FCKの支台歯形成とクラウンマージンについて

相談者: k_kazamiさん (31歳:男性)
投稿日時:2010-11-25 21:26:41
参考:過去のご相談
ベースセメントを残してのレジン充填



こんにちは お世話になります。
表題の件で、2点ほど教えていただきたいことがあります。


[Q1]

FCK支台歯形成において、補綴物保持のためフィニッシュラインからの高さについて何か指標 (おおよそ何mmとか) みたいなものはあるんでしょうか?

高さが足りないと脱離の危険があるようなことを先生が言われていたのですが、高さ次第ではマージンの位置も変化しますよね?

対象となる歯は下顎第二大臼歯無髄歯) で、クラウン白金加金です。
イメージですがこんなのでわかりますでしょうか…

ロロ  ロロ←咬合面
ロロロロロロロ
ロ*****ロ↑
ロ*****ロ│この部分の高さのこと(だと思うんですが)
ロ*****ロ↓
*******

ロ クラウン * 支台歯



[Q2]

補綴物保持の関係から (あるいは他の理由でも) 結果的にマージンが縁下に入ってしまう場合 、頬・舌側面辺縁であってもマジックマージンが行えないような気がするのですが、金合金のメリットが1つ減る?ことになるのでしょうか。


よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2010-11-26 09:06:52
こんにちは、またマニアックな質問ですね^^;


FCK支台歯形成において、補綴物保持のためフィニッシュラインからの高さについて何か指標 (おおよそ何mmとか) みたいなものはあるんでしょうか?

特にはありません。



>高さが足りないと脱離の危険があるようなことを先生が言われていたのですが、高さ次第ではマージンの位置も変化しますよね?

高さが得られない場合や外れやすいようなケースには保持溝など取れにくい形を支台歯に付与します。



>補綴物保持の関係から (あるいは他の理由でも) 結果的にマージンが縁下に入ってしまう場合 、頬・舌側面辺縁であってもマジックマージンが行えないような気がするのですが、金合金のメリットが1つ減る?ことになるのでしょうか。

マジックマージン
インレーの接着と合着、セメント層のこと

バーニッシュみたいなものですね。
それを行うには縁上マージンでないとできないですね^^;



金合金で私がクラウンを作る場合、狙って全周縁下にマージンを落とすことは私はまずしないですね。


おだいじに
 

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2010-11-26 10:17:19
FCKの形成では軸面お長さが長いほど維持力は強くなりますが、それ以上に軸面のテーパー(傾き)が平行に近ければ外れにくくなります。
長さも基準はありません。


最近は合着用のセメントもかなり良くなって来ているので、たくさん形成しなくても簡単には脱離しにくいと思います。



確かに歯肉縁下マージンの設定をしてしまうとセット時に辺縁の擦り合わせが出来ませんので、マジックマージンは出来ません。


マージンの設定は私なら極力縁上に設定し、エナメル質の削除量を減らすようにしたい所です。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2010-11-26 12:27:47
歯冠咬合面からみて仮に円型だとすると歯冠幅径が大きいほど回転してFCKが回転脱落しやすくなります。
ここで歯冠高径が高くなれば外れにくくなります。

もう一つ尾崎先生が書かれたように、テーパーが大きくなれば外れやすくなります。


この三者の組み合わせですけど、個人的にはテーパーが大きいと脱離しやすいと思います。
理想は6度です。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2010-11-26 12:53:00
噛合せが低い場合、第二大臼歯クラウンは非常に薄くなります。
冠というより皿のようになることもあります。

ゴールドクラウンならばマージンはできれば縁上にしたいのですが、このような場合はやむなく縁下に設定します。



>頬・舌側面辺縁であってもマジックマージンが行えないような気がするのですが、金合金のメリットが1つ減る?ことになるのでしょうか。

確かにマジックマージンはできなくなりますが、適合精度が良ければそれほど気にする問題ではないと思います。

保険のクラウンと比べてゴールドクラウンは適合精度を上げられるのが最大のメリットだと考えます。


適切な支台歯形成・きれいな印象・確実な技工操に加え、徹底したセルフケアがなされれば長期に安定するでしょう。


ご参考まで・・・

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: k_kazamiさん
返信日時:2010-11-27 01:41:48
皆様お返事ありがとうございます。
高さについては特に指標は無いのですね。


