[写真あり] 無薬での再根管治療について

相談者: yocchiさん (58歳:女性)
投稿日時:2012-12-11 00:49:37
上の5番です。

感染根管抜髄)治療が失敗し、現在根尖にはっきりと膿がたまって見えるほどではないのですが歯槽硬線が消失しています。
治療した先生は、根尖までの根管拡大はできなかったそうで、水酸化カルシウムを入れてからコアを建てたと言われています。

別の医院で再根管治療を受けるつもりですが、ラバーダムの必要性は唾液などからの細菌感染を防ぐことと、化学的洗浄液使用時の安全のためと考えていいでしょうか?

相談した先生はラバーダムはせず、マイクロを使い、化学的洗浄をしないと言うやり方で、保険治療、1回60分で3回くらい治療の予定です。

機械的洗浄では取りきれない部分、触れられない部分が残るので、化学的洗浄も併用すると言う考えがあると思うのですが、聞いてみると、超音波での洗浄で十分というお考えのようですが、成功率は湾曲してなければ50%くらいだが、それより下がると言うことでした。

診察室の台には薬が一切なく、治療結果に差異がないので無薬治療になさったそうです。

スミア層の除去とかが気になるのですが、ファイルと超音波だけで、全く薬剤を使わずに感染湾曲根管の治療をした場合、化学的洗浄を行った場合と比べ、成功率に差はあるでしょうか?


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2012-12-11 01:15:27
こんばんは。

考え方が先生によって異なるところだと思います。

スミア層の除去とかが気になるのですが、ファイルと超音波だけで、全く薬剤を使わずに感染湾曲根管の治療をした場合、化学的洗浄を行った場合と比べ、成功率に差はあるでしょうか?

私が昔教えてもらった根菅治療の大家の先生は、機械的洗浄(ファイルと超音波)を中心に考えており、化学的洗浄は補助的なものとされてました。


私はファイル、超音波、化学的洗浄すべて行っておりますが、機械的洗浄がもっとも大事だと思っています。

ただ、化学的洗浄をした方が成功率はいいと思います。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2012-12-11 05:43:34
yocchさま、おはようございます。

上顎5番の感染根管で、根管形成が十分できなかったわけですね、時々経験いたします、個人的にはこのような場合患者さんに事情を説明して自覚症状がなければ根管充填をします。

その上で半年間経過観察をして根尖病巣の消失を確認できれば、コアを装着して形成印象クラウンの装着をします。

根尖病巣の消失が確認できない場合は、意図的再植をお勧めいたしております。


ラバーダムの必要性は、唾液などからの細菌感染を防ぐことと、化学的洗浄液使用時の安全のためと考えていいでしょうか?

一般的にはそのように考えられています。


>相談した先生はラバーダムはせず、マイクロを使い、化学的洗浄をしないと言うやり方で、保険治療、1回60分で3回くらい治療の予定です。

私とほとんど同じような術式のようですね。


>化学的洗浄も併用すると言う考えがあると思うのですが、

私の場合は卒後2年くらいは化学的洗浄は行いましたが・・・、大量の水でジャブジャブ洗浄したほうが効果的だと考えています、マイクロで観察していればよくわかります。


>機械的洗浄では取りきれない部分、触れられない部分が残るので、化学的洗浄も併用すると言う考えがあると思うのですが、

そのような考えがあることは理解していますが、当時はマイクロがなかったので比較してはいません。

要するに根尖まで穿通できたか否かと、根管内をきれいに洗浄できたかでしょう、これができなければ緊密な根管充填など望めません。


>成功率は湾曲してなければ50%くらいだが、それより下がると言うことでした。

湾曲していようと根尖まできれいに根管形成ができて緊密な根管充填ができれば、ほぼ100%成功すると思います、成功しなければ意図的再植をすれば成功します。

意図的再植の際、抜歯したときマイクロで歯根を仔細に観察すれば、不成功の原因が見つかります。

>薬が一切なく、治療結果に差異がないので無薬治療になさったそうです。

これもひとつの見識だと思います。

個人的には成功率の差は薬ではなくて技術の差だと考えています、参考になれば幸いです。

根管治療難症例 http://yamadashika.jugem.jp/?cid=160
根管治療 http://yamadashika.jugem.jp/?cid=30
意図的再植法 http://yamadashika.jugem.jp/?cid=189

回答 回答3
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2012-12-11 08:42:36
保険治療、1回60分

