直接覆髄法の成功率は92%なのに、私は失敗してしまったのでしょうか?

相談者: りすさん (30歳:女性)
投稿日時:2008-01-24 19:41:08
こんにちは、

神経を抜かず、丈夫で長持ちする虫歯治療を受けたい

を読んで、自分の以前受けた治療についてふと疑問を持ったので、質問させてください。

以前、左上6番を治療した際、先生から

「神経を残して、鎮める薬を塗っておきました。インレーをかぶせておきます。ただ、今回は10のうち9は抜髄になってしまうケースだったので、いつか痛んでくるかもしれません」

といわれました。

その4ヵ月後、我慢できない痛みが起こり、抜髄に至りました。

当時の先生の処置はありがたいと思っていますが(神経を残そうとしてくれたこと)、これはこちらでも時々話題になる「直接覆髄法」だったのでしょうか?

薬自体が何かは分かりませんが、保険治療だったので、たぶん水酸化カルシウムか何かかな・・・と思っています。

ところで以前、井野先生が、直接覆髄法における5年生存率は、10〜20代で92%だとおっしゃっていましたが、私の場合は残念ながら8%に入ってしまったということなのでしょうか・・・?

終わってしまっていることなのですが、気になりましたので質問させていただきました。よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-01-24 20:24:36
こんにちは、


直接覆髄法」だったのでしょうか?

これは施術した先生にしか分かりません・・・


>直接覆髄法における5年生存率は、10〜20代で92%だとおっしゃっていましたが、私の場合は残念ながら8%に入ってしまったということなのでしょうか・・・?

そういうことになるかもしれませんね・・・

ただ、このデーターはヨーロッパのデーターで日本の保険治療ではダイレクトに当てはまらないかもしれません。


水酸化カルシュウムを置く前に次亜塩素酸で洗ったか!?
(化学的な消毒)

ラバーダム、もしくは簡易防湿をきっちり行って治療したか!?

・水酸化カルシュウムを置かずにレジンで直接覆髄法をしたか!?
(レジンの中には神経と相性の悪いものもあるとのことです)

直接覆髄後の上の材料は!?接着のステップをしっかり守って治療したか!?


などがありこの成功率データーより若干日本場合低いかもしれません。

ただ、神経の保存処置をしてくれる先生は患者さんのことを思ってくれる良い先生だと思いますよ。


親の歯科医院で昔、若い患者さんに保険のレジンで直接覆髄法をしましたが、術後2〜3日かなり大きな痛みが出たとクレームを受けたことがあります(TT)

(当時はMTA使用していなかったので・・・)


MTAを使用したデンチンブリッジ(保護層)に比べ、水酸化カルシュウムのデンチンブリッジ

・デンチンブリッジの厚みにバラツキがある
・デンチンブリッジの形成に時間がかかる。
・デンチンブリッジに気泡などの空間があり保護層の質が悪い

また水酸化カルシュウムは強アルカリで生体親和性もMTAに比べると少し劣るので炎症性の反応が長く続くことも稀にあります。

と報告されています。


今日の歯内療法学会の重鎮の先生の講義の中で直接覆髄法の成功率を上げるヒントを見つけました。

インピーダンス(簡単に言うと電気を使用したテスト)を用いた物ですが、直流の電気の抵抗値で診断を下した方がより科学的なアプローチが出来て成功率が上がるのでは!?と思っています。

しかし、もの凄い古い機材なので見つけきれるか!?・・・
たぶん、見つけるけど^^


今の所、私はMTAを使用するようになってある程度の成功率っていっても5年も経っていませんしね。

経過も3年〜5年で見ないとはっきり成功とは言いにくいですしね。

すみません、いかんせん歯科医師としてはまだまだの人間なので^^;

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: りすさん
返信日時:2008-01-25 00:52:55
井野先生、早速のご回答ありがとうございました!

>これは施術した先生にしか分かりません・・・

当然ですよね・・・すみません。
ただ、直接覆髄法以外にあてはまるような処置がないような気がしたもので・・・

ところで、先生のおっしゃったポイントについてですが、

水酸化カルシュウムを置く前に次亜塩素酸で洗ったか!?(化学的な消毒)
--> 多分してないです

ラバーダム、もしくは簡易防湿をきっちり行って治療したか!?
--> してないです (ToT)

・水酸化カルシュウムを置かずにレジンで直接覆髄法をしたか!?
(レジンの中には神経と相性の悪いものもあるとのことです)
--> こればかりは分かりませんが・・・

ということで、ちょっと成功率は低そうなのかな、と思いました。

その先生は大変評判のよい先生ですし、患者さん思いの方だったと思います。
ですが、その後の抜髄については、転院してしまいました。

ちなみに理由は、ラバーなし、先生がマルチタスク(常に3人ほど待機)のうえ、忙しすぎてあまりお話できない、の3点です。

今通っている歯科医院は、ラバーダムは根治の場合必ずやってくれますし、先生もよくお話を聞いてくださいます。

しかし、現在通っているその先生は、以前に

「僕は神経はどっちかというと取ってしまうほうです。なぜならたいていの場合、最終的に抜髄になってしまうし、そのときにすごい痛みが出て患者さんがつらい思いをされるので。」