歯冠修復の解説テキストも見ていたのですが、高さについての記載は無く、内容に今ひとつよく分からない部分もあったので (例えばある場所の軸面は3度のテーパーが付与されたバーを使いテーパー6度で形成するとか書かれていても何でそうするのかがサッパリです…まぁ別にサッパリでも問題ないんですが ^^;)。

高さのこと以外にも具体的に回答して頂いたので大変わかりやすかったです。


要は適切な方法で形成&バーの操作を丁寧に行うことが重要ってことですね。


展延はやはり縁上じゃないと駄目ですか。
私的にはマジックマージン後の、あの歯質にペタリとへばりついた適合状態が好きで大臼歯はゴールドと決めています。

もちろん適合精度も重要ですが、他にも噛み心地が良いように感じます。
これも気分の問題かもしれませんが。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2010-11-27 10:02:13
帯冠効果のこと、つまり、フェルール効果・フェロル効果といったものの事でしょうか?

保険治療においてガイドラインはありませんが、補綴の指標として最低2ミリの確保は推奨されておりますし、IvVitroですが、さまざまな実験で2ミリ以上必要である事は調査されております。

ただ、あくまで実験上のデータですから、臨床上は3ミリ以上は天然歯質が残っていなければクラウンの脱落、歯質の破折などが起こることが調べられております。

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2010-11-27 18:21:47
高さとテーパーなどについての指標の論文の要約です。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6384470


テーパーについてはテーパーが大きくなると維持力が下がります。
維持力とテーパーの関係は双曲線で示されテーパーが増大するとそれに反比例して維持力が大きく減少します。

まあ普通の人がイメージするおむすびよりは、台形の方が外れにくいということです。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2010-11-27 19:19:55
茶筒効果ってご存知ですか?
(俗称かもしれませんが・・・)

お茶の缶と蓋の関係です。

互いに平行ならば、摩擦による抵抗があり外れない・・・もしくは外れにくい・・・こんな関係です。

茶筒の場合は、内部の空気圧も関係してきますがここは、考えないでください。


歯の場合は、ある程度の角度が必要です。
接着時のセメントが抜けないので入らなくなってしまいます。

より平行の方が外れない・・・もしくは外れにくい・・・。
しかし角度がないとセメントが流れずに浮いてしまう・・・。

こんな関係なんですがわかりますか?

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: k_kazamiさん
返信日時:2010-11-27 23:31:49
柴田先生>
フォロー投稿有難うございます。

例えばバーを倒しすぎて富士山形成になるとダメと言われるのも、テーパーが付きすぎ=抵抗形態不足になるって意味でいいんでしょうか。



桜田先生>
クラウンの場合、外側性の把持形態+セメントのフローを考慮する必要がある、と認識しておりますがこんなんであってますでしょうか。

缶の例えは通院先の先生もしていました。
その時は内側性窩洞の話だったので蓋と缶が逆でしたが。



あと高田先生の返信を見て気づいたのですが

[1]

ロロ  ロロ
ロロロロロロロ
ロ@コココ@ロ↑支台歯の高さ≒フェルール
ロ@コココ@ロ│
ロ@コココ@ロ│
ロ@コココ@ロ↓


[2]

ロロ  ロロ
ロロロロロロロ
ロコココココロ ↑支台歯の高さ
ロコココココロ │
ロ@ココ@ロ │↑フェルール少なめ
ロ@ココ@ロ ↓↓

ロ = クラウン
コ = コア
@ = 残存歯質

[1] と [2] だったら、どちらも高さは同じですが、保持力や脱落の仕方(危険?)が違うんでしょうか。
言いたいことがうまく説明できないですが (汗


ちなみに今回の歯のフェルールは [1] に近いですが、元々ODのInrayが入っていた部分をエンド→クラウンなので、歯冠側から見るとOじゃなくてUに近い形状です (高さ3mmくらい、全週の70%くらいだと思います)。

