NaOClによる根管の化学的洗浄、作用時間と濃度について

相談者: 主婦Aさん (37歳:女性)
投稿日時:2008-04-13 23:45:46
先生方、こんにちは。
現在、根管の化学的洗浄について調べています。

NaClOの濃度の違いによる殺菌効果の差について、以前渡辺先生が紹介されていた文献(Bystrom & Sundqvist 1985)では、0.5%と5%で比較して有意差がないということですが、それでは作用時間はどうなんだろうということが気になりました。

根管内のバクテリアに対して十分な殺菌効果が得られる作用時間(および濃度)というのは、どのぐらいが目安なのでしょうか。

ことに気になるのは、Enterococcus faecalis のようにアルカリに対して強い耐性を示して除去しづらく、水酸化カルシウムにも抵抗を示す菌に対して有効な作用時間(および濃度)がどれくらいなのかということです。

(まったくの無菌化は不可能であること、現実の治療では制約があり出来ないこともあるということは十分に承知しています。しかし、それはさておいて研究結果ではどうか、また権威者の意見はどうなのかといったことを、ひとまず知っておきたいのです。根管充填を目前として‥)


多忙な先生方に出来るだけ頼るまいと、このところずっと自分なりに出来る範囲で文献検索していたのですが、うまく情報を見つけ出せず質問させて頂く次第です。

面倒な質問で申し訳ありませんが、もしもご回答くださる先生がいらっしゃれば大変うれしく思います。

よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-04-14 00:26:32
Enterococcus faecalis に対しては、NaClOではなくヨード製剤やクロルヘキシジンを使います。

水酸化カルシュームで他の細菌を減らした後で用います。

時間は、私が数年前にイェテボリ大学のベルゲンホルツ教授の講義を受けたときには、ヨード製剤で15分といって見えましたが、最近は20分と言っているようです。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2008-04-14 18:29:29
小牧先生、ありがとうございます。

ヨードやクロルヘキシジンが奏功するとの情報、たいへん関心をひかれました。

とりあえず今日は、クロルヘキシジンのほうだけ自分でも改めて調べましたが、データは確かによさそうに感じました(in vitro研究ばかりでしたが)。

洗浄ではなく、クロルヘキシジンを貼薬して根管内に何日もおいておくのとでは、また効果は違うのかなと疑問が生まれてみたり‥‥(考えすぎると治療が受けられなくなりそうなのでやめておきます)。


アメリカのエンド根管洗浄剤

↑このスレッドを読んでいたのですが、アメリカの専門医でも2%のクロルヘキシジンをNaClOと併用しているようですね。


MTADというのはどうなのでしょうか?

タカタ先生が以前、ドキシサイクリンという非常に強い抗生物質が含まれていると書いておられたので、ちょっと怖いような、でも効果が強くてこれも良さそうかもと思ったのですが。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-04-14 19:19:22
私は、根管内の最近を同定した後にEnterococcus faecalisが検出された際には ドキシサイクリンを用いています。

今のところ、20人くらいの患者さんで細菌検査と併用してMTADを用いたところ19/20の確立で成功しています。

一人だけ成功していないのですが、これは CTを撮影してよく見てみると 以前の歯科医院根管治療を行った際に根の先端付近でパーフォレーションしていたのが発見されました。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-04-14 21:24:53
doxycyclineは20年以上前からありますし、テトラサイクリン系ですから、安全性は高いほうかと思います。

また殺菌的なペニシリン系などとは異なり、静菌的で作用は強力といった感じではないと思います。

マイコプラズマとかクラミジアとかに普通は使うみたいですが、こういうのが、根幹内の細菌にも効くんですね。

(日本では保険適応とれてませんが)歯周病で使うメトロニダゾールも、もともとは抗原虫剤ですし、何故効くのかちょっと不思議な感じがして面白いですね。

そういえば、3-mixにはテトラサイクリンもメトロニダゾールも入ってますね。

新しくて耐性菌の少ない高価な抗生剤じゃなくって、こういった古くて耐性菌もすでに多数出現していて、感染症にはまず使わないようなものを使用するのって結構良い使い方かと思います。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-04-14 23:21:03
こんにちは。
またマニアックな・・・

