留学中の娘が前歯打撲で抜髄。歯髄保存で経過観察出来なかったのか
相談者:
一生自分の歯で噛みたい‼さん (20歳:女性)
投稿日時:2018-10-06 15:52:58
お世話になります。
今年8月初旬、カナダ留学中の二十歳の娘が左前歯を打撲しました。
風でも染みる状態で、2週間後に変色もみられたので、現地の歯科を受診しました。
神経が死んでもう復活しないと断定され、打撲からわずか1ヵ月半後に歯内療法を受けました。
1)受傷からわずか1か月半後に神経を取ってしまうには早かったのではないか?
外傷なので、もう少し経過観察させるべきではなかったか?と後悔しています。
2) そんな中、中学生14歳の子供の前歯の打撲を心配し、何とか抜髄を避けようと経過観察している聡明な親御さんの相談を見つけました。
そこにはトランジェット・アピカル・ブレイクダウンという表現がありましたが、用語を検索しても出てきません。
弱っている神経でも復活するのでしょうか?
どういうことか教えて頂けるとありがたいです。
3)尚、娘はカナダの歯科医に、このまま神経を残しておいても復活しないし、歯がどんどん黒ずむだけ..と言われ、切迫感を感じ治療に踏み切ったようです。
が、仮に神経が死んでいても歯が"どんどん黒ずむ"ことはないと後で聞きました。
実際はいかがでしょうか?
4)弱っている神経は、二十歳でも復活することはあるのでしょか?
5))歯内療法の最後にブリーチもしましたが、後日取り出すものではなく、入れっぱなしのものです。
ガスが充満し歯が割れることもあると知りいろいろ心配が拭えません。
6)そもそも歯髄壊死を起こしていなければ、急いで歯内療法をしなくてもよかったのでしょうか?
実際、歯の裏に穴をあければ脆くなるので後悔が残ります。
以上、6点も申し訳ありません。
今後の教訓として教えて頂きたくお願いいたします。
今年8月初旬、カナダ留学中の二十歳の娘が左前歯を打撲しました。
風でも染みる状態で、2週間後に変色もみられたので、現地の歯科を受診しました。
神経が死んでもう復活しないと断定され、打撲からわずか1ヵ月半後に歯内療法を受けました。
1)受傷からわずか1か月半後に神経を取ってしまうには早かったのではないか?
外傷なので、もう少し経過観察させるべきではなかったか?と後悔しています。
2) そんな中、中学生14歳の子供の前歯の打撲を心配し、何とか抜髄を避けようと経過観察している聡明な親御さんの相談を見つけました。
そこにはトランジェット・アピカル・ブレイクダウンという表現がありましたが、用語を検索しても出てきません。
弱っている神経でも復活するのでしょうか?
どういうことか教えて頂けるとありがたいです。
3)尚、娘はカナダの歯科医に、このまま神経を残しておいても復活しないし、歯がどんどん黒ずむだけ..と言われ、切迫感を感じ治療に踏み切ったようです。
が、仮に神経が死んでいても歯が"どんどん黒ずむ"ことはないと後で聞きました。
実際はいかがでしょうか?
4)弱っている神経は、二十歳でも復活することはあるのでしょか?
5))歯内療法の最後にブリーチもしましたが、後日取り出すものではなく、入れっぱなしのものです。
ガスが充満し歯が割れることもあると知りいろいろ心配が拭えません。
6)そもそも歯髄壊死を起こしていなければ、急いで歯内療法をしなくてもよかったのでしょうか?
実際、歯の裏に穴をあければ脆くなるので後悔が残ります。
以上、6点も申し訳ありません。
今後の教訓として教えて頂きたくお願いいたします。
回答1
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2018-10-07 13:50:54
歯科医師の診断には若干、その国ながらの傾向があるのかもしれません。
外傷歯の場合、まず第一に歯根外部吸収の可能性を注意する必要があります。
最悪のシナリオを避けるための根管治療は決して間違った判断ではなかったとは思います。
一方で、根管治療しなくても歯髄を温存出来る可能性もゼロではなかったかもしれません。
一旦黒ずんできた歯が、自然に元の色に戻っていく場合もあります。
しかし、非常に慎重な経過観察が必要で、一歩誤れば、前述した外部吸収を引き起こす可能性はあります。
外傷歯の場合、まず第一に歯根外部吸収の可能性を注意する必要があります。
最悪のシナリオを避けるための根管治療は決して間違った判断ではなかったとは思います。
一方で、根管治療しなくても歯髄を温存出来る可能性もゼロではなかったかもしれません。
一旦黒ずんできた歯が、自然に元の色に戻っていく場合もあります。
しかし、非常に慎重な経過観察が必要で、一歩誤れば、前述した外部吸収を引き起こす可能性はあります。
相談者からの返信
相談者:
一生自分の歯で噛みたい‼さん
返信日時:2018-10-08 08:51:08
藤森先生
休日のところ、ご回答をありがとうございました。
娘から、結局 歯内療法を受けた。と聞いた時、もう済んでしまったことと、諦めがつくと思ったのですが...
