金パラ、金、e-max、ジルコニアの二次カリエスの起きやすさの違い

相談者: 京介さん (34歳:男性)
投稿日時:2023-04-11 13:35:22
タイトルのとおりなのですが、この中で二次カリエスが1番起きにくいものはどれになりますか?

金パラは、キッチリと作るとマージンの封鎖性も良くて延びるので良いそうなのですが本当でしょうか?

セラミックは、伸びないのでマージンが大きく開いてしまい、二次カリエスになりやすいと聞きます。
チッピングは、金以外は全部起きてしまうと聞きます。

また、静岡保険の金パラでも精度よくできる医院がありましたら教えてください。

よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-04-11 15:01:31
こんにちは。

2次虫歯は内部から進行する場合もありますから、修復物をどんなにピッタリ作っても血糖コントロールが上手く行っていないとダメかもしれませんが、それは、歯科の範疇外ですから、歯科医が出来る事は出来るだけきちんと合った修復物で穴埋めしておく事だけになりますね。

ちょっと昔は、まだネット上にもたくさん記載が残っていますが、レジン象牙質に上手くくっつかなかったお粗末な時代があった為、セメントで裏層してその上に形態的に上手く適合したものにかなりこだわって技を競っていました。

今はレジンが象牙質にきちんとくっ付きますから、レジンで完全に外部からの汚染ルートをシーリングして修復治療をする事が推奨されて大きく変わって来ています。

窩洞形成や、形成した後レジンコーティングすることで、象牙細管をシーリングするのです。
これは普通の保険治療でも簡単ですから、大抵の歯科医院でされ加算もあります。(生活歯支台歯形成時は保険)

樹脂の良いところは、歪みにも強いので、それを上手に使って再汚染ルートを遮蔽しておくのです。

強度が物足りなかったり、適切な形態付与が大変だったり、物性的にも操作上でも問題があるので、レジンでシーリングした後、型採りし、より強度が高く物性が良い材料で穴を塞ぎ必要な機能形態を付与しておく修復治療が追加されます。

それが、昨今、7番以外は保険適用になったCAD/CAMでの修復だったり、まだ保険適用外のジルコニアだったり、e.max などの多種あるガラスセラミックだったりします。
保険の金パラでも良いし、純チタンでも良いし、金でも良いのです。

金が良いと言われるのは、人の歯は使えば使うほどすり減りますから、金なら同じようにすり減ったり延びて形を変えて調和し続けてくれるからですね。

色が嫌がられますから、最近はハイブリッドセラミックでいいのでは?と言われています。
それならほぼ保険適用です。

昔ながらの合着用セメントを使わない接着修復を保険でも受けられるようにすでになっていますから、静岡にもたくさんあると思います。
レジン系セメントは多少の割高感はあるかもしれませんが、保険診療で、どこの歯科医院でも大抵使ってくれているでしょう。

CAD/CAM用ハイブリッドセラミック(セラミックで強化した樹脂)治療も7番以外保険適用です。
登録歯科医院であれば保険で治療を受けられます。

長期的に何か生じて、チッピングで欠けたりして問題が生じたら都度、そこだけ樹脂で穴埋めしたら良いです。
もちろん、やり直し治療を受けても良いでしょう。
定期的にチェックアンドメンテナンスしてもらうと致命的にはなりません。

チッピングポイントはほぼ噛み合わせで決まっていますから、そのポイントを避けるように窩洞辺縁を設定出来ていないと何でやってもダメです。
まぁ、下手なら金でしてもらうと良いので、噛み合わせ面に窩洞辺縁が来るものは金でしておくと、誰にしてもらってもとりあえず安心できると考えられています。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 京介さん
返信日時:2023-04-12 17:50:30
ご丁寧にありがとうございます。

汚染ルートをレジンでシーリングするというのは、こちらからお伝えしないと、やらない医師がいるのでしょうか?
レジンコーティングについては、いつもお伝えしているのですが、それでも二次虫歯になってしまいます。

CADCAMインレーは、マージンに適合させるのがものすごく難しいと聞きますが、仮に適合しなくても、また、金パラでもレジンコーティングさえすれば、二次カリエスへのリスクは問題ないでしょうか?