作用時間のことを知ってどうするんです?
「1秒、2秒、3秒・・・・・・・1秒足りな〜いT_T」
とかやるのは勘弁して下さいよね^^;



えーと、NaOCl(と、書くことが多いと思いますが・・次亜塩素酸ですね)の作用時間についてですけど、細菌に触れると効力を失いますから、時間は関係ありません。残念!(笑)

でも、おそらく短いよりは長い方が良いとは思います。

実際、アメリカの歯学部の学生が、2時間ぐらいかけてトロトロと根管治療をすると、やたらと成功率が良いみたいですよ。

ただ基本的には量の方が重要です。
感染している部分に対して、新鮮なNaOClを供給し続ける必要があります。

どれだけ使えば良いのかと言うと、「じゃぶじゃぶ使う」「水の様に使う」・・とまあ、そんな感じみたいです。。

研究論文とか見ると、10ccとか使っていることが多かった気がしますが、研究論文で使う量=必要な量ではなくて、研究論文で使う量=これだけ使えば量による結果のバラツキは出ないだろう=足りないことはないだろう量です。と思います。たぶん。

でも実際、専門医の先生方はそれぐらい使っている様な感じですね。

現在は超音波洗浄なども併用するので、たぶんそこまではいらないだろうと言う話もありますし、10ccも使うとなると、かなり時間もかかります。

保険ではさすがに・・・的な状態です。



それから・・濃度についてですね。

前回も書きましたが、0.5%以上あれば、抗菌性には大差ありません。

組織溶解作用を考慮すると2.5%以上必要なので、水酸化カルシウム(※組織溶解作用あり)を使わない前提なら2.5%以上を使用した方が良さそうです。

ただ、細胞毒性も同時に上がるため、安全性にうるさいヨーロッパなんかでは、基本0.5%(たぶん)+水酸化カルシウム。

学生臨床実習の際などはクロルヘキシジン(※組織溶解作用なし)を使わせたりもするそうです。

そんな中、ラバーダムもせずに6%程度のNaOClを使用するのが当たり前の日本って・・火傷しそうです。

あ、それと、日本は何故かNaOClにオキシドールを併用して「交互洗浄」というのをする様に習うのですが、これはNaOClの作用を中和してしまうことと、多量に発泡するために気腫という病気?(すぐ治ります)を引き起こす可能性もあって、これも日本独特の様ですね。




次に・・バクテリアの話ですね。

いわゆる難治性の状態になっている場合、どういう訳か(※原因菌ではない)カンジタ菌やEnterococcus faecalisがよく検出される、という事になっています。

これらはどちらもアルカリに強い耐性を持っているので、だからこそ残存しているのと言えるのですが、水酸化カルシウム(※強アルカリ)を使うとも限らない日本でも同じ状態なのかどうかは分かりませんよ。

少なくとも、仮の蓋が緩んだ様な時にチーズを食べるのはやめましょうね^^

参考⇒根管治療の仮蓋 水硬性セメントを外す際、歯は削られるのでしょうか?



で、カンジタ菌については0.05%とかのNaOClやクロルヘキシジン、更にもっと低い濃度のヨードでも除去できるのですが、Enterococcus faecalisについてはNaOClもなかなか効きにくいです。

