9歳、神経が死んでいるかもしれないのに経過観察に不信 (米国)

相談者: pママさん (9歳:女性)
投稿日時:2011-10-07 09:16:40
参考:過去のご相談
〔写真あり〕9歳、歯の痛み、歯茎と顔の腫れが治まらない (アメリカ)
米国在住9歳児、歯の痛みと顔の腫れ、高熱。病名も原因も言われない


9歳児のことで2回ほど相談したものです。

最終的に大学病院にいったのですが、初めての治療で、マイクロスコープで歯に穴が開いていることが確認できて、歯の形から中央結節によるもので、おそらく歯髄と菌はこの穴からコンタクトし炎症になったと考えられる。
歯の神経は生きていると考えられる。
(で何処のとはいわれず。。歯髄炎なのか、歯根幕炎なのか 根尖性歯周炎なのか不明)


そのときは、先生も治療方法に、いろいろ考えがあったらしく、最初は、半分をコンクリートで生めてとか説明した後に、突然、可能性は低いけど、歯に穴を開けたら歯の生命はおしまいだし、穴を開けるのを急ぐことはないので、regenerative endodontics therapyという新しい方法をして見ましょうといわれて、炎症の繰り返しのあること、最悪の場合抜歯ということがありますといわれ、歯茎抗生剤のような薬を注射して、1週間後に来るようにいわれました。


歯茎の腫れの大きさは、すごし小さくなり、色がピンクから赤っぽくなりました。
今日また小さいピンクの腫れがそこから出ていたのですが、、

それで、1週間後、再来すると、確かに問題があるのは根幹、歯髄だと思うのだが、レントゲンでは病巣が小さいのと 穴が小さすぎて どんな器具も通らない。 
したがって、歯に穴を開けるまでの決断にいたらない。

歯茎の発達が未熟で、アペキシケションをしても、1年もしないうちに抜けてしまうから、もうすこし成長を待ったほうがいいので、3ヵ月後に来るようにいわれました。

もちろん、また、歯が痛くなったり、歯茎のふくらみがひどくなったりしたら、来診するようにと言われました。

抗生物質は もう処方できないそうです。


私はあまりの驚きに(突然の方針変更に) 質問もできずに帰宅してしまいました。
これからメールで担当の先生に 質問をしようと思います。



(1)炎症が広がって、ほかの歯の歯髄に影響はしないのでしょうか?


(2)regenerative endodontics therapyのトライアルはどうなったんでしょうか?
(もしくはセラピー中なのでしょうか?)


(3)どうして、穴はふさいでくれないのでしょうか?
根幹治療医だからでしょうか?)


サイトの先生方に質問ですが、(上の質問も答えていただけたらうれしいですが、) 


(4)こんな様子経過は あり なのでしょうか。
3ヶ月ものあいだに、のこっている炎症が またひどくなって、ほかの歯に影響したりするのは怖いのですが。


(5)本当に歯に穴を開けたら、歯の生命は終わりなのでしょうか? 

触らないで、蓋をしたらいいというわけにはいかないのでしょうか?
私の考えでは、小さいとはいえ歯の穴から進入した菌なら、当然上部の歯髄に炎症を加えていると思うので、すこし穴を広げて ファイバースコープなんかで見たら、歯髄の状態が探れると思うのですが。


(6)歯髄(神経)がすこしでも生きていれば、歯や周辺の歯茎は
炎症があっても成長するのでしょうか? 

もちろん、成長して、早歯茎が完成するころに、根幹を処理したほうが、成功しそうなので、それにこしたことはないのですが。



(7)神経が生きているかどうかの根拠は、歯をたたくとすこし痛む、冷たいテストに反応する、なんですが。

ほかのところで、冷たいテストと電流テストをしたとき、すぐに反応があったのですが、「子供だからあてにはならない」ともいわれたのですが。



(8)歯科医ではないので、文献を閲覧できないことが多いのですが、regenerative endodontics therapy (treatment) というのか 2008年ごろから、clinical studyでいろいろ行われているらしいのですが、日本ではあるのでしょうか?



