歯列矯正の抜歯で4番か5番かはどのように判断するのか(米国)

相談者: たすこさん (28歳:男性)
投稿日時:2018-12-23 03:45:13
矯正に伴う抜歯について、4番か5番かでどのような違いがありますか?

背景として、ただいまアメリカで矯正開始して7ヶ月ほどで、非抜歯のプランから様子を見て抜歯のプランに変更するという経緯です。
最近になってかかりつけの矯正歯科からは上下5番を抜歯すると言われました。
しかし、治療開始当初の頃に、レントゲンや顎の位置関係等から、もし抜歯のプランにするとしたら、(上か下かどちらかは忘れましたが)片側が4番で、その反対は5番という、上下で違う歯の抜歯だと当初は言われていました。

いつも診察時は何人も掛け持ちしていて、ひとりひとりに時間を多く割いていないような印象を受けるので、もしかすると当初の診断から変わっていることに先生が気づいていないのかと不安になっています。
(先生にその時に質問しましたが、最初から5番の計画だったと言われてしまいました。。)

私としては、下の4番の歯茎の方が下がり気味なので、よりいい状態の5番を残したいと思っています。

先生方にお聞きしたいのは、
・上下とも4番
・上下とも5番
・上が4番で下は5番
・上が5番で下は4番
どのようなケースの時にこれらの判断をするのでしょうか?
抜歯する箇所の違いで、矯正の結果に大きく影響しますでしょうか?
歯茎の状態以外にも、何か判断基準がありましたらご教示いただきたいです。

レントゲン写真から顎や歯の位置関係の傾斜の数値からは、上顎が平均より前突しているので当初は上下で違った箇所の抜歯をするという想定だったかと思います。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2018-12-23 09:21:48
たすこさん、こんにちは。

>どのようなケースの時にこれらの判断をするのでしょうか?

抜歯で作りたいスペースの量や、上下6の咬合関係、神経の治療はしているのか、虫歯の治療はしているのか、歯根はまっすぐなのか・・・などなど非常に多くの要素を考えて判断していますね。

ただ、一般的には5ではなく4を抜くことが多いですね。
というのも、5を抜いてしまうと、動的治療時に6が手前に移動してしまう「アンカーロス」と言われる現象が起こってしまい、当初の予定通り進まないこともあり得ますから・・・。
逆に敢えてアンカーロスを起こしたい場合は5を抜歯する選択肢を取るという事もあります。


>抜歯する箇所の違いで、矯正の結果に大きく影響しますでしょうか?

通常は、影響しない様に注意しますので、特に問題はないかと思いますよ。


ご参考程度にしていただければと思います。

回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-12-23 10:46:29
抜歯矯正治療を進めておられた後からの抜歯矯正への転向という事ですから、抜歯部位に変更が生じたのかもしれません。

非抜歯では歯列の拡大を行っていたのでしょうが、得られる拡大量が骨量の関係から足らなかったのでしょう。
その場合どこを抜歯して歯の移動スペースを得たら早いかを考える事になると思います。
装置が複雑になったり治療期間が長くなってもよいのでどうしても5番を残したいと言うならばそのようにお伝えされればよいでしょう。

歯科医側は最も効率の良い抜歯部位を考えたのではないかと思います。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2018-12-25 01:11:26
>上顎が平均より前突している

ごく単純に考えて、上顎の方が前方に出ているという状態という場合であれば、上顎の方をより下げる必要があり、その場合、上顎の抜歯部位をより前方にしたほうが有利ということにはなります。
また、上顎と下顎とでは、上顎臼歯の方がより近心に移動しやすいため、下顎はより後方の歯を抜くほうが有利ということになります。
以上のことを総合すれば、現状であれば、上顎は4番、下顎は5番を抜歯する方が有利なように思えます。

もちろん、実際に診ている先生の方がより症例についての理解はあるでしょうから、この場ではそれ以上のことは申せません。
また、同じ症例であっても、ドクターによって抜歯部位の選択基準も異なってくるということもあるでしょう。
さらにいえば、個々の歯の状態も抜歯部位の選択の上では、考慮されることになるかもしれません。