代わりに5〜10%程度のヨードで10〜20分間や、2.0%クロルヘキシジン、ドキシサイクリンなどが有効っぽいです。

ただし! ここテストに出ます(何の??)
NaoClとクロルヘキシジンは反応するとドロドロの沈殿物が出来ますので、ご注意を。



あと、MTADですね。

MTADは、私も最近、時々ですが使っていますよ。

ただリサーチがまだ多くなくて、Enterococcus faecalisへの有効性は、クロルヘキシジンよりも優っている〜劣っているのどの結果もある様です。

使用したい場合には、[Trabinejad](←作った先生の名前)で検索すると、ポジティブな結果ばかりが出て来るみたいです。

これは理屈が素敵で、成分は酸+ドキシサイクリン+界面活性剤です。


・酸→象牙細管(※中にも細菌がいます)の目詰まりを起こしているスメアー層(※象牙質の削りカス)を溶かして

・ドキシサイクリン→広範囲スペクトル抗生剤、もちろんEnterococcus faecalisにも効く!はず。を

・界面活性剤を併用してスムーズに流し込む


と言うモクロミです。(分かります??)

クロルヘキシジンみたいに、NaOClと反応して沈殿物が出来たりしないですし、パッケージもかっこいいので、おまじないにはなるかな、という感じで使用しています。



ただ、ですね。

洗浄をする前に感染歯質は可及的にファイリングで取り除かなくてはならないですし、見逃し根管、触れる訳のない側枝なども必ずあります。

薬液が十分に浸透するためにはそれなりの大きさにまで根管の大きさを拡大しなくてはならないのですが、大きすぎると歯根に穴が開いたりも。

最初から最後まで様々な技術が必要です。

AしてBしてCすれば成功すると言うものではありませんし、AもBもCもしてないのになんだか成功してしまうことも多々あります。

術者である私達は色々知って出来る努力はするべきでしょうが、患者さんに出来ることは、担当医の技術を信じることではないでしょうか。

・・みたいなまとめで(笑)

とにかくストップウォッチとか持って受診するのは止めて下さいね。

ではお大事に。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2008-04-15 10:41:23
先生方ありがとうございました。

文章が冗長になるのを避けようと思い、今回は敢えて質問の背景に触れませんでしたが、やはり事情を少しだけ記しておきます。



>作用時間のことを知ってどうするんです?

というのは、過日、仮封が半分とれてしまう大事件に見舞われたためでした。

ボソボソとセメントが欠けていたのですが、その後私自身の清掃時の致命的ミスもあり‥‥。(二重仮封はされていません)

これまでEDTAとNaClOを併用して丁寧に清掃拡大してきて頂いており、根充間近でした。

仮封をやり直しに行った際、次回のアポまでに調子が悪くなければ、再度洗浄して根充だと言われていましたので、渡辺先生おっしゃるところの、

「洗浄をする前に感染歯質は可及的にファイリングで取り除かなくてはならない」

のステップは、私の場合は今後再び行われないんだな、と思っていました。

だとしたら、今回の汚染を挽回するには、もうfinal irrigationに賭けるよりほかないのでは‥‥と考え、特に化学的洗浄に絞って質問させていただいた次第です。



>「1秒、2秒、3秒・・・・・・・1秒足りな〜いT_T」
>とかやるのは勘弁して下さいよね^^;

接着操作の際に先生が秒数をかぞえておられるので(口に出さないけど)、ひょっとして洗浄のときも時計をご覧になるのかと思っていました。


それと、交互洗浄が日本で流行っている!?とのお話でしたが、交互洗浄の発祥は1943年、Grossmanという人物だという記述を見かけました。

根管治療のやり方はおおむね昔から変わらない、というのは本当だったのですね。

今回も本当にありがとうございました。

私に出来ることは、ただ先生を信じてついていくことだけですが、悔いを残さないようにしっかり話し合っていきたいと思います。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2008-04-15 20:58:11
どうも、AAE帰りの井野です。