とおっしゃっていました。

今気になっている右下7番の治療について「痛みが出てもかまわないので、なんとか神経を残してください!」と言ってやっていただけるか・・・そしてその先生がそういったことが得意かどうか・・・ちょっと不安です。

神経をできるだけ残したいと考えてくださる先生をまた探そうかな・・・と検討中です。

ところで、「覆髄」は「ふくずい」で読み方は正しいのでしょうか?
先生にお願いする際には口頭なので(^^ゞ

井野先生のお話から、もしお願いするなら、水酸化カルシウムよりは、自費MTAをやっていただいたほうがよさそうだと思いました。


>すみません、いかんせ歯科医師としてはまだまだの人間なので^^;

愛知県の方がうらやましいです・・・昔は三重に住んでいましたが、そのときであれば通ったのに・・・と残念です。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-01-25 08:48:47
>「覆髄」は「ふくずい」で読み方は正しいのでしょうか?

YES!!
私、普通の町医者ですからね^^;

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: りすさん
返信日時:2008-01-25 10:13:43
井野先生、ありがとうございました!

何とか今の先生に「MTA直接覆髄法して神経を残せませんか?」とお願いしてみます。

本当にありがとうございました!!
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-01-25 10:40:13
こんにちは。お邪魔します。

私も隣県に住んでいる妹には、抜髄することになったら井野先生のところに行く様に言っていますよ^^


直接覆髄法における5年生存率は、10〜20代で92%だとおっしゃっていましたが、私の場合は残念ながら8%に入ってしまったということなのでしょうか・・・?

井野先生が引用されてる元のデータはたぶん、

A retrospective study of direct pulp capping with calcium hydroxide compounds.
Horsted P, Sandergaard B, Thylstrup A, El Attar K, Fejerskov O.
Endod Dent Traumatol. 1985 Feb;1(1):29-34.

だと思いますが、こちらは概要がネットで閲覧出来ないので、私には詳細が分かりません。

(※5年後の成功率50〜80歳で70%、30〜50歳が85%、10〜30歳が92%)


中には、外傷で偶発的に折れたや、抜歯予定の歯にわざと穴を開けて(※つまり、虫歯菌感染がもともとない歯)データをとっているものもありますから、今回の場合りすさんにもこれが当てはまるかは分かりませんね^^;

上の論文は掲載誌が外傷歯についての雑誌みたいですからもしかすると・・??


井野先生も詳しく書かれた様に、年齢以外にも色々と予後に影響しそうな因子が考えられます。

例えばよくある、虫歯を削っていったら歯髄が出てしまった様な場合(※つまり、もともと虫歯菌の感染が疑われる)のデータだと、

【5年後の成功率】

・明らかな成功→37%
・?→18.5%
・明らかな失敗→44.5%

という数値が出ています。

Pulp capping of carious exposures: treatment outcome after
5 and 10 years: a retrospective study.
Barthel CR, Rosenkranz B, Leuenberg A, Roulet JF.
J Endod. 2000 Sep;26(9):525-8.
論文はこちら

同じ様な研究でもデータのばらつきは大きいものですが、もしもりすさんの歯の状況がこちらの方に近かったと考えれば、

「たったの8%に入ってしまった、残念!」ではなく
「44.5-63%に入ったのだから、仕方ない。やるだけのことはやった・・」

とも考えられますね^^
気を落とされる必要はないと思いますよ。



それとMTAについては、私も井野先生のお話を聞いていると良さそうに思います。

ですがまだデータとして、明らかに他の方法と較べて優れている、というところには全然来ていませんから、材料云々と言うよりも、術者の知識や技術、気合い(?)の方が重要な要素だと思いますね。

教科書的には未だ水酸化カルシウムが第一選択薬だと思いますし、私自身はレジン直接覆髄することがほとんどです。

りすさんの現在の担当の先生も、とても良い先生だと思いますよ。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-01-25 13:55:50
>材料云々と言うよりも、術者の知識や技術、気合い(?)の方が重要な要素だと思いますね

渡辺先生のおっしゃる通りで、ホントそう思います。




タイトル 直接覆髄法の成功率は92%なのに、私は失敗してしまったのでしょうか?
質問者 りすさん
地域 非公開
年齢 30歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯治療
虫歯に関するトラブル
根管治療の治療法
根管治療の失敗・再治療
根管治療に関するトラブル
根管治療関連
MTA
覆髄・覆罩(覆ずい・覆とう)
回答者




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