このようなことを踏まえて、実際に担当されている先生にご希望をお話ししてよくご相談いただき、納得したうえで治療をしていただく必要はあるだろうと思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2018-12-25 14:00:12
ご相談ありがとうございます。
良いご質問です。

実際にはお一人ずつで違いますが理論はあるので、ごく一般的な原則を説明します。
目的によっても分かれます。


    1 見た目の歯並びの変更目的の矯正治療であれば、

矯正治療がしやすいような計画となります。
検査は矯正的な検査のみとなります。


    2 これから生涯長く、歯だけではなく心身の健康をも保ちたいのであれば、

前歯奥歯噛み合わせ咬合)が健全で、食事(咀嚼)がきちんとでき、自然に飲み込めて(嚥下)、喋りやすい(会話)、加齢とともに自然に順応する、きれいな歯を残こす、という計画となります。

いわば将来への予防も考えていて、検査は補綴の咬合検査と咀嚼機能検査が増えます。
補綴学では歯並び(歯列)が重要な結果にはつながらないとか、見た目の歯並びが健康の基準とはならない、という見た目では健康は分からないと研究結果が世界中で出ているからです。


前者は矯正の専門家により決定されます。
後者は、補綴と矯正との連携で決定されます。


後者の場合は基本的に、4番の歯は5番よりも絶対に残したい必要不可欠な歯となります。

よく見れば4番の歯は、上下とも5番とは大きく違う歯の形や歯の根をしていますが、健康のための働き(歯の機能)も大きく違うからです。

そのため、矯正後に問題が起きて6番や7番の補綴の治療をする場合に、健康回復のため、抜歯された4番の代わりに、全く虫歯ではない白い5番の歯をクラウンにして4番の形にすることさえあるくらいです。
それは補綴学的な検査により診断します。

わざわざ5番を削って4番の形にしなければならない訳は、6番や7番を失わないための予防医療ともなるからです。
4番てとても重要です。

海外と違い、日本では見た目が目的の矯正治療が多く、殆どが4番を抜歯されているようです。


ちなみに当院の目標は一生に渡る心身の健康であり、将来困らないようするための予防医療です。
したがって、当院での矯正治療では少々工夫が必要ですが大きな問題はないため、5番抜歯を詳しくお話しております。

将来どうなれば嬉しいのか、よく考えて専門的な説明を受けましょう。
抜歯前によく相談しましょう。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: たすこさん
返信日時:2018-12-26 09:20:09
先生方、ご回答いただきありがとうございます。

現状、年末年始で担当医の予約が取れないまま、別院にて抜歯の日を迎えることになりそうです。
事前にメールで回答をもらっていたのですが、担当医曰く、4番を抜くとプロファイルに悪影響を与えるため5番を抜く方針でいくとのことでした。

この意図としては、4番を抜くと過度に顎が引っ込んでしまう恐れがあるということでしょうか?
私は出っ歯ではないですが、Eラインは今よりも綺麗にしたいと思っています。

また、素朴な疑問なのですが、例えば上が4番、下が5番を抜歯した場合に、横から見ると抜歯した箇所が大きく離れているように見えますが、何も差し支えないのでしょうか?
距離が近いもの同士を抜歯するものかと思っていたのが質問の理由です。


>三木先生
作りたいスペースと、上下6の咬合関係で判断されていると思います。
アンカーロスで6が前に出てくる可能性はありそうですね。
次回、先生に聞いてみます。

>船橋先生
拡張装置は付けずにワイヤーのみで、当初から非抜歯で並べようとしていましたが、足りなかったようです。
少し前歯が前傾してきた気がしたので、それを指摘すると、抜歯プランに変更したように思えます。

>今村先生
下の4番の歯肉が下がり気味なので下が4番の抜歯だったら丁度良かったかなと思っていたのですが、症例からして下は5番が一般的なのですね。
おそらく当初のコンサルの段階でも、上が4で下が5だったかと思います。
上下5番を抜歯しても前突が改善されれば嬉しいのですが、先生の腕に頼ってみることにします。

>さがら先生
後者の説明お聞きできてよかったです。
5番を抜歯することになった場合の励みになります。
機能的に、5番が4番よりも残しておきたいのはどのような役割があるからでしょうか?
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2018-12-27 08:51:41
ご返信ありがとうございます。

>能的に、5番が4番よりも残しておきたいのはどのような役割があるからでしょうか?