とても、複雑な質問で、おうかがいしにくいのですが、もし、なにかアドバイスがありましたら、よろしくおねがいします。


主人には、歯が一本なくても死なないし、死ぬような病気じゃないから、そんなに心配するなといわれると、そういえば私も中学のとき奥歯を抜歯してブリッジですが、(抜歯の後 おそらく2,3年ブリッジをしてなかった気がします。)30年以上たっても何も問題はないし、本人は今のところ不自由はないし。


もう5人目の歯科医で、レントゲンを持参したにもかかわらず、幾たびに撮影され、もう、別の歯科医には当分連れて行く気にもなれず、最後に頼りにしていた大学病院の教授なので、もう、しょうがない気もします。

担当の先生のおっしゃるように、炎症がひどくなったら、考えればいいのかもしれませんが。
所詮 住んでいるところでできる限りのことをするしかないのかもしれませんから。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-10-07 23:34:03
pママさん
こんばんは
先生方が困っているようですね。
少し長くなりましたが、おつきあいください。


>(1)炎症が広がって、ほかの歯の歯髄に影響はしないのでしょうか?

しません。


>(2)regenerative endodontics therapyのトライアルはどうなったんでしょうか?

まだ、臨床で行う事ができるほどの治療方法ではありません。



>(3)どうして、穴はふさいでくれないのでしょうか?

穴は開いていないと判断されていますよ。

もちろん歯の上の部分に細菌が侵入出来るくらいの穴は開いているのですが、少なくとも、先生は、歯髄との交通があると考えていないようです。
もしも、交通があるのであれば、穴を開けて治療をするのが、一般的ですから。

そして、その理由は検査で歯髄が反応していると判断されているからです。



>(4)こんな様子経過は あり なのでしょうか。
>3ヶ月ものあいだに、のこっている炎症が またひどくなって、ほかの歯に影響したりするのは怖いのですが。

少なくとも、他の歯には影響は出ませんが、この歯の問題は解決しないと思います。
早く解決してもらった方が良いと思います。



>(5)本当に歯に穴を開けたら、歯の生命は終わりなのでしょうか? 
>触らないで、蓋をしたらいいというわけにはいかないのでしょうか?

いいえ。この位で歯の命が終わりになる訳ではありません。
適切に治療をすることができれば大丈夫なのです。



>(6)歯髄(神経)がすこしでも生きていれば、歯や周辺の歯茎は炎症があっても成長するのでしょうか? 
>もちろん、成長して、早歯茎が完成するころに、根幹を処理したほうが、成功しそうなので、それにこしたことはないのですが。

そうですね。歯髄細胞が生きていると歯根が成長します。

それから、根管が現在はあまりに太いので、歯髄の処置を行う事を
先生はためらっているのです。
今直ぐに歯髄を取ると、その太い根管が太いままになり、歯は薄い状態になりますので、将来歯が折れる可能性が高くなることを心配されているのです。

もしも、歯髄が少しでも生きているのであれば、時間と共に根管が細くなってくれます。
言い換えれば、歯の厚みが増し、歯が折れにくくなります。

ですから、そういう点を考慮して、時間稼ぎをしているだけなのです。


決して解決の方向にすぐに進んではいないのですが、一応メリット(歯が折れないで保存出来る)がある可能性を残したいわけです。

ただし、逆に感染が広がるというデメリットも大きくなっていっています。
感染が根尖まで及ぶと、全ての歯髄細胞は死んでしまうので、根管が太いままになってしまい、将来感染を取る根管治療が成功しても、歯が折れてしまうリスクは高くなります。




>(7)神経が生きているかどうかの根拠は、歯をたたくとすこし痛む、冷たいテストに反応する、なんですが。ほかのところで、冷たいテストと電流テストをしたとき、すぐに反応があったのですが、「子供だからあてにはならない」ともいわれたのですが。


そうですね。
結局は、ここが胆なのです。

本当にその歯の神経が死んでしまっていて感染していることが明らかならば、迷わず治療は感染根管治療になるわけです。
したがって、歯の上から小さな穴を開けて、歯髄の部屋まで削り、感染した根管を奇麗にしていけば、歯肉が腫れている部分は奇麗に元通りになると思います。

ところが、臨床所見に矛盾があるので、どの先生方も治療をためらっているのですよ。


歯髄が死んでいる証拠
「歯肉が腫れて膨らんでいる」(歯周病が原因ではない)
「歯をたたくとすこし痛む」
「根の先が黒くレントゲンでみえる」

歯髄が生きている証拠
「冷たいテストに反応する」
「冷たいテストと電流テストをしたとき、すぐに反応」

要は、歯髄が死んでいるはずなのに、反応があるので、困っているのです。
臨床を長く行っていると、たまにこのように臨床所見が矛盾する例に遭遇する事があります。
いくつかの検査を行い確認していくしかないですね。


