虫歯治療におけるEr: YAGレーザーの有効性について

相談者: sanbasansさん (50歳:男性)
投稿日時:2023-01-18 22:15:00
徐々に普及が始まっているEr: YAGレーザーの、虫歯治療における有効性についてご教示ください。


治療そのものを成功させ、将来的に歯髄を(あるいは抜髄後の歯)をできるだけ長期間持たせるという意味において、

Er: YAGレーザーを用いる(従来の器具との併用含む)場合と、全く用いない場合では、歯髄保存療法の直接覆髄法、断髄法、根管治療のそれぞれの段階において、結果にどの程度の差異が生じるでしょうか?


あるクリニックのHPで、歯髄ぎりぎりに迫った虫歯を治療する場合などにEr: YAGレーザーがあれば歯髄へのダメージを比較的少なくさせるので、歯髄が救えるような表現を見かけました。

逆に言えば、歯髄ぎりぎりの場合は、このレーザーを使用しないがために、神経を抜くことになる、というケースがあるということでしょうか。


クリニック目線では、機材が高額、治療時間が長引く、使用方法の習得に時間を要するなど、デメリットも多いと思いますが、もし先生方ご自身が患者となり歯髄ぎりぎりの虫歯がある場合、クリニック選びにEr: YAGレーザー導入の有無を選択肢の一つにされますか?


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-01-19 11:20:39
こんにちは。

様々な歯科医院で深い虫歯でも出来るだけ歯髄を温存し抜髄を不用にしたり、歯髄壊死からの大変な根管治療に至らないように可及的な努力が行われていると思います。

歯髄を無くした歯は(歯髄処置に伴って歯質も多く失う)歯の寿命が大幅に短くなるからですね。


〉Er: YAGレーザーを用いる(従来の器具との併用含む)場合と、全く用いない場合では、歯髄保存療法の直接覆髄法、断髄法、根管治療のそれぞれの段階において、結果にどの程度の差異が生じるでしょうか?

どの方法でも上手く行く時と行かない時があると思います。
細菌や外部刺激物の種類や量や受け手側の炎症反応の違いにより上手く治療を行ったはずの治療が奏功しない場合もあると思います。

そういう中で歯科医ができる事をできる範囲で行なっているのが現状です。

浅い虫歯で発見でき、早期に治療を受けていただくのが一番良いでしょう。


〉逆に言えば、歯髄ぎりぎりの場合は、このレーザーを使用しないがために、神経を抜くことになる、というケースがあるということでしょうか。

それはないでしょう。
まぁ、Er-YAGレーザーがあればレーザーを当てておけば良いのであまり苦労がない為歯科医側のやる気が出るかもしれません。


〉クリニック選びにEr: YAGレーザー導入の有無を選択肢の一つにされますか?

術者が楽という治療は、患者さんも楽ですからEr-YAGレーザーがある歯科医院を選びますね。

様々な歯髄温存療法を導入してご提供してきましたが、導入コストと維持管理料は高いですが、Er-YAGレーザーがあれば何にでも使えて歯科医が行う治療が楽になります。
時間短縮に繋がり効果も非常に高い為導入した歯科医院ではなくてはならない医療機器になる事が多いと思います。
治療を受けられる患者さんも非常に楽です。


様々な高額な医療機器がありますが、それを導入し維持できない歯科医院も多くありますが、それぞれの歯科医院ができる範囲で工夫をして治療をご提供してくれるでしょう。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2023-01-20 13:19:02
>歯髄保存療法の直接覆髄法、断髄法、根管治療のそれぞれの段階において、結果にどの程度の差異が生じるでしょうか?

断髄はともかく根管治療は歯髄保存療法ではないと思います。

また直接覆髄の前に間接覆髄と歯髄温存療法があると思います。

正直個人的にはラバーダムをちゃんと使った方が成功率は上がるように思います。



>歯髄ぎりぎりに迫った虫歯を治療する場合

肉眼的に露髄していなくても顕微鏡レベルで歯髄が露出している場合は数多くあると思います。
いわゆる不顕性露髄と呼ばれる段階ですね。

露髄に気がつかず間接覆髄操作を行うと数年たって歯髄が失活してしまうケースから学んで、出来るだけ間接覆髄はしないようにしています。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sanbasansさん
返信日時:2023-01-21 22:39:10
船橋先生
柴田先生

詳細なご回答ありがとうございました。

自分は歯髄保存(覆髄法)の治療を受けることになりそうです。
私の地域に良い先生がおられますので、そのクリニックで治療を受けたいと考えております。


ただし、そのクリニックではEr: YAGレーザーがありません。

私が通院できる範囲内にあるEr: YAGレーザーを導入しているクリニックは幾つもありますが、歯髄保存や根管治療が得意と伺え、かつCTなど基本的な機材に加えてEr: YAGレーザーを導入・使用されているクリニックは、ホームページや評価サイト等で探す限り、私の地域では皆無です。


私がEr: YAGレーザーにこだわっている理由は、このレーザーによる治療を受ければ、レーザーなしの治療を受けた場合よりも、歯質を削る部分がより少なくできる、そして殺菌作用もあるため、治療時点での結果は同様であっても、長いスパンで見れば、自分の歯をより長持ちさせる可能性が高くなるのではないか、と考えているからです。

初回の治療でEr: YAGレーザーを使わずにうまくいったとしても、将来的に再治療が必要になり、それが結果的に歯髄や歯を失うことに繋がる可能性を考えると、初回で削る部分をより少なくできるレーザーのメリットは、長期保存の観点から大きいのでは、とも考えています。

例えば10年後の自分の姿を想像した時、Er: YAGレーザーによる治療を受けた自分には歯があるが、レーザーなしで治療を受けた自分にはその歯がない・・・・、としたら、Er: YAGレーザーを使わないという選択肢は選べなくなります。


以上をふまえまして、改めてお伺いさせていただきたいのですが、歯髄保存(覆髄法)を前提とした虫歯治療を受ける場合について、Er: YAGレーザーを使ったとしても、使わない場合に比較して歯髄や自分の歯をより長い期間保存させるという可能性の向上には繋がらない(使っても使わなくても、歯髄や自分の歯の寿命は全く同じ)、むしろそれ以外のファクターが肝心である、という結論で良いでしょうか?