立派だと思います。


>化学的洗浄をしない
>無薬治療

根管治療中の種々の症状の一部が根管内に使用する薬剤の影響ではないか、と考えられた時代があったように思います。

逆に、綿にホルマリン系の薬を浸み込ませたものを、ひたすら交換することが治癒に結びつくと考える先生もおられますね。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2012-12-11 09:17:56
個人的には「アリ」だと思いますよ。


ただ、僕の脳みそはオールドスタイルなので、いまだに「貼薬」してますけど…。(・_・)

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: yocchiさん
返信日時:2012-12-11 12:19:40
渡辺先生、山田先生、藤森先生、櫻井先生
ご回答ありがとうございます。


渡辺先生

根管治療はとても難しい治療なので、万全を期していろいろ対応されるのですね。
良く考えてみます。


山田先生

大量の水でジャブジャブ洗浄・・ですか。これだとラバーなしでも大丈夫でしょうか?

きれいな根管形成が第一なのでしょうが、45度近く曲がったS字と言われまして・・・。
写真を添付します。

実はHPを見て診察を受けたのですが、ラバーとNiTiファイルを使うとあったので、期待した面もありましたが、道具説明では使われると仰いませんでした。
保険では無理なのでしょうね。

抜歯した場合の説明もあったので、抜歯の可能性も高いとお考えのような気もします。
意図的再植はよくわかりませんので、又勉強したいと思いますが、専門医を探すことになりますね。


藤森先生

初めはラバーダムを使われると思っていたのですが確認したところ、無しだったので気になっているのですが、保険で隔壁を作ってと言うのは無理でしょうね。
でも説明は良くしてくださいますし、とても良い先生だと思っています。
無薬治療は現在はかなり珍しい、というか、アレルギーなどの人向けなのでしょうか?

画像1画像1
回答 回答5
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2012-12-11 15:43:00
もしかすると、くの字(僅かなS字)の根菅形成をしっかりと行なってもらうことの方が、薬使用の有無の問題以上により重要かもしれませんね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: yocchiさん
返信日時:2012-12-11 23:07:23
藤森先生

やはり曲がり方としてはひどい方なのですね?
それほど困難なケースとは思っていませんでした。

というのも、初めの先生も、今回専門医に行くからと治療内容を確かめるまで、根管形成ができなかったことを隠していらしたし、いままで治療を断られたほかの医院もあったのですが、はっきりと仰って頂けなかったので。

とすると、腕の良い先生にやって頂くのが良いのでしょうが、これが分かりにくいです。
歯は大切なので、自費治療も視野に入れて探していたのですが・・・。

良く考えてみます。
ありがとうございました。
回答 回答6
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2012-12-11 23:24:51
いえ、この程度の曲がり方はよくありますよ。
でも、もしかすると、反対向きに曲がっていたら、前の先生も少しやり易かったのかもしれませんね。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2012-12-12 00:25:22
「器械的操作」や「大量の水でジャブジャブ」でも確かに細菌数は減りますし、ラバーダムを使わなくても上手くいくこともあると思います。
色々な考え方、価値観の先生がおられるのも事実です。

ただ患者さんにとっては一本しかない大切な歯ですから、より確実性の高い方法を希望されるのはもっともですよね。



1985年の研究では、器械的操作(手用ファイルを使った根管拡大)+化学的洗浄(次亜塩素酸ナトリウムを使用)を1回(1日)行っただけだとまだ約半数の根管で細菌が検出され、その後貼薬(水酸化カルシウム)を4週間以上行ったら97%の根管で細菌が検出されなくなったとされています。

2000年に別の研究グループが行った、↑の手用ファイルをNiTiファイルに替えた類似の報告では、器械的操作(Ni-Tiロータリーファイル使用)+化学的洗浄(次亜塩素酸ナトリウム)1回で61.9%の根管で細菌が未検出になり、またそれは生理食塩水のみで洗浄した場合よりも明らかに効果的で、貼薬(水酸化カルシウム)を1週間以上行ったところ92.5%の根管で細菌が検出されなくなった。とされています。

文献はコチラ
J Endod. 2000 Dec;26(12):751-5.
Reduction of intracanal bacteria using nickel-titanium rotary instrumentation and various medications.
Shuping GB, Orstavik D, Sigurdsson A, Trope M.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11471648