今回は丁度ここの洗浄(イリゲーション)の話を中心に聞きに行っていましたが日本の保険治療ではここでいくら書いたところで理想的なことは無理に近いと思いますよ。



>1943年、Grossman

古すぎです。

確かにグロスマン先生は超有名な偉大な先生ですが、この時代にバイオフィルムと言う考え方はなかったのでこの時代のアプローチと今のアプローチは異なると思います。

またNCの後に直にH2O2を入れてしまうと直にNCが中和されてしまい、NCの効果は殆ど行き渡りません。

イリゲーションの考え方の変化は非常に速くここで詳しく書いても3年後ぐらいには少しずれてしまいます。

(だから海外に最新の話を聞きに行くのですが・・・)


イリゲーション(洗浄)に関してはその前の根管形成(形態)が非常に大切でその形によっても洗浄効率は大きく変わってきます。

まず、Ni-Tiファイルのグレートテーパーを使用しない限り洗浄のことを深く追求してもあまり意味がありません。

ある程度のテーパー(角度)が付いていないと薬がの先まで行き渡らないからです。

日本でNi−Tiファイル(ロータリー)を使用している先生は4割もいないと思います。

しかし、海外では9割半の先生は使用しています、結局はコストの問題を解決しない限りどんなにNi−Tiファイルがよくても普及はしないと思います。

(今回のAAEでもNi−Tiファイルのアメリカとヨーロッパの使用割合のグラフが出てきましたが、日本のNi−Ti使用者の割合もグラフ中に入れれば面白いのにと一人で思っていました)

今まではNi−Tiファイルで形成したテーパー6°の根管で還流すると言われていましたが、どうやらこれも怪しくもっとテーパーが必要と言われ初めています。

また、今はNCをいかに効率よく歯の中に行き渡らせるかにエンドドンティストの目は移行しています。

(洗浄:ソリューション(溶液)の問題だけではなく、デリバリーシステムも重要視されています、日本でデリバリーシステムのことも考えているのは極々一部の先生ぐらいじゃないでしょうか!?)


根の先端の一番重要な薬を行き渡らせたい所に気泡が入ると洗浄しているつもりでも歯の上ばかり洗浄しており、期待した効果は得られません。

これはマイクロでも確認できません。

Jone Schoeffe先生の実験でもなかなか根尖の気泡は取れませんでした。
で、Endo Vacを使用すると良いといっていましたが今一CMっぽくて・・・

ただ、Endo Vacは来年あたり日本でも発売される可能性があります。(未定だそうですが)


ヨーロッパエンドフォーラムに知り合いの先生が参加された時も、NCとEDTAの話を世界中のオピニオンリーダーのエンドドンティストたちが話し合って、各国で何処ぐらいの時間どのように使用しているかはなしていたそうですが、MTADなどは、さらっと話した程度で議論にもならなかったみたいです。

洗浄時にマストな物は

・NC
・EDTA

ぐらいで、後の

・MTAD
・クロールヘキシジン

は好みですね。


AAEでもこの4つはどのイリゲーションのセッションに行っても出てきていましたが、2年前と異なりMTADより、クロールヘキシジンの方が熱く語られ始めていました。


またMTADはバイオフィルムに対しての浸透力が低いと言われているので、EDTA、NCの手順を踏んだ後に用いないとたいした効果は得られないないと思います。

MTADはEnterococcus faecalisにターゲットを絞っているような使い方ですが、実際Enterococcus faecalisが病巣を作るの原因菌であるとは分かっていません。

難治性のものから多く分離されるというもので、初発は他の菌が原因で病変が出来始め、病変の成熟と同時にEnterococcus faecalisの割合が増えてくることも十分考えられます。

このあたりのメカニズムはまだ分かっていないので、言わばあてずっぽですね。


NCをこだわると、

・温度 Kamburis et al, JOE 2003
・洗浄時間 Sassone et al, 2003
・濃度 Gomes et al IEJ 2001
・量 Goldman et al,000 1981
・多剤との組み合わせ Hasselgren et, JOE 1988