結局、

A: 歯髄が生きていると反応をしている結果が実は誤りなのか、
B: 歯髄が死んでいるという反応が実は誤りなのかを調べて、判断するしかないです。


A: 良くあるのですが、歯に刺激を与えているようで、実は電流は歯肉の方へ流れていきます。
そうすると、痛みを感じることがあります。

誤って歯髄がまだ生きていると診断する場合があります。
冷たいものも同様です。

このような生活歯髄検査は、その問題の歯を検査することが重要なのではなく、周りの歯および、反対側の同じ大きさの歯を調べてみることで、その結果が誤って反応したものかどうかの判断ができる場合があります。


また、若年者は、歯科医院にかかっているだけで緊張しており、また、不安で一杯ですから、疼痛閾値(痛みを感じる程度)が下がっていて、痛みを感じやすい状態になっています。
したがって、本来は感じない刺激を感じてしまうこともあります。



B:若年者の神経組織はまだ不完全ですので、生活歯であっても生活歯髄検査に反応がない場合があります。
またレントゲンでは歯の根の先の部分がまだ完成していない年齢のため、もともと黒く見える部分があります。


このように、診査の結果が矛盾していたり、診査結果が信頼出来ない年齢であることが原因で先生方がお困りになっているのです。

しかし、常識的に考えると、もう少し診査をしっかりと行えば確定診断はつくはずです。
例えば、歯茎が腫れていた時期があったと思いますが、その部分からトレースをしてレントゲンを撮ると、どこからが原因で腫れが起きたかを知ることができることもあります。

最後に、麻酔をせずに小さなバーでゆっくりと削っていっても痛みがない状態かどうかで判断します。
とにかく所見に矛盾がある場合は、総合的に考えることが重要で、一筋縄ではいかないです。



個人的な経験では、おそらく、上部の歯髄はすでに死んでいるか、あるいは感染していると考えます。

全ての歯髄を除去する必要はなく、感染している部分を除去してあげることで、残った歯髄がある限りは根の発育もしますし、根管も細くなっていくはずです。

この際におそらく、最初は麻酔なしで大丈夫でも、治療途中から、痛みを感じて麻酔が必要になると思います。


不思議なケースに思えるかもしれませんが、実はどの歯髄もそういう風な順序で感染が広がっていくのです。
最初と最後をみることが多いですので、気づきにくいですが、良くありますよ。





>(8)歯科医ではないので、文献を閲覧できないことが多いのですが、regenerative endodontics therapy (treatment) というのか 2008年ごろから、clinical studyでいろいろ行われているらしいのですが、日本ではあるのでしょうか?

これに関しては、あまり期待されないでくださいね。
まだ人の臨床研究はありません。
生物学的には普通は難しいです。



ご参考にされてください。

回答 回答2
  • 回答者
誠安・瑞石牙医診所(台湾)の王です。
回答日時:2011-10-08 05:38:14
こんばんは。

お久しぶりです。

UCLAで治療を受けられて、快方に向かわれているご報告かと思いアクセス致しましたが・・・・・・


>最終的に大学病院にいったのですが、初めての治療で、マイクロスコープで歯に穴が開いていることが確認できて、歯の形から中央結節によるもので、おそらく歯髄と菌はこの穴からコンタクトし炎症になったと考えられる。歯の神経は生きていると考えられる。


pママさんの初回のご質問からずっとお付き合いさせて参りましたが、ここまで来るのに、この診断が下されるまでに、本当に長い道程でしたね!! ^^;

取り敢えず、この診断に漕ぎ着けたということだけでも、個人的には嬉しく感じていますので、よかったですね。^^


これで五人目の先生だと最後のほうで書かれておられますが、確か、小児科の先生→根管科専門医歯→歯周科専門医→UCLA根管科の流れでしたね・・・・・・
UCLAでまた、担当の先生を替わられたのでしょうか?




>そのときは、先生も治療方法に、いろいろ考えがあったらしく、最初は、半分をコンクリートで生めてとか説明した後に

話しの流れから、何となくApexification・アペキシフィケーションのことを指しておられるような・・・・・



>突然、可能性は低いけど、歯に穴を開けたら歯の生命はおしまいだし、穴を開けるのを急ぐことはないので、regenerative endodontics therapyという新しい方法をして見ましょうといわれて、炎症の繰り返しのあること、最悪の場合抜歯ということがありますといわれ、歯茎抗生剤のような薬を注射して、1週間後に来るようにいわれました。