また根管貼薬を行わないと、せっかく洗浄で一時的に細菌数が減ったとしても次回来院時には細菌数が増えている、という報告もあります。

この研究は一見無菌化が簡単そうな単根歯で行われていますが、

器械的操作+生理食塩水で洗浄+仮封

を5回繰り返したところ、平均値でいくと細菌数は初日の終了時(洗浄直後)よりも5日目の治療開始時の方が細菌数が二桁も多いという結果です。

文献はコチラ
Scand J Dent Res. 1981 Aug;89(4):321-8.
Bacteriologic evaluation of the efficacy of mechanical root canal instrumentation in endodontic therapy.
Byström A, Sundqvist G.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=1981%20Bystrom



「治療結果に差異がない」というのはその先生が「経験的」にそんな「印象」を持っている、というだけの話で、臨床家が自分の治療結果を正確に記録して比較評価しているというのは0.1%もいないのが現実だと思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答8
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2012-12-12 08:34:11
本当は、渡辺先生の回答が正論です。でも、国内の保険治療の現状では、各々の歯科医師が工夫して診療に当たっているのが現状だと思います。
理想を求められると歯科医院探しが大変になるかもしれません。

回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2012-12-12 10:33:01
私が知る限りなんですが、世界的なトレンドとしては、根管充填や根管形成よりは化学的洗浄(根管貼薬ではないですよ)が重視されるようになっています。

日本の場合色々な考え方が沢山存在し、歯内療法学会の有名な先生でも色々な術式・考え方があるのが現状です。
次亜塩素酸Naではなく、水やヨードやレーザーで根管内洗浄を行い細菌数を減らすとおっしゃる先生いろいろおられます。

なるべく安全に、安く、早くが日本の医療に求められる部分ですから次亜塩素酸Naみたいな強アルカリで事故の元になるような材料であれば、根管治療費の300円(根管治療の2回目以降の治療費)内で水でジャバジャバ洗ったり、レザーを照射した方が日本で求められる医療形体なのかもしれません。
(*300円の治療費ですが、事故が起これば数百万の支払いをしないといけないことがあります)


根管治療には色々な考え方・学派があり、特に注目されているのが世界的に専門医が行う科学的根拠に基づいた根管治療ということです。
この方法は、私のような経験のない人が行っても、ある程度結果にバラつきが無くなる方法です。

山田先生がおっしゃっている方法も分らなくありませんし、それで結果を出しているとおっしゃられています。
ただ、それは山田先生しかできないことですし、データーや術式そのものも公開されていませんので他の歯科医師はマネしようがないのが現状です。

根管治療のことを色々調べられても、結局は先生任せになってしまいます。
またおっしゃるようなスメア層のことまで考えて行う治療は、更にコストのかかる治療になってしまいます。
(個人的にはスメア層を除去するのがいいのか、残した方が良いのかは議論する余地のある部分ですが、これはかなり重箱の隅の部分です)

再根管治療は誰が行っても難しい治療ですし、特に湾曲しているような根管になれば技術の差がモロに出てくる部分です。

もし自費でもいいから治したいとのことでしたら、根管治療だけを専門でおこなっているような歯科医院を探してもらい受診してみてください。

今yocchiさんが調べられているようなアメリカ系のエンドは行ってくれると思いますよ^^
(因みにアメリカ系のエンドでもまた学派が色々あります^^;
どの学派の方法が良いかは私には分りません)

おだいじに

3人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: yocchiさん
返信日時:2012-12-12 23:33:45
藤森先生、渡邊先生、井野先生
ご回答ありがとうございます。


藤森先生

>この程度の曲がり方はよくありますよ。
安心しました。

>理想を求められると歯科医院探しが大変に・・・

そうですよね。
どうしたらよいか迷います。



渡辺先生

先生によって本当にいろいろな治療が行われているのですね。
丁寧にご説明頂き、ありがとうございました。
やはり納得のいく治療法の先生を探してみます。



井野先生

わかりやすくご説明頂き、ありがとうございます。
本当にいろいろな考え方、治療が存在するのですね。
保険医療の問題も多少ですがわかってきました。

根管治療のことを色々調べられても結局は先生任せ・・

その通りで、調べられることにも限りはありますし、というより
分からないことの方がはるかに多いのですが、やはりわかっていれば…と後になって思うこともあり…難しいです。

エンド専門の先生はコア建てまでもなさらないところもあって、そういうところは紹介が主なのかな?と思ってしまいます。

探してみますが、電話問い合わせではあまりわからないところも多く、予約も取りにくく、困難山積みです。


諸先生方に色々アドバイス頂き大変参考になりました。
本当にありがとうございました。



タイトル [写真あり] 無薬での再根管治療について
質問者 yocchiさん
地域 非公開
年齢 58歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療関連
その他(写真あり)
根管貼薬
回答者




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  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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