などの基準もアメリカのエンドの中にあります、


前の基準の洗浄時間も1本30分近く、加温して半分の時間と言われていますが、保険治療の中では数十秒程度のNCの洗浄時間が殆どだと思います、

別に水で洗浄している歯科医院もありますが保険制度上ではなんら問題はありません。NCを使わなければいけないという縛りはありません。

こと根の治療に関しては、そもそもチャージが違いすぎますので、基準を世界のエンドと同じにすることは不可能だと思います。

それを保険に求めることも残念ながら難しいでしょうね。


主婦Aさんの担当先生でも過去の話からどう利益を出しているか不思議なぐらいです。

それ以上を求めるのは酷だと思いますよ。
これ以上を求められるのであれば根の治療だけでも専門医のオフィスに行くべきです。

いくら調べたところで施術をするのは先生です。
より良い医療を受けるのはそれなりの治療費がかかります。
海外と同じことが僅か数千円で行えるはずがありません。

私が今回歯科医院を1週間閉めてAAEに参加するのにも50万近くのお金がかかっています、また日本には売っていない海外の道具を今回のAAEで50万近く買っています。

良い医療を提供しようとするとそれなりのお金がどうしてもかかります。



今回このように強く書く理由の1つに、前回の根充法を書いた時がそうでしたが、理想的なことを書くとそれを保険で叶えられると勘違いする人が必ず出てきてしまうからです。

サーマフィルがそうでしたが、実情アメリカでもサーマフィルを使用している先生はそんなに多くはありません。

10万以上根管治療費をチャージする国でもサーマフィルのコストに見合っただけの費用対効果が得られないので使用していないのが現状です。

システムBに代表されるダウンパッキングが最も専門医の中で使われている方法です。


また根の治療の大事な所は根充前までの操作であり、根充法が一番大きなウエイトを占める訳ではありません。

根の治療はいかに歯の中の汚れを除去するかの治療であり、歯の中にいかにお薬を入れるかの治療ではありません。

根の治療は、1つの面だけ見たところで治療が上手くいく・行かないは全く分かりません。


・解剖学的な知識
・専門的な知識
・防湿
・神経へのアプローチ
・機械的な拡大(根管形態)
・化学的な洗浄(イリゲーション)
・根充、土台、被せ物


全てのバランスが取れていない限り良い結果は期待できません。


もともと虫歯が神経まで進行した歯は抜歯なのです、それを人間の知恵で運がよければしばらく残せるようにしている治療が根の治療であり、残る前提の治療ではありません。


エンドと言う学問は40年前のシルダー先生(滅茶苦茶偉大なエンド界の神がかった先生)の考え方が未だに根幹にあり、そこから枝葉が派生している程度のものです。

科学が進歩してもそれを行うのは人間です。


「あまり医学に大きな期待はしない方がいいですよ」


と実も蓋もないことを言って締めくくります(笑)  

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2008-04-16 10:50:51
井野先生

長旅でたいへんお疲れのところ、詳細なコメントをいただきありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。

本題とは離れますが、私の担当医に関して言及されていますので、その件に関して申し添えさせていただきます。

恐らく井野先生は、一般の患者たちがこうしたマニアックな情報を読み、それをそのままそっくり一般の保険中心の歯科医院に持ち込もうとするような状況を心配されて、私に厳しいお言葉を述べられたことと思います。