ご教示お願いいたします。
回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-01-22 00:25:27
〉むしろそれ以外のファクターが肝心である、という結論で良いでしょうか?

虫歯を作ったのはご自身ですが、それを治すのは他人に委任しなければならないわけですから、よい先生と思えていればその歯科医に委任されておくと、上手くいってもダメでも諦めがつくのではないでしょうか?

抜髄に至っても10年程度でダメになるのは稀だろうと想像します。


虫歯治療の際、切削器具で削ると振動があり圧が加わりますが、Er-YAGレーザーは光線を当てた部位が無圧で水を励起しオゾンも発生し殺菌され同時に出ている水で洗浄もされて創面に歯の切削粉であるスメア層が残らないので、その後の接着修復にも有利だと考えられます。
ないよりあった方が良い為保険診療でもレーザー加算があります。

買えば楽で効果を実感するので多用する事になりますが、非常に高額な医療器具の為全ての保険医が買えるわけではありません。


Er-YAGレーザーがあればよい歯科医と全ての人が感じてくれる訳でも無いと思いますし、100%の成功を保証するものではありませんから、個人的には、良い先生だとお感じのかかりつけ歯科医がおられるのでしたらどうなっても納得しやすい相性のよい先生に委任されたらいかがかなぁと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sanbasansさん
返信日時:2023-01-22 09:13:35
船橋先生

度々のご回答ありがとうございました。

Er: YAGレーザーの使用が歯髄や自分の歯をより長い期間保存させるという可能性の向上についてお伺いし、この文脈において「100%の成功を保証するもの」ではないが、「あった方が良い」とのご指摘をいただきました。

つまり、マストアイテムではないが、あればベターであるとのことですね。
私なりに、Er: YAGレーザーの使用はより長期間保存させる可能性の向上に幾らか寄与することが期待できる、と解釈いたしました。


また、自分が信頼できると判断した医師のクリニックでEr: YAGレーザーがなく、信頼性はより低い医師のクリニックにEr: YAGレーザーがある場合は、心情的に前者での治療がお薦めである、とのことですね。

確かに、最初から信頼のおけない医師で治療を受けて、よくない結果が出た場合、仮にそれがベストの治療手法であったとしても(ベストだったかどうかは患者は知る由もないわけですが)、患者としては納得できないかもしれません。



改めて確認させていただきたいです。
患者の心情は別にして、歯髄保存に注力されている医師がEr: YAGレーザーを使わず従来の方法・器具のみで治療する場合と、歯髄保存はさほど得意としないかも知れないがEr: YAGレーザーを活用している医師の場合、歯髄や自分の歯をより長い期間保存させる(再治療となる事態を防ぐ、あるいは再治療となっても歯髄や自分の歯を結果的により延命させる)という文脈においては、あくまで一般論として、前者の医師に治療を受けた方がより好ましい結果が出やすいと考えられるでしょうか。

それとも、Er: YAGレーザーは医師の技量の低さをある程度、または相当な程度、補完できる可能性が考えられるでしょうか。
回答 回答4
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-01-22 10:01:14
〉Er: YAGレーザーは医師の技量の低さをある程度、または相当な程度、補完できる可能性が考えられる

そうだと思います。

ただ、高額医療機器だけに用途が限定されておらず、様々な用途に用いられます。
ですから、Er-YAGレーザーがあっても歯髄温存療法に実際に用いているか?はわからないですよね。

先端チップは多用にあり用途に応じて変えなければ使い難い場合がよくあります。
チップは数万円から十数万円します。
ベストチョイスのチップを用いて出力を細かく調整し目的を達成します。


また、レーザーの形により本来発熱しない筈が発熱を生じていると言われているタイプの機器もあります。

ですから、詳しい事がお知りになりたければ実際に初診料や検査費を支払いご相談された方が良いのかなと思いました。
無料で多忙な専門家に相手側にはメリットが何も無いのに何から何まで教えてもらえる訳ではないように想像します。


親身になってもらいより現実的な話をお聴きになりたいならば、実際に受診してみると良いと思います。

Er-YAGレーザーといっても様々な機器がありますし、何に慣れているか?は別の歯科医にお尋ねになってもわかりませんからね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: sanbasansさん
返信日時:2023-01-22 18:56:08
船橋先生

度々のご回答ありがとうございました。

Er-YAGレーザーがあっても歯髄温存療法に使うとは限らない、使用するかどうかを確認するには初診を受けて尋ねるしかないとのご指摘、大変参考になりました。



タイトル 虫歯治療におけるEr: YAGレーザーの有効性について
質問者 sanbasansさん
地域 非公開
年齢 50歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯治療
材料・機材関連
覆髄・覆罩(覆ずい・覆とう)
回答者




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