かかりつけ医か専門医か。又、根管治療の成功率の基準とは

相談者: こつめさん (46歳:女性)
投稿日時:2018-10-23 21:08:03
いつも困ったときに拝読させて頂いております。
さて、右上7番が根管治療対象となりそうなのでご相談させて頂きました。

現状
対象の歯:右上7番(有髄歯) 二次カリエスで9/27治療後、生活に支障ない程度の軽い自発痛・持続痛が発生し現在も多少痛み有り。


根管治療をする場所として

歯科:かかりつけ医 
・以前別の歯(左上7番の場所に傾斜移動している7番代わりの8番の歯)の再根管治療保険料金でマイクロスコープ治療してもらった経緯有り。
その際ラバーダム無しでした。

現在自分の感覚的には以前治療した左上7番代わりの8番は良好。
6カ月後再度CTを撮って再評価するそうです。
3.4回目ぐらいの再根管で歯の量が少ない・傾斜している・根に膿がある状態の抜歯になりそうな歯を、CT撮り、未治療の管を探し当てて治療して頂き感謝している。
質問しやすく人間関係はできている。


B歯科:根管治療専門医
 今回9/27に削って痛みの出ている右上7番の根管治療をかかりつけ医に専門医(自費)検討していることを伝えたら紹介は可能との事。
歯内療法学会の指導医の先生で、お名前を検索すると講演活動など含め良く出てくる大阪中央区の根管治療だけ行う専門医。

費用は捻出できる。
人間関係はできていない(お会いしていないので)

ただし、かかりつけ医から●専門医でも100%では無い■根の問題が出た場合は紹介先の専門医で対応して貰ってください ▼コアについては症例によるが、ファイバーコアが良くない場合もあるのでコア部分からは専門医で作成せず、こちら(かかりつけ医)で引き受けます、 との事でした。
よってコア+クラウンはかかりつけ医です。


お聞きしたいのは5点

1.いわゆる「根管治療の成功率」について
初回で感染していない根管治療の成功率90%と言われている数値はどの時点での数値なのですか?
a.治療終了直後付近の良好さ 
b.治療終了一定期間後(1年後or5年後とか)の良好さ
c.期間は関係なく再根管になる可能性。言い換えれば専門医でイニシャルトリートメントをした場合10%前後の人だけが再根管治療となり、90%前後の人は再根管治療を免れるという意味なのか
d.その他


2.根管治療専門医で治療しても100%滅菌できるわけでは無いようですので、専門医で治療するメリットとしていずれは再根管治療になるが、専門医だと再発までの期間が長いので寿命が長くなると解釈がしっくりくるのでしょうか?


3.かかりつけ医が「根の問題が出た場合は専門医で対応してください」の注意事項がありました。
根管治療専門医で初回の根管治療→再発してそのやり直しを経験したケース、先生方はございますか? 

4.初回を専門医の自費で治療し、予後が悪い場合や再発したらかかりつけ医の保険で治しても良いのでしょうか?


5.1つの歯で違う医師がかかわった場合、月日を経てトラブルになった時「うちは根の治療はしていない」や「コア以降はかかりつけ医でしょ」など責任の所在トラブルになる事が多いのでしょうか?これが一番困る気がしております。
別の歯を丁寧に診てもらったのでかかりつけ医の方が良いのかな・・と悩んでおります。
又、以前別の歯を丁寧に診てもらったのに、専門医の紹介を口にして「なぜここでは無いんだ・・」と思われていないかな・・とも思ったり。
紹介依頼をしたらやっぱり嫌なものなのでしょうか?
何人か根管治療の紹介をしたケースがある言っていましたが。


今は「生活に支障の出る痛みではないので様子を見たらどうですか」と言われ様子見ですが、いずれはしなければならない状態と思っているので早めに検討しております。
今回は初回の根管治療なので慎重になっております。

乱文でお忙しいところ申し訳ございませんがご意見くださいませ。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2018-10-24 07:06:15
おはようございます、ここでは一番多そうなご質問ですね、悩ましい問題です。

>1.いわゆる「根管治療の成功率」について
初回で感染していない根管治療の成功率90%と言われている数値はどの時点での数値なのですか?