コアはレジンのみで築造されている状態です。
回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2010-11-28 11:42:59
>例えばバーを倒しすぎて富士山形成になるとダメと言われるのも、テーパーが付きすぎ=抵抗形態不足になるって意味でいいんでしょうか。

そうですね、富士山では抵抗形態不足ですね。

身近なものではマジックインキ細書き用のキャップぐらいのイメージを目標にしています。
あくまで目標です。
全部そうしてるという訳では全くありません。


青島君ではないですが現場が大事なので、隣の歯とか患者さんの口の開き具合とかいろいろテーパーを大きくする要素はいっぱいあります。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: k_kazamiさん
返信日時:2010-11-29 17:59:04
柴田先生、再度の返信有難うございました。

いくつも考慮しなければならない内容があるのは承知しております。
ご親切に回答頂いたのでつい引っ張ってしまいました。
本題に戻ります。


私はマージンを縁上に留めることにこだわりがあるので (マジックマージンだけが理由では無く)、先生から絶対無理だろうと言われない限り、自由診療においては毎回それで要求出してますが、正直感覚的には尾崎先生の書かれた内容に近く、そもそも脱離なんてそう簡単にするの?と思っているのですが。

自由診療だと保障とかも考慮しないといけないので、どちらかと言うと維持力を高める方を重視したりすることもあるんでしょうかね。
回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2010-11-29 23:24:39
縁上マージンと同縁あるいは縁下マージンを比較した場合、臼歯部では維持力を除いて縁上マージンが一番だと思っています。

実際自分の診療で好きこのんで縁下にしたことは、ほとんどありません。
カリエスがあればどうしても縁下になってしまうことはありますけど。


前歯部は審美性が優先されますのでどうしても縁下に入れざるを得ないと思っています。
 
維持力はグルーブやホールで高めることは、ある程度可能なのでできるだけ縁下を避けています。
 

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: k_kazamiさん
返信日時:2010-12-01 20:56:16
柴田先生、こんばんは。

通院先の先生も

「わざわざ落とす必要があるとすれば歯を磨かない人」

と言ってたので、別に好んでやってるわけではないと思います。
マージンの話はよく考えれば全周じゃなくて一部だけの意味で言ったのかもしれないです。


グルーヴやピンホールは (どっちも穴にしか見えないのでこれも違いが分からないのですが ^^;) 回転力等に対しての抵抗力は強くなりそうですね。

反対側もクラウンですが、杉原先生が仰る皿に近いためかその形態が付与されてました (当時の模型に穴が数箇所あります)。
これも近遠心的とか平行配置すると維持力が強くなりそうですね。



私は審美性とかは殆ど気にしない=要は機能するには何が必要かわかればOKなのですが、それ故にこう言う細かいところは気になります。

別に先生がこうすると言ったらそれで良いのだけれど、何故そうなのかを理解することが重要だと思っています。



閑話休題。
最後の質問をさせて下さい。

[返信2] の言いたいことがうまく説明できない…の話ですが、フェルールがまぁまぁ残存している状態で、脱離するとしたら

セメントが破壊されてクラウン「だけ」外れる
歯質ごともっていかれる

どっちなんでしょう。
もちろんいつも同じ状態になるとは限らないですが、一番ありそうなのは?


今まで外れた経験は一度もないですし、どうもイメージが湧きません。
よろしければどなた様かご回答いただければ幸いです。
回答 回答10
  • 回答者
回答日時:2010-12-01 21:04:23
外れたときに歯科医が考えればいい話ですが

?と?の間にコアごとクラウンが外れるというのがあります。
本来は根管に維持を求めるので外れにくいのですが。


あとは歯根破折ですね。
まあどれもいい話ではありません?以外。

回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2010-12-01 21:36:06
実際には補綴物の維持にはフェルールだけじゃなくて、かみ合わせとか、形成とか、印象とか、精度、材質とか、様々な要素が絡んできますからね。

何か一つだけ完璧であとは適当というよりも、全部そこそこというほうが持ちが良かったりもすると思います。


患者さんにできることと言えば、やっぱりプラークコンロトールが第一ではないでしょうか?