ここで担当医が言われているRET(regenerative endodontic therapy)については、下のほうでお書き致しますので、ここでは一先ず触れませんが、担当医がこの時点で言われているRETというのは、ニァンス的には、Apexiogenesisアペキソゲネーシスのことを指しておられるような感じもしなくもないですが・・・・・
どうなんでしょう・・・・・

そうであれば、別に間違ったことを言われていませんし、宮下先生と同じことを言われているわけですから・・・


歯茎に抗生剤のような薬を注射・・・という部分は、たぶんテトラサイクリン系のジェルを(だと思うのですが)歯肉サルカスに注入して、歯周経由の感染を抑える目的でお使いになられたのではないかと思います。

前回、periodontistでも歯周‐歯髄由来の鑑別診断を行うために、同じようなことをされていらっしゃいましたね。

そして、一週間後に、歯髄由来だとかなり断定出来たところで、次の問題に直面したわけです。
「幼若根未完成永久歯」という状況が、担当医に苦渋の選択を迫っています。


それが、これです。→
レントゲンでは病巣が小さいのと 穴が小さすぎて どんな器具も通らない。 
>したがって、歯に穴を開けるまでの決断にいたらない。歯茎の発達が未熟で、アペキシケションをしても、1年もしないうちに抜けてしまうから、もうすこし成長を待ったほうがいいので、3ヵ月後に来るようにいわれました。


ここまで読ませていただいて、個人的に感じたことなのですが、担当の先生は色々な事も考慮して真面目に対応しておられると思いますが、いまいちpママさんとの意思疎通が良好に図れていないようで、お伝えしたいことの半分もpママさんの方に伝われていないのではないかと強く感じました。

こういった根未完成歯根管治療は元々とても複雑で、また、その事前の説明を分かりやすく患者さんに伝えるのは、例え母国語を使った場合でも難しいところがあり、(こうしてpママさんにご説明している宮下先生と私の文章の長さをご覧になればお分かりになるかと^^;)


それが外国語になりますと、専門用語を含めた言葉の壁で、お伝えしたかったことの半分も出来なかった可能性があるかと思います。

ですから、ここで私たちがお手伝い出来ることは、担当医がご説明したかったであろうと思われる状態と、言葉の問題で説明不足でご理解していただけなかった部分を極力補ってあげることだと思っています。

この点を踏まえてご質問に回答して参りますが、一番理想的なのは、現在の担当医と簡単な文書でも良いですから、お聞きになりたい事や、疑問、ご不安に思われていることをきちんとお伝えして、意思疎通を図れたほうが良いのではないかと思います。

大変かと思いますが、頑張って試されて下さい。




では、ご質問についてですが、

>1)炎症が広がって、ほかの歯の歯髄に影響はしないのでしょうか?

前回でも回答致しましたが、致しません。
現在、透過像(病巣)も確認されておられませんので、この点に関してはご心配なさらなくても宜しいかと思います。




>(2)regenerative endodontics therapyのトライアルはどうなったんでしょうか?

RETと一口に言っても、色々なものがあり、ここで言われているのはどれなのでしょう。

個人的には、記述内容から推察して担当医は、Apexiogenesisのことを言っているのではないかとも思うのですが・・・・
何故なら、これをRETとお考えになられている先生もおられますので・・・
なので、そうしますと・・・・

宮下先生が→
「まだ、臨床で行う事ができるほどの治療方法ではありません。」
とお答えになられておられますが、これは宮下先生がお考えになられているRETが、別のRETのことで(歯髄幹細胞を使用したり、移植したりした歯髄再生方法)、確かに、これですと現時点ではやっと臨床研究が期待できるという段階で、実用化にはまだまだ超えなければならない幾つかの高いハードルがあります。

担当医はこれを指しているのではないと思うのですが・・・・

直接、担当の先生にメールでご確認されるのが一番良いと思いますよ。
ここで、私たちが憶測であれこれ考えても埒が明かないと思いますから。



>(3)どうして、穴はふさいでくれないのでしょうか?

済みませんが、どちらの穴のことを指しおられるのですか?^^;

central cuspの上の穴?
それとも、開いた根尖のほうの穴?