正直、これでよかったのか...?と後悔することになってしまいました。
今後、もしまた同じようなことが起きれば、今回のことを教訓に焦らず対処したいと思います。
本当にありがとうございました。
休日のところ、ご回答をありがとうございました。
娘から、結局 歯内療法を受けた。と聞いた時、もう済んでしまったことと、諦めがつくと思ったのですが...
正直、これでよかったのか...?と後悔することになってしまいました。
今後、もしまた同じようなことが起きれば、今回のことを教訓に焦らず対処したいと思います。
本当にありがとうございました。
回答2
歯科医師の松山です。
回答日時:2018-10-12 10:49:25
強い打撲を受けると、歯根尖部の振とうにより歯髄に入り込む血管が断裂することがあります。
そうなると歯髄中の残された血液は歯髄組織とともに変性・壊死に至ります。
早ければ、大体の事になりますが、2週間くらいで歯冠の変色が始まります。
黒くなるまではならないとしても若年者ではわかりやすく、暗い色になってしまいます。
変色を来した場合は100%歯髄の温存療法はできません。
前歯を打撲することはあるので、激しいスポーツではマウスピースを装着する、不慮の事故は仕方ないとして、闘争はしないなどの予防処置の方が大事だと思います。
診療をしていて私たちも心が痛むものです。
附記
歯髄中の神経組織は受傷後2週間くらいではまだ生きていて
触ると痛みます。
ですから麻酔が必要となります。
痛いすなわち「いわゆる神経」が生きているということではなく、歯髄は壊死の傾向にあります。
そうなると歯髄中の残された血液は歯髄組織とともに変性・壊死に至ります。
早ければ、大体の事になりますが、2週間くらいで歯冠の変色が始まります。
黒くなるまではならないとしても若年者ではわかりやすく、暗い色になってしまいます。
変色を来した場合は100%歯髄の温存療法はできません。
前歯を打撲することはあるので、激しいスポーツではマウスピースを装着する、不慮の事故は仕方ないとして、闘争はしないなどの予防処置の方が大事だと思います。
診療をしていて私たちも心が痛むものです。
附記
歯髄中の神経組織は受傷後2週間くらいではまだ生きていて
触ると痛みます。
ですから麻酔が必要となります。
痛いすなわち「いわゆる神経」が生きているということではなく、歯髄は壊死の傾向にあります。
回答3
E Eデンタル(愛知県豊橋市)の井野です。
回答日時:2018-10-12 12:37:02
お子さんのことで心配だとは思いますが、
あまりネットで色々検索しない方がいいと思いますが・・・
「トランジェットアピカル ブレイクダウン」
全く一般的な治療法ではないので、我々開業医でもその方法を提示する先生はまずいないかと思います。
またその方法を希望される場合、最初からその方法を行う外傷の専門医にかかって頂く必要があります。
私も過去大学の教授の講演を聞いてそういう術式があるのか!
ということは知っていますが、いざ実際臨床で行うか?と言われれば「やりません(できません)」
参考
http://eedental.jp/ee_diary/2011/03/post-266.html
歯髄は取る時期を誤ると抜歯のリスクがグッと上がりますのでもろ刃の剣、博打みたいなものです。
>カナダ留学中
特に留学中とか期限付きの患者さんで長期間経過観察を行う術式を選ぶ先生はかなり少ないと思います。
(自分の後に引き続き他国で同じ考え方の先生を紹介・探すことは困難ですからね)
外傷の歯髄の取り扱いは非常に難しく、歯髄保存を希望されるならより高い専門性が必要となるので、ネットであれこれ検索するよりは外傷に関して知識のある先生を探しておいて、何かあった時にすぐにかかられた方が希望に添えるのではないでしょうか?
また特に日本の場合、保険治療での取り扱いが多い為、外傷で露髄した歯髄(神経)は比較的スグに取る傾向が強いですが、外傷歯の直接覆髄などは比較的成功率が高い治療なので歯が折れた場合には歯髄保存はファーストチョイスにした方がいいと思います。
(保険制度上、歯髄保存に失敗するとペナルティー的に次の治療費が減額されてしまうので制度状にも問題があります)
色々悩むとは思いますが、あまりネット漬けにならないようにしてください。
あまりネットで色々検索しない方がいいと思いますが・・・
「トランジェットアピカル ブレイクダウン」
全く一般的な治療法ではないので、我々開業医でもその方法を提示する先生はまずいないかと思います。
またその方法を希望される場合、最初からその方法を行う外傷の専門医にかかって頂く必要があります。
私も過去大学の教授の講演を聞いてそういう術式があるのか!