よくわかりませんが一般的な成功率より身を預ける担当医の成功率がどうかということです。

>a.治療終了直後付近の良好さ 

私は基本的に根管充填直後も問題ないのを成功と考えています、自覚症状がでていれば2週間ぐらい経過を見ます、自覚症状が治まらなければ再根管治療をします。

言い換えれば根管治療中問題がでればそれが解決するまで根管充填は見送ります、どうしても解決できなくて自覚症状がなければ根管充填までして半年経過観察をします、そこで問題が持ち上がれば意図的再植を考えます。

意図的再植法 http://yamadashika.jugem.jp/?search=%B0%D5%BF%DE%C5%AA%BA%C6%BF%A2%CB%A1&x=62&y=10

根管治療がうまく行っているかどうかはしている感覚でわかりますよ。

>b.治療終了一定期間後(1年後or5年後とか)の良好さ

歯根破折歯周病むし歯にならないかぎり問題は出ないと思います、問題が出るようなら根充直後に何らかの症状があると思います。

>c.期間は関係なく再根管になる可能性。言い換えれば専門医でイニシャルトリートメントをした場合10%前後の人だけが再根管治療となり、90%前後の人は再根管治療を免れるという意味なのか

判りかねます。

d.その他

根管治療はごく簡単なものからかなり気合を入れて治療しなければならないものまで様々です、昨日抜髄した症例は樋状根で久しぶりに時間がかかりました、もしお望みならブログにアップしておきます。
 
根管治療難症例 http://yamadashika.jugem.jp/?cid=160

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2018-10-24 09:13:29
>1.いわゆる「根管治療の成功率」について
>初回で感染していない根管治療の成功率90%と言われている数値はどの時点での数値なのですか?

「b.治療終了一定期間後(1年後or5年後とか)の良好さ」

になると思います。
10年問題無ければ成功と言えるでしょう。


>2.根管治療専門医で治療しても100%滅菌できるわけでは無いようですので、専門医で治療するメリットとしていずれは再根管治療になるが、専門医だと再発までの期間が長いので寿命が長くなると解釈がしっくりくるのでしょうか?

そもそも、医療というものが100%を求められるものではないので…


個人的には「10年間ノートラブル」であれば、その治療は成功だと思っています。
多くの場合、10年間トラブルがなければ破折など、別の原因が無ければそのまま使えることが多いように思います。

なので、1. の質問とあわせて、

統計上は

b.治療終了一定期間後(1年後or5年後とか)の良好さ

ですが、臨床的には

c.期間は関係なく再根管になる可能性。言い換えれば専門医でイニシャルトリートメントをした場合10%前後の人だけが再根管治療となり、90%前後の人は再根管治療を免れる

ではないでしょうか。


>3.かかりつけ医が「根の問題が出た場合は専門医で対応してください」の注意事項がありました。
>根管治療専門医で初回の根管治療→再発してそのやり直しを経験したケース、先生方はございますか? 

ありますよ。

通常の根管治療で治りが悪ければ、根管内だけの問題ではないと判断して、外科に移行します。


>4.初回を専門医の自費で治療し、予後が悪い場合や再発したらかかりつけ医の保険で治しても良いのでしょうか?

良いとは思いますが、成功率もっと下がると思います。


>5.1つの歯で違う医師がかかわった場合、月日を経てトラブルになった時「うちは根の治療はしていない」や「コア以降はかかりつけ医でしょ」など責任の所在トラブルになる事が多いのでしょうか?
>これが一番困る気がしております。

責任の所在がはっきりしていないのであれば、トラブルになると思います。

僕は「専門医を紹介した自分の責任」だと思っていますけどね。


>紹介依頼をしたらやっぱり嫌なものなのでしょうか?