上のほうの場合は、歯髄腔との交通が探知出来なかったとおっしゃっているわけですから、「塞ぐ穴などない」と思われたから塞いでないのです。


根尖の穴の事を指しているのであれば、歯が死活されていないと思われている担当の先生は、その「穴」の部分に生きている歯髄組織、未分化間葉細胞を保存して、生理的な歯根形成を期待しようとなされておられるので、「穴を塞いでいない」のです。
・・・・・だと思います。



>(4)こんな様子経過は あり なのでしょうか。3ヶ月ものあいだに、のこっている炎症が またひどくなって、ほかの歯に影響したりするのは怖いのですが。

他の歯への影響はご心配なさらなくても良いと思います。
ただ、この歯に関しては、何らかの結論を下して、本格的な治療を始められた方が良いとは思います。




>(5)本当に歯に穴を開けたら、歯の生命は終わりなのでしょうか?
>触らないで、蓋をしたらいいというわけにはいかないのでしょうか?

どこまでの穴で、どのぐらい深い穴か、そして穴を開ける時と、歯髄腔まで開けた時の感染予防と損傷をどの程度まで食い止めることが出来るかに関わっていますが・・・・

ただ、仮に開けて「生きている」と分かったとしても、歯髄が病的な進行状態であるかどうかや、どの状態であるのかは臨床上、肉眼的には分からないので、開けても意味がないと言えます。



>(6)歯髄(神経)がすこしでも生きていれば、歯や周辺の歯茎は炎症があっても成長するのでしょうか? 
>もちろん、成長して、早歯茎が完成するころに、根幹を処理したほうが、成功しそうなので、それにこしたことはないのですが。

はい、そうです。

宮下先生が全てお答えになられておられますので、これ以上書くことはありません。


前回の回答でも触れましたが、幼若永久歯が歯髄組織を失うと、歯冠、歯根ともに薄く、歯質石灰化の程度も低いままで形成が止まってしまい脆弱な歯となります。

ですから、担当医は一縷の望みを掛けても、歯髄組織の保存に賭けようとさなって時間稼ぎをなさろうとされているのでは?

または、少し様子を観察されて、次回はApexiogenesisを試みようとされているのでは?(←担当医の言うRETかもです。)



>(7)神経が生きているかどうかの根拠は、歯をたたくとすこし痛む、冷たいテストに反応する、なんですが。
>ほかのところで、冷たいテストと電流テストをしたとき、すぐに反応があったのですが、「子供だからあてにはならない」ともいわれたのです。

この点についても、前回のご質問で回答しておりますが、こういった根未完成歯や萌出途中の歯、外傷直後の歯は電気診で電気閾値が上昇したり、反応しなかったりしますし、神経が完成していない根未完成歯は反応が鈍くなることが多く(今回は早かったそうですが。)、年齢的にもその反応に対する信憑性が低いとされていますから、「参考程度」にやられているのが殆どです。

個人的には、このような症例では電気診を行うのは稀で、他の診査を併合して総合的に判断しております。


腫脹の中央にろう孔があれば、インディケーターになるようなものを挿入してレントゲンを撮り、病原を探ることもあります。
この点も前回の回答で触れました。

診察法は先生毎に微妙に違いがあろうかと思いますが、根管治療科ですから、重要ポイントは押さえてやられているはずだと思いますよ。



それに、今回の担当医は、今までの先生と相対的に比べますと、とても慎重な方だという感じが致します。

慎重に歯髄を扱おうとなさって戸惑っていらっしゃる事がひしひしと伝わってきますので。

もどかしいと思われるお気持ちも理解出来ますが、適当に扱われるよりは良いのではないでしょうか。


私も、今回の場合は部分壊死、Partial pulp necrosisではないのかと思っています。

そうなのであれば、Apexiogenesis・アペキソゲネーシスを用いて、歯根部歯髄を保存して、生理的な歯根形成を期待すれば良いのではないかと思います。


前回お伝えした、アペキシフィケーションは歯根部歯髄が保存不可である、または歯髄が失活したと判断された場合に、根未完成歯の歯髄をやむなく除去し、水酸化カルシウム製剤MTAで暫間的根管充填を施して根尖閉鎖を期待する方法です。

くどいようですが、担当の先生が言われている歯髄再生法(RET)が何なのか、今一度確認されてみて下さいね。



>(8)歯科医ではないので、文献を閲覧できないことが多いのですが、regenerative endodontics therapy (treatment) というのか 2008年ごろから、clinical studyでいろいろ行われているらしいのですが、日本ではあるのでしょうか?