どんなにいい補綴物が入っても、歯周病で抜けてしまっては元も子もありませんから(^^;)

回答 回答12
  • 回答者
回答日時:2010-12-01 21:46:34
ちょっと違う視点からですが・・・

ぼくはグルーブやピンホールを滅多な事では彫りません。

たとえ支台歯の高さが足りなくとも、テーパーの角度と適合。
そして正しい咬合の与え方を求めれば、そうそう脱落はしないと考えています。


逆にこれでも外れてしまう場合は、こちらで考えていた以上の力が加わっている日常があるのかも知れませんし、あるいは見落としている咬合の不調和があるかも知れないと考えます。

そしてそういった事があった際には、おかしな言い方ですがクラウンが「外れてくれる」ので、歯根破折等を引き起こす確立は減るように感じています。


これが特にピンホールがあると、万が一横方向に無理な力が加わったとした時にその力はみごとに歯牙全体またはコアにかかるように思えます。

回答 回答13
  • 回答者
回答日時:2010-12-01 21:50:31
>田中先生

僕も全く同じ考えです(^^)


ただ、「クラウン脱離」=「信頼関係の喪失」となってしまわないように、十分にコミュニケーションが取れているという前提が必要にはなりますよね。

回答 回答14
  • 回答者
回答日時:2010-12-01 21:53:50
>田尾先生

そうですねー
ぼくもこのような事が疑われる場合には、装着の際に前以て「外れてくれる」かもしれない旨をお話はしています。

しかし予想できない場合もありますが、そこはそれまでの治療過程での信頼の構築でなんとでもなるように思います。


例えばこの事例でなくとも、不信感が出てしまう場合というのはそれ以前から既に何かが足りないというものなんでしょうね・・・

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: k_kazamiさん
返信日時:2010-12-03 20:42:41
柴田先生・運営者様・田中先生>

色々有難うございました。
プラークコントロールもやってますよ。
やってるけど…だるい日などは偶にそのまま寝てしまいます(^^;


田中先生へ

[回答14] について
これは私のことでしょうか(汗。

ちょっと私見も書いてみます。
何かが足りないものの一つに患者側の知識があります。


信頼関係の構築と言うのは難しくて、簡単に出来ることではないと感じています。

例えば脱離の話ですが、何も知らない状態、もちろん信頼も無い場合でたまたますぐに脱離したらどう言う反応になるか…

(実際にはどうなるかわかりませんが正直に言いますよ ^^;)

真実は別として先生に絶対疑いを持つと思います。
取れなくて当然だと言う根拠の無い思いがあるからです。

今はそんなことはあり得ないことを理解していますが。
これは先に話を聞いていても後で聞いていても同じ結果になると思います。
後のほうがより結果は悪いでしょうが。


私なりの解決方法は、まず基本を勉強し (でも何が基本と言えるのかよくわからなかったので○○学と付くもので関係ありそうな本を数冊読みました)。

次に歯冠修復や接着やエンド等、内容が特化した本を読み勉強しました。

そして最後にネットの情報 (返信頂いた内容も含み) です。

ネットの情報だけだと物凄く偏った見方になるんですが、基本的な事柄を把握している状態だとだいぶ見方もかわるし結構自分では効果があったと思っています。

その上で先生の説明を聞けば、まぁ問題はないだろうと考えています。

脱離の話に戻りますと、既にその理由を理解しているからです。

このスレッドの内容自体が不信感の元みたいに感じられてたらイヤなので一応書いてみました…。



タイトル FCKの支台歯形成とクラウンマージンについて
質問者 k_kazamiさん
地域 非公開
年齢 31歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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