チッピングポイントは、難しいんですね。
その点も医師に相談してみます。

よろしくお願い申し上げます。
回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-04-12 18:21:29
レジンコーティングについては、いつもお伝えしているのですが、それでも二次虫歯になってしまいます。

レジンコーティングは加算がありますから依頼しやすいですよね。
やってもやらなくても点数に違いがないものは依頼し難いでしょうし、わかりにくいですよね。

>CADCAMインレーは、マージンに適合させるのがものすごく難しいと聞きますが、仮に適合しなくても、また、金パラでもレジンコーティングさえすれば、二次カリエスへのリスクは問題ないでしょうか?

単純な形に形成できれば、デジタルで勝手に線引きしてくれます。
細かく凸凹に形成がブレていると点をたくさん打って繋がないと、形成ラインと合致した線引きにできないという事になりますから、形成の出来が命という感じですね。

内面は空いていても、そこに接着用レジンが入りますから、結果硬くて緻密な殻を被ったレジン充填というイメージになるはずです。
接着用レジン系セメントの物性によりけりですが、結構硬い樹脂にしてあるものもあります。

短期間で二次カリエスになるのは何かおかしいですね。

10年以上無問題というものが多数出て来ていると思いますが、何しろ劇的に進化している分野ですから、古いシステムを使っているのかもしれませんね。


金や金属と樹脂との接着はメタルプライマーを使うのですが、金属は熱伝導性が高い為化学的接着力がどれくらい生きるのか?はわかりません。

論文ではサーマルサイクル(5-55°C水中 接着界面 各1分浸漬 熱サイクル50,000回)の接着力への影響は見られなかったとあります。
もっと氷食べたり熱いお茶飲んだり色々しそうですけど、綺麗な表面処理ができた被着面を作れたのか?にも大いに左右されるでしょう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesdent/40/1/40_2/_pdf

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 京介さん
返信日時:2023-04-16 22:06:48
舟橋様
ありがとうございます。いただいたお返事につきまして、素人で知識がないのでいろいろ調べておりました。

短期間で、二次カリエスになった理由は、インレー不適合が大きな理由と思っています。
きっとレジンコーティングをしていても、インレーがあまりにも不適合だとダメなんですね。

メタルプライマーは専門のを使わないと、接着力が低下してしまうとのことでした。
ただ、メタルプライマーも高価なため、安価な複合型を使っているところが多いようです。

保険でも形成からセットまで、すべてマイクロで診療している先生の話によると、概ね船橋様の見解と同じで、長期的な臨床を経ても金パラが劣っているところはないようです。
その先生によると、EMAXなども金パラに劣っているようです。(チッピングなど)あと、金パラと金を比較しても大差ないようです。

この繰り返しの熱サイクルで、接着力が維持されるかどうかについてはわかりませんでしたが、すくなくとも10年くらいのレベルで見た場合、大きな問題にはなっていないようです。

船橋様のように真実をありのままに伝えている歯科医は本当に少なく、この富士、富士宮市の地域240医院を対象とした調査で、セラミックと金パラを比較して、金パラの方が二次カリエスのなりやすいのか確認したところ、ほぼすべての医院でセラミックの方がなりにくいとのことでした。
回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-04-17 10:44:30
金属の場合、よくご存知だと思いますが、疲労破壊という問題があります。

疲労強度に関する論文では、

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfes/79/2/79_58/_pdf

保険診療で使用される金銀パラジウム合金は、12%しか金が入っておらず、これは日本独自の安価な保険診療でより多くの国民に最低限の健康状態を与える為の苦肉の策で作り出した合金と言われています。
(しかも既に安価な材料費を通り越して高価な材料費になり、保険診療を圧迫していますからシフトチェンジが急がれています)