ありますよ。
再生医療に必要な細胞の代表格で、iPS細胞(induced pluripotent stem cell)という細胞がありますが、これは京都大学の山中伸弥教授が2006年に線維芽細胞から世界で始めて作られたものなのです。

歯髄幹細胞を用いた歯科領域での再生治療の研究と応用は日本でもされていますよ。
ただ、このRETは臨床応用にはまだまだ時間がかかりそうです。

歯髄再生が見られたと述べている臨床報告は多くありますが、一般的に臨床で普遍的に使用できるまでにはなっていません。




最後に。

今回この様に経過観察的な処置法になり、また突然、聞き慣れないRETを提示され、不安と動揺が出ていらっしゃるのがひしひしと伝わって参りました。

何回も何回もレントゲンを撮り、何も進展がない状態で過ごされることが如何に大変で不安なのかも分かります。


ただ、個人的には、担当医とpママさんの間で意思疎通出来ていないことで生じてしまった不安のようなものと無力感のほうがとても心配で、今後の治療協力度に悪影響を及ぼすのではないかと危惧しております。

もし、メールを通じても、今回の先生が今後の治療についてきちんとしたご説明が出来ないのであれば、別の先生にご相談されることを検討なさっても致し方ないと言えますが、医療に於いては、診断と最適な治療法を模索するために「観察時間という薬」も時には必要なのだということを少しでもお分かり頂いて、担当の先生ともう一歩深く話し合われてみることをお薦め致します。



参考になれれば幸いです。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: pママさん
返信日時:2011-10-10 10:26:13
宮下先生、王先生

コメントに大変感謝しております。
状況がよくわかって、担当の先生に何を質問したらよいかが よくわかりました。
やはり、日本語だととてもわかります。


インターネットを検索していて、化膿しているところを痛くないからと言って、治療せずにほおっておくと、その歯の歯周や、あごの骨まで感染するような文面を見たので、大変経過観察のことを心配していたのですが、その歯だけにとどまるとのこと。

やはり、先生方のお話を読んでいると、経験豊富な歯科医師のカンのようのものが必要な気がしました。



実は担当の先生も、外国で育ったため お互いネイティブではないせいか、会話がすこし難しい気がしました。

ともて、まじめで親身になってくれている様子とプロフェッショナルな手つきがうかがえましたが、faculty clinicに子供はめったに通院しないみたいで、看護士さんが私を患者と間違えそうになりました。
(そこで、すこしだけ不安になりました。子供の治療の経験豊富な人を紹介してくださいとお願いしたのですが。。。)


小児歯科医(レントゲン2枚)次に小児科を経て 根管科専門医歯(レントゲン1、2枚)→歯周科専門医(レントゲン1、2枚)→根管科専門医歯(レントゲン1、2枚)→UCLA根管科 (2,3枚撮影したような。。)

必ず前のレントゲンを送ってもらっているのに、何処でも改めて撮影されるので、どうしてか疑問に思っているところです。

(日本なら小児歯科医で全部できそうなことなのですが。。アメリカのように専門性があるのも悪いことではないですが、面倒ですね。)



担当の先生に、もう一度治療方針をお伺いして、やはり、炎症がひどくなるまで3ヶ月様子を見てくださいと言うような場合は、ほかの小児に経験豊富な根管科専門医歯先生に相談しようと思います。それとRET とはどういう意味でおっしゃったのかも。 


歯科医師会を通じて、すこし離れた郡内に2名だけ小児根管歯科医がいることを教えてもらい、直接歯科医師に状況を説明して、意思疎通がちゃんとできて、最も経験豊富そうな先生を探すことができたら、そちらのほうでの診療も考えてみたいと思います。


今までは、受付の人にさえぎられて、紹介状がないとだめだとか、受診して初めて実は診療経験がなかったとかいわれていたのですが、今回は、先生に直接メールを出して、診療経験があって、子供を診ていただけるか打診している最中です。

今は、レントゲンが心配なのと、担当の先生が、様子を見ようとおっしゃっていることもあり、ほかの先生の診療方針を打診しながら、1ヶ月くらい間を置いて、治療にかかれたらいいと思っています。

(放射線長は微量でも、一箇所集中で短期間に何枚もですがら、あとで心配の種なるとこまるので。。心配のしすぎでしょうか?)



今回のことで、歯科医の先生方がとても大変であることがわかりました。
それなのに、お仕事の合間に、時間を割いて、いろいろアドバイスいただいて本当に感謝しております。 
どうぞお体に気をつけてお過ごしください。



タイトル 9歳、神経が死んでいるかもしれないのに経過観察に不信 (米国)
質問者 pママさん
地域 非公開
年齢 9歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
歯茎(歯ぐき)の腫れ
小児歯科その他
アメリカ(米国)
乳歯の抜髄、根管治療
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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