4番が5番よりも重要な点は、適切な咀嚼をガイドする役目と、6番を長持ちさせる役目があるからです。
治療開始前にそれを確認しておく咬合検査と記録が一生の健康にとても役立ちます。


6番がいかに重要かはお分かりと思いますが、主機能部位といって咀嚼に重要な部分を備えている、食べるために極めて大事な歯だからです。
その主機能部位を生かすためには4番と7番が重要です。
主機能部位の検査もあり、簡単に診断できます。


そういう考えを含んだ総合的な予防医療を受けないと、早期に6番を失う人が無数にいらっしゃいます。
歯磨きだけで予防?それは全くムリです。


ちなみに、6番の歯の形は数億年の進化の過程で約3000万年前に決定されてから変わっていません。
また4番・5番という小臼歯は、他の動物は4本と多数ですが、約700万年前に現れた人間の歯は2本ずつしかありません。

また6番7番の大臼歯はゴリラやチンパンジーなどは3本ずつあり、その中で6番が最も小さく7番8番と後ろへ行くほど大きくなっています。
しかし、人間だけは同じ霊長類でも6番が一番大きくそのまま残り、後ろへ行くほど小さく退化の変化をして、むしろ8番(親知らず)は生えてこない人もいる傾向があります。

これは約300万年前からの100万年間で起きた突然変異ともいえる進化であり、人類がサルなどと大きく違う高等動物へと発達を遂げた象徴です。

つまり、200万年前に人間の歯の進化が完成して、世界中どの民族でも形や歯の順番はほぼ同じであり、現在も全く変わりがありません。
それが人間という種です。

人類が高等動物と言われるゆえんは、この人間だけが手に入れた特有の歯に進化したことによる、と人類学では言っています。

5番の方が役割が小さいことは、先天性欠損といって、初めから生えてこない人もいるくらい、退化傾向にあることからも伺えます。
4番が生えてこない人は極めて稀で、それだけ大切だということです。


話が少し外れますが、ネアンデルタール人てご存知ですね。
現代人と同時代を生きていた旧人です。

我々の持つ野蛮人のようなイメージとは違い、彫りの深い顔立ちと現代人より大きな脳を持つ大きめの頭と文化を持ち、髪は金髪だったとも言われています。
その子供はとても可愛かったのではないかとも言われていますが、当時現代人といわば合コンをしていたことは有名で、日本人にもその遺伝子が残されているともいわれています。

しかし、ネアンデルタール人は約3万5千年前に絶滅しました。
でも現代人は生き残っています。

それは遺伝子情報が優れていたからかもしれません。
その一つで、かつ最も重要なDNAが歯です。

なぜならば、人間も動物の一種であり、植物と違い、口から食べることによってのみ、生きているからです。
人間の歯に進化したことで、氷河時代だった大昔も大飢饉があった戦国時代も江戸時代もずっと生き残ってきたと言えます。


現代を見ると人生100年時代となり、元気な人もいれば、本人も周りも介護に巻き込まれている人たちも増えてきました。
学者の研究では、硬めの食品を美味しく食べることが、認知症・がん・骨粗鬆症・肺炎などの生活を予防できることも論文が続々出始めています。

歯はたくさん並んでいますが、数億年かけた進化の結果で完成された人間の歯に、無駄な歯は一つもありません。
したがって、我々歯科医院では生涯を無事に生き残るためには、すべての歯を残したいと考えています。

その中でも4番は大事だと学者は言っている理由は、DNA通り自然に元気で生きるためだからです。
ただ人間のもう一つの特質に順応性(アダプテーション)があり、4番がなくても生きていけるとは言えます。




タイトル 歯列矯正の抜歯で4番か5番かはどのように判断するのか(米国)
質問者 たすこさん
地域 非公開
年齢 28歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 矯正で抜いた・抜く予定
抜歯:4番(第一小臼歯)
抜歯:5番(第二小臼歯)
歯列矯正の治療法
アメリカ(米国)
回答者




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  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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