[写真あり] クリーニングしやすい分割歯根のクラウンについて

相談者: Sandyさん (50歳:女性)
投稿日時:2011-08-03 13:11:06
参考:過去のご相談
歯茎が腫れている状態で歯肉縁下の歯石を取ることもありますか?



またお世話になります。


歯根分割した右下6番に、仮歯が入っています。
分岐部のところ、近親根と遠心根の間のスペースがせまく感じるので、分割根のクラウンの形状、スペースの大きさついて、こちらの先生のご意見をお伺いできれば嬉しいです。



仮歯がとれてしまったときに見ると、歯間ブラシ(3S)がぴったり入るぐらいの溝でした。

歯間ブラシをまっすぐ入れられればいいのですが、下方に曲がったりすると、歯茎を傷めてしまいそうです。
4Sのほうが入れやすいので、使うことが多いです。
歯茎が腫れたら通せないと思うのは、心配しすぎでしょうか。


もう少し縦に大きくできないか、担当の先生に相談したところ、大きくすると食べ物が挟まるし、クリーニングする部分が増えるとのこと。

これはこれで、正しいのかと思いますが、もう少し余裕のある大きさにするのは、問題ありますでしょうか。


過去の相談で分割後の連結冠の写真を発見しましたが、スペースが大きくクリーニングしやすそうだと思いました。
歯の形も違いますので、何ともいえないのですが。

クリーニングしやすくするには、どのぐらいの大きさ、形状が、通常良いとされているのでしょうか。


どうぞ宜しくお願いいたします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-08-03 13:50:44
>クリーニングしやすくするには、どのぐらいの大きさ、形状が、通常良いとされているのでしょうか。

できるだけ大きく開ければ良いのですが・・・

近心根の遠心マージンと遠心根近心マージンの距離以上に開けるのは難しいです。


細かい話になりますが、5番遠心と6番近心根・7番近心と6番遠心根にスペースがあれば近心根と遠心根を離れさせるよう小矯正する場合もあります。




>もう少し縦に大きくできないか、担当の先生に相談したところ、大きくすると食べ物が挟まるし、クリーニングする部分が増えるとのこと。

同意です。
縦に広げてもあまり意味は無いと思います。


ご参考まで・・・

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2011-08-03 17:40:28
こんばんは。

分割歯の清掃性については結構難しいですから、患者さんが知識をつけても改善するかどうか微妙なところですが・・個人的な印象としては、

仮歯がとれてしまったときに見ると、歯間ブラシ(3S)がぴったり入るぐらいの溝でした。

というのは狭い様に思います。



歯根の切り方にもよりますので文面だけで判断出来ませんが、最低限、仮歯の時に歯間ブラシがしっかり入る隙間を作り、本歯でももちろん同じだけの隙間を確保するべきだと考えます。

(※歯根が奇麗に切れてないケースが多いです。
手間ですけどきちんと歯肉をめくって、明視して慎重に切る方が結果がいいと思います)


目安は、掃除のしやすさを考えて、6番の近心、中央、遠心に同じサイズの歯間ブラシが入るのが理想的だと思います。

小さい輪ゴムだけ使った簡単な矯正で微調整は出来るのですが、これがなかなか面倒です・・



あと叶うなら横から見たときの歯肉の高さまで揃えることが出来れば非常にお手入れしやすくなるのですが、諸々の事情で日本人の場合は難しいことが多いです。



縦の広さについても、私は可能な限り広くした方が、唾液での自浄作用や歯ブラシでの清掃も期待出来るのでいいと思います。

もしも歯間ブラシも入らないぐらい塞いでしまったら、歯周病の管理が出来なくなり、局所的に歯周炎が進行していくと思われますし、その様に見えるケースは実際見かけますね。

原則的に歯周ポケットの入り口付近は、「通気性」を良くしておく様に心がけておく方が間違いがないと思いますよ。
歯周病原菌と呼ばれる様な菌は、カビと同じで通気性の悪いところで繁殖しますからね。



上記の様な考えで分割歯を奇麗に仕上げるのはかなり手間ですので、どこまで患者さんから要求して通るものか、自分にはよく分かりません・・。

基本的には「その場しのぎ」な処置と捉えて頂いた方がいい様に思います。

画像1画像1

回答 回答3
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-08-03 17:53:58
>諸々の事情で日本人の場合は 難しいことが多いです。

同感です。
適切な形態を作ることも難しいのですが、今後は根面カリエス歯茎近くの虫歯)との戦いになります。

歯根破折のリスクも考えないといけません。


担当の先生、衛生士さんとしっかりと話し合われてください。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Sandyさん
返信日時:2011-08-03 20:56:01
早速ご回答いただきありがとうございます。

杉原先生、

>できるだけ大きく開ければ良いのですが・・・

>縦に広げてもあまり意味は無いと思います。

小矯正する手間をかけるほどの歯ではないと思うので、今ある隙間を使うしかありません。
それで、縦に広げればクリーニングしやすいと思ったのですが。。。



渡辺先生、

歯間ブラシ(3S)がぴったり入るぐらいの溝というのは狭い様に思います。

仮歯を外した状態だと、添付していただいた画像1のような感じで、そのぐらいの隙間はあります。
仮歯にすると、隙間は1mmか,1mmちょっと。

本歯でも、ハイブリッドセラミックの場合は、似たような厚みになりますよね?



>縦の広さについても、私は可能な限り広くした方が、唾液での自浄作用や歯ブラシでの清掃も期待出来るのでいいと思います。

>原則的に歯周ポケットの入り口付近は、「通気性」を良くしておく様に心がけておく方が間違いがないと思いますよ。

そうなんですよね、そのへんのところが、担当の先生にわかっていただけるかどうかが、難しいところです。
別の歯医者さんに相談してみようかなとも思います。



>基本的には「その場しのぎ」な処置と捉えて頂いた方がいい様に思います。

あまり高価なクラウン(本歯)は作りたくないとは思っているのですが、そういう意味にもなりますか?





藤森先生、

>適切な形態を作ることも難しいのですが、今後は根面カリエス歯茎近くの虫歯)との戦いになります。
歯根破折のリスクも考えないといけません。
>担当の先生、衛生士さんとしっかりと話し合われてください。

わかりました、なかなか難しいですね。

なんでわかってくれないんだろう、私が理解できないのか・・・
ということがあります。
もう少し、がんばってみます。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2011-08-03 22:20:38
>本歯でも、ハイブリッドセラミックの場合は、似たような厚みになりますよね?

この辺り、かなり微妙な話になります。
歯科医師技工士が共同で、明確な意思を持って作らないと難しいと思いますね。



>あまり高価なクラウン(本歯)は作りたくないとは思っているのですが、そういう意味にもなりますか?

長持ちしなくていいと思うなら安く上げておくか、いっそもう抜歯した方がいいぐらいかも知れません。

少しでもしっかり延命を目指すなら、むしろ手間と時間とお金をかけて、プラークコントロールに最大限の努力をすることになるかと思います。

個人的には・・安易にインプラントにするよりは好きですね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Sandyさん
返信日時:2011-08-04 12:00:19
渡辺先生、
ご丁寧にご回答いただきありがとうございます。


>少しでもしっかり延命を目指すなら、むしろ手間と時間とお金をかけて、プラークコントロールに最大限の努力をすることになるかと思います。

長くは持たないといわれましたが、根の治療にもお金をかけて、