補綴物の適合の重要性について

相談者: rungさん (29歳:男性)
投稿日時:2014-09-12 03:52:22
おはようございます。

二次齲蝕を防止するためには、補綴物の精度が大切だということはよく見聞きしますが、セメントで隙間を埋めてしまうのだから、修復物の精度はあまり関係ないのではないかと思うのですが、精度が大切なのにはどういった理由があるのかな、と思いました。

セメントは割と早い期間でポロポロ取れてきたりするからそこにできた隙間にプラークがたまる、ということなのでしょうか。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2014-09-12 11:16:59
精度は大切だと思います。
そのために、歯肉とのつなぎめを、丁寧に印象します。

ですから、セメントがあっては、いけないのです。
最近のセメントはレジンセメントが多いので、ポロポロ取れたりしません。
ずっと付いたままになってしまいます。


2次カリエスも問題ですが、セメントは歯石と同じ働きをしてしまい、プラークがたまって、歯周病になる原因になります。

できるだけ、歯科医師は精度を向上させるために、印象財や、製作の方法を常に研究しています。


ご参考にしてください。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2014-09-12 11:23:14
実際のところ、何百ミクロン以上の隙間があると二次齲蝕が何%増える・・といった様な研究報告はない様に思います。

ですがおそらくこれについては、交絡因子(結果に影響する可能性のある、本題(隙間)以外のあらゆる因子)が多すぎて、研究を行うこと自体が難しい、といった事情によるものだと思われます。

・・となると、やはり歯科医師歯科技工士が行うべきことは可能な限り高い適合性を追求していくことにはなるかと思うのですが、かける手間や、患者さんにご負担頂く時間やコストとのバランスについて、確かに悩ましい問題です。



以下想像もありますが、普通の合着用のセメントの場合はご指摘の通りのことが起こるはずです。

仮着用のセメントはそれが更に顕著になりますので、仮着はやはり仮着と考え一時使用に留めるべきでしょう。

合着用セメントは、水分で分解されていくことも知られていますから、適合が悪ければ唾液にも触れますし、プラークが溜まれば強い酸にも晒されます。
「脆い」材料ですからカタカタ動く様な精度ではセメントは徐々に破壊されていくはずです。


最近はレジン系の接着性セメント(充填用のレジンに近いもの)も多用され、個人的には今はこちらしか使ってないぐらいなのですが、それでも長期的に、補綴物の精度が悪かったとしても安心出来るというほどの材料ではないと思っています。


基本的には似た様な問題が多く、利点もあるのですが別の問題もあるのですが、長くなるので割愛するとして、結論としては「隙間はセメントが埋めるから大丈夫」という考えは楽観的すぎると思います。



それと、補綴物の精度が悪いということは、何も数百ミクロン(0.数o)程度の「隙間」ばかりではなく、ミリ単位での隙間や、浮き上がり、段差、オーバーハング等も起こりえますし、日常臨床の中では頻繁に見かける問題でもあります。

セメント層の露出の有無だけでも上述した様な問題が考えられるのですが、今挙げた様な形態不良は明らかにプラークを溜め込む原因になりますので、プラークが引き起こす問題(歯肉炎歯周炎、二次齲蝕)の間接的原因として重要視するべきだと思います。



個人的には、予防というのは治療終了後の話ではなくて、充填や補綴処置の段階から最大限配慮(精度を高くする、清掃性を考慮した形態、素材の選択、研磨等)するところからすでにスタートしていると感じていますし、もっと言えば原因の分析、改善策も当然関わってきますので、患者さんと出会った瞬間から予防への対策というのは始まると思います。

そういう意味では補綴物の精度というのは予防の主役とまでは言えないと思いますが、決していい加減に考えて良い問題とも思えませんね。

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回答 回答3
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2014-09-12 13:57:29
精度云々以前に、歯を削った場合は、過不足なく元の形に修復することが基本になると思います。

修復物が、歯を削った部分と削っていない部分との境界からアンダー(この場合を述べられたようですが)でも、オーバーでも拙いと思います。


前者だと、エナメル質を欠いた状態ですから、何が起こりやすいかは想像できると思います。
もし仮に、その場所をレジン充填したとしても、あまり信頼は出来ないと思います。合着用セメントでは更に不安です。

後者だと、プラークが付着しやすい場所を残したままになりますね。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: rungさん
返信日時:2014-09-13 02:33:24
古舘先生、渡辺先生、藤森先生、ご回答ありがとうございました。


恐縮なのですが、

>ですから、セメントがあっては、いけないのです。
>最近のセメントはレジンセメントが多いので、ポロポロ取れたりしません。
>ずっと付いたままになってしまいます。

とありますが、レジンセメントは象牙質や修復物から取れたりはがれたりすることは無いのですか?
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2014-09-13 14:51:42
レジンセメントの場合、接着力が高いが故に取れたり剥がれたりは少ないです。

逆に、くっつきすぎて装着時にはみ出した部分がいつまでも残っていたりしてそこにプラークが溜まり、2次的な問題を引きおこしているケースがかなり多いです。
古舘先生のご指摘の通りですね。

それと”接着”という操作は合着の場合と違って少々繊細ですので、接着前の清掃や防湿等、失敗をすると全く接着しない面というのが発生します。



最初のご質問に戻って補綴物歯質との間に隙間がある場合にも、綺麗なレジンの面が残るとは限らず、ざらついたプラークの付着しやすい面が残るので、やはり補綴物の適合性度が重要です。

細かい作業をされる先生だと、レジンセメントを使って装着した場合には、補綴物装着後、レジンセメントの面(そういう先生の場合はそもそもほとんどない訳ですけど・・)を更に研磨したりしますね。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: rungさん
返信日時:2014-09-19 17:17:41
懇切丁寧に回答していただきありがとうございました。

またよろしくおねがいいたします。



タイトル 補綴物の適合の重要性について
質問者 rungさん
地域 非公開
年齢 29歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 補綴関連
回答者




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