ですから特性は日本の論文から拾ってくる事になります。

例えば、

https://cir.nii.ac.jp/crid/1571980077010370432

疲労強度はas castで321.5MPa、軟化熱処理で288.8MPa、硬化熱処理で320.8MPaとありますから、案外低いんだなと感じられるのではないかと思います。

試験法が異なる為、比較は難しいのですが、例えばe.max の場合、曲げ強度400MPaを出している物もあり、ジルコニアになると最大で1200MPaを出しているものもあります(細かく成分比率や物が変わる為、各種でかなりの違いがありますが)。

金属とセラミックでは全く特性が異なる為、臨床仕様での比較のしようはないです。薄いといとも簡単に割れるのがセラミックというイメージは皆お持ちですよね。
ですからそれぞれに適した形成を行う事となっています。

保険診療では、出来るだけ費用負担が少ないように無理矢理色々な工夫を課して診療ができあがります。
懐具合が悪いながら、なんとかやり繰りしながら皆が色々な不満を抱えつつもなんとか維持できていくと、国民に利があるだろとあちこちに無理を強いながら頑張っているというイメージです。

補綴関連から言えば、

「金銀パラジウム合金のJIS 格による組成は,金の含有量が2%以上と規定された1964年以降,金の量は徐々に増加し,いったんは20%まで達した後,現在の12%に落ち着いている.

本 来,金12%,パラジウム20%の 合金では,その耐腐食性は十分とはいえず,いわゆるホワイトゴールドのレベルである金45.5%の含有を要するとされるが,それでもパラジウム15~20%は不可欠であり,JIS規格の変遷にみられる数%の金の増量ではほとんど意味をもたないといわれている。

また,1976年,金の含有量 が20%になった際には,融点の上昇によりオーバーヒートしやすくなり,かえって使い勝手が悪くなったとの報告もみられた。

そして,1980年初頭の金の国際的な高騰が発端となり,以来, 金の含有量は12%となったが,これは歯科理工学的見地と経済的見地からの妥協点であって,パラジウムの含有量が25%に満たないこともあわせ,けっして現在の12%金銀パラジウム合金が最良の歯科用鋳造用合金というわけではない。」

との見解が公式に出されており、元々が保険行政上の苦肉の策の合金だという事をご承知おきください。

また、実際の技工では常にボタン問題があります。
いわゆる金属の使い回しですね(誤認されると問題ですから、キャスト時には鋳溜まりが必要ですからそれをまたバージンメタルに加えてキャストしていく事になります)。

金属価格の問題と、保険制度内収入の問題からフルバージンメタル物を期待出来ませんから、何度もキャストされた金属が混ざり鋳造欠陥に繋がります。
CAD/CAMでは、保険上も1ミリング使い捨て制度が確立されています。

マイクロで見えているのは、見えないより良い程度の倍率になります。
また金属を透過して見る事はできませんから、マイクロ利用といえども毎回除去して見える倍率内で確認するしかありません。
見えないより見える化できるのは素晴らしい事ですから、そちらを判断指標とされるのを否定するものではありません。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 京介さん
返信日時:2023-04-22 22:40:58
船橋様
ご丁寧にありがとうございます。
私の理解が追い付かず、頭がパンクしてしまいました。
臨床で経験積んでいる先生と、素人が知識だけ積んだだけでは
やはりかなり難しいのですが、それでもわかりやすく教えていただきありがとうございます。



タイトル 金パラ、金、e-max、ジルコニアの二次カリエスの起きやすさの違い
質問者 京介さん
地域 静岡
年齢 34歳
性別 男性
職業 会社員(技術系)
カテゴリ 補綴関連
材料・機材関連
お勧めの詰め物・インレー
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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