その先生のキャラクター次第でしょう。

僕は何とも思いません。
患者さんの希望で治療を進めるのが一番だと思います。
(患者さんが専門医を希望されるのであれば、専門医に診てもらうのが一番)

患者さんの希望が医学的に間違っていれば別の方法を提案させてもらいますが…。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: こつめさん
返信日時:2018-10-24 12:02:18
山田先生 お忙しい中、ご返信ありがとうございます。

根管治療がうまく行っているかどうかはしている感覚でわかりますよ。

歯根破折歯周病むし歯にならないかぎり問題は出ないと思います、問題が出るようなら根充直後に何らかの症状があると思います。

そうなのですね。
日々治療をされていると「上手くいったな」とか「これは長引くな」という感覚が出てくるということですね。


>一般的な成功率より身を預ける担当医の成功率がどうかということです

これが一番知りたいですが、一番わかりにくいし、見つけにくい。
実際は一旦自分の歯を犠牲にしながら相性を確かめていっている気がします。
HP頼りに伺っても私にとっては違っていたりしますし。
ただ、今の歯科は合っているようで信頼しており、ありがたいことだと思っております。

難症例のブログも拝見いたしました。
しかし、色々な状況の歯があるものだと感じました。
日々のご努力に頭が下がります。

貴重なアドバイス有難うございました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: こつめさん
返信日時:2018-10-24 12:05:12
櫻井先生 お忙しい中、ご返信ありがとうございます。

>統計上は
>b.治療終了一定期間後(1年後or5年後とか)の良好さ
>ですが、臨床的には
>c.期間は関係なく再根管になる可能性。言い換えれば専門医でイニシャルトリートメントをした場合10%前後の人だけが再根管治療となり、90%前後の人は再根管治療を免>れる
>ではないでしょうか。

との事。 
かなり勇気づけられるお言葉です。
何度も治療をすると歯の量は少なくなるし、破折などリスクも高まるようなので、できれば根の再治療は免れたいと思っております。
10人のうち失敗する一人に入ったとしても諦められるかもしれません。

もう1点確認したいのですが、
この「90%前後の成功率」や「日本は50〜60%かそれ以下」という数値は一人あるいは一定グループの歯科医が追跡した結果の%なのか、根管治療をした専門医や日本の保険医がほぼ集まった症例数に対する数値なのでしょうか?
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2018-10-24 13:05:37
「90%前後の成功率」

海外では、大学病院などの医療機関で「この10年間に何本の歯を抜髄したが、その結果をレントゲンで調べると90%くらいはうまくいっていた」と言った報告が多くされています。


「日本は50〜60%かそれ以下」

例えば2017年に「抜髄」の保険請求が100万本分、「感染根管処置」の保険請求が50万本分あったとします。
単純に割り算をすれば成功率は50%と言えます。
これを何年分かさかのぼる事で「保険での抜髄の何%くらいが再治療になっているか?」を(大まかですが)把握することができます。


また、患者さんのレントゲン写真を確認し、10本が失活歯で5本に病変があったとすれば「成功率は50%」と言えます。
我々歯科医は研修医時代から含めれば患者さんのレントゲン写真を何千と見てきていますから、その臨床実感と保険請求の抜髄と感染根管処置との割合はほぼ一致していることを感じていると思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: こつめさん
返信日時:2018-10-24 13:45:16
櫻井先生 早々のご返信に感謝申し上げます。

日本の分は保険請求から出すのですね。
よくわかりました。

又、臨床実感まで添えて頂きありがとうございました。




山田先生、櫻井先生 

お忙しい中、分かりやすい説明とご助言ありがとうございました。
後悔しない選択をしたいと思います。



タイトル かかりつけ医か専門医か。又、根管治療の成功率の基準とは
質問者 こつめさん
地域 非公開
年齢 46歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療の専門医
回答者




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