心からお礼申し上げます。m__m
また、何か起こりましたら、相談させてください。
歯を大切に、”エナメル質より輝く人生を!”送りたいです!
Thrush
タイトル | 歯根端切除術にあたっての担当医の説明に納得できない点が(NZ) |
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質問者 | Thrushさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 64歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
根管治療の治療法 歯根端切除術 ニュージーランド 根の病気(根尖病変・根尖病巣) |
回答者 |
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- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。