これまで1年以上もこのサイトを読んでいますし、そういったことをご心配されるお気持ちは十分に理解しているつもりでした。

ただ、こういった話題を振ったら「保険か自費か」という話が出てくることはあらかじめ想定していました。

そういった方向に論がそれることは私の望むところではありませんので、論点を絞って質問させていただきました。

「現実の治療では制約があり出来ないこともあるということは十分に承知しています。しかし、それはさておいて‥」

と書き添えたのはそのためです。

個人的な事柄ですし、敢えてこれまで触れませんでしたが、私は親が医療関係者で、縁故で今の先生にお世話になっています。

そのため、私の治療環境は一般的な患者さまとは多少異なる面があろうかと存じます。

ただ、縁故者だから何でも希望が叶うなどと考えたことは一度もありません。

むしろ、自分の先生の得意分野を最大限尊重し、先生を理解し、最終的に先生のやり方に謹んで従うという姿勢です。

歯チャンで語られてきた最高水準の治療を要求したり、実際にそれをやって頂いている訳ではありません。

しかし、私は自分の担当医に満足していますし私にとって最高の先生だと思っていますし、大切な先生なのです(ということは何度かここでも書いたかもしれません)。

ただ、もし疑問に感じることがあった場合には、できるだけ客観的な情報を用意した上で、先生にまずは「質問または相談」というかたちで話を切り出そうと考えていました。

その準備として今回お尋ねした次第です。

先生に何か申し上げるからには、情報を吟味して精一杯準備をしたかったのです。
それが患者としての、私の誠意の表し方だと思ったからです。

時には、先生と話し合って方針をすり合わせ、歩み寄ることは必要だとも思います。

私は、不満があるからこちらで質問しているのではなく、担当医とよりよい話ができるようにと今回質問させていただいたつもりでした。

それと、縁故受診にあたっては、私自身は「指定校推薦」や「縁故入社」と同じことと捉えており、ご縁をいただいたからには最後まで転医しないという覚悟も持っています。

親や、その知人の先生のおかげで受診できているのですから、感謝の気持ちは忘れずに最後まで仁義を貫きたいのです。

縁故ではじめからある程度の「安全圏」を得ましたが、その代わり自分に自由はないのだと考えています。

保険医の大変さも、親を見てきて理解しているつもりです。
(医科なので違うかもしれないですが‥)

歯科の診療報酬の低さも、実家に行くと父がよく話題にしています。

父も私も、お世話になっている歯科医の先生方が低い診療報酬に甘んじている現状に、何とかならないかとの思いも持っています。

せめて、研究において大きな競争的資金が獲得できますようにと願うばかりです。

勉強に投資する額のこと、この点につきましてもよく存じ上げております。

父はしがない勤務医で、昔からしょっちゅう学会に行っていましたが、私が子どもの頃から大変だと母がこぼしていました。

穴の開いた下着を母が繕っていたこともありました(ホントの話です)。

そんな父は、70代になっても研修会?などに行って勉強をしています。
医療従事者が学び続けるには、生涯お金がかかるものと思います。

そんな、医療従事者の現状を多少なりとも身近で見てきましたので、誠意をもって診療に取り組みながら研鑽を続けておられている歯チャンの先生方には、本当に頭の下がる思いですし心から応援しております。

(しかもこの相談室で、これだけの回答をされて‥‥)

大変長くなりましたが、このようなわけで、今回のご相談の冒頭に、

「現実の治療では制約があり出来ないこともあるということは十分に承知しています。しかし、それはさておいて」

と但し書きを入れた上でこのような細かい質問をさせていただいた背景と、私が自分の治療環境について触れなかった事情を斟酌いただければ幸いです。

改めまして、先生方今回もありがとうございました。
丁寧なご回答に、惜しみなく感謝の気持ちを表したいと思います。
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2008-04-16 22:53:14
なんかぜんぜん関係ないところなんですが、気になったもんで。

井野先生・・・

保険治療の中では数十秒程度のNCの洗浄時間が殆どだと思います、別に水で洗浄している歯科医院もありますが保険制度上ではなんら問題はありません。

もしNaClOが有効だと知っていて行わないのであれば療養担当規則第2条に違反します。保険外であれば何の問題もありませんが。

それに、少なくともうちの大学では、そんなひどいことしていいなんて教わってませんから、よほど人間的に問題がある卒業生でなければ保険、保険外関係なくもっとまともな治療してますよ。




タイトル NaOClによる根管の化学的洗浄、作用時間と濃度について
質問者 主婦Aさん
地域 非公開
年齢 37歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療その他
根管治療関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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