ということは知っていますが、いざ実際臨床で行うか?と言われれば「やりません(できません)」
参考
http://eedental.jp/ee_diary/2011/03/post-266.html
歯髄は取る時期を誤ると抜歯のリスクがグッと上がりますのでもろ刃の剣、博打みたいなものです。
>カナダ留学中
特に留学中とか期限付きの患者さんで長期間経過観察を行う術式を選ぶ先生はかなり少ないと思います。
(自分の後に引き続き他国で同じ考え方の先生を紹介・探すことは困難ですからね)
外傷の歯髄の取り扱いは非常に難しく、歯髄保存を希望されるならより高い専門性が必要となるので、ネットであれこれ検索するよりは外傷に関して知識のある先生を探しておいて、何かあった時にすぐにかかられた方が希望に添えるのではないでしょうか?
また特に日本の場合、保険治療での取り扱いが多い為、外傷で露髄した歯髄(神経)は比較的スグに取る傾向が強いですが、外傷歯の直接覆髄などは比較的成功率が高い治療なので歯が折れた場合には歯髄保存はファーストチョイスにした方がいいと思います。
(保険制度上、歯髄保存に失敗するとペナルティー的に次の治療費が減額されてしまうので制度状にも問題があります)
色々悩むとは思いますが、あまりネット漬けにならないようにしてください。
回答4
細見歯科医院の細見です。
回答日時:2018-10-12 18:17:31
残念ながらトランジェットアピカル ブレイクダウンは概ね17歳くらいまでしか起こらない現象です。
相談者からの返信
相談者:
一生自分の歯で噛みたい‼さん
返信日時:2018-10-13 12:33:30
更にご回答いただきました松山先生、井野先生、細見先生、本当にありがとうございました。
明確で分かりやすいお答に感謝の気持ちで一杯です。
自分のことなら諦めがつくのですが、離れている子供のこととなると悩み 気持ちの持って行き場がなく、まさに病んでいました。
今、先生方のアドバイスを拝読し気持ちの整理をつけることができました。
もう起こってしまったことは仕方がなく、その時々の先生の判断に任せるのが一番ですね!
今回のアクシデントが、娘がこれからの自分の行動を考えるきっかけになれば、と思いました。
先生方のご回答に気持ちが救われました。
本当にありがとうございました。これからも益々のご活躍とご健康をお祈りしています。
ありがとうございました。
明確で分かりやすいお答に感謝の気持ちで一杯です。
自分のことなら諦めがつくのですが、離れている子供のこととなると悩み 気持ちの持って行き場がなく、まさに病んでいました。
今、先生方のアドバイスを拝読し気持ちの整理をつけることができました。
もう起こってしまったことは仕方がなく、その時々の先生の判断に任せるのが一番ですね!
今回のアクシデントが、娘がこれからの自分の行動を考えるきっかけになれば、と思いました。
先生方のご回答に気持ちが救われました。
本当にありがとうございました。これからも益々のご活躍とご健康をお祈りしています。
ありがとうございました。
回答5
顕微鏡歯科シバタ(名古屋市守山区大森)の柴田です。
回答日時:2018-10-13 16:13:50
>5))歯内療法の最後にブリーチもしましたが、後日取り出すものではなく、入れっぱなしのものです。
>ガスが充満し歯が割れることもあると知りいろいろ心配が拭えません
勉強不足につき申し訳ありませんがそのような術式は聞いたことがありません。
6) 抜髄の時に取った組織を見ればはっきり判断できたと思います。
>ガスが充満し歯が割れることもあると知りいろいろ心配が拭えません
勉強不足につき申し訳ありませんがそのような術式は聞いたことがありません。
6) 抜髄の時に取った組織を見ればはっきり判断できたと思います。
相談者からの返信
相談者:
一生自分の歯で噛みたい‼さん
返信日時:2018-10-15 01:29:25
回答6
細見歯科医院の細見です。
回答日時:2018-10-18 10:49:19
>壊死している"とはっきり断定できたのでしょうか?
壊死した組織つまり死んだ組織からは出血しません。
>神経が血だらけではなく綺麗に取れた。と言われたそうですが、それはどういうことなのか..?
神経が壊死したばかりで壊疽つまり感染を起こしていない状態だったか、神経が炎症を起こしていない正常な状態だったかのどちらかだと思います。
壊死した組織つまり死んだ組織からは出血しません。
>神経が血だらけではなく綺麗に取れた。と言われたそうですが、それはどういうことなのか..?
神経が壊死したばかりで壊疽つまり感染を起こしていない状態だったか、神経が炎症を起こしていない正常な状態だったかのどちらかだと思います。
回答7
相談者からの返信
相談者:
一生自分の歯で噛みたい‼さん
返信日時:2018-10-21 03:29:45
タイトル | 留学中の娘が前歯打撲で抜髄。歯髄保存で経過観察出来なかったのか |
---|---|
質問者 | 一生自分の歯で噛みたい‼さん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 20歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
根管治療の治療法 根管治療関連 カナダ 歯をぶつけた(歯の打撲・外傷) |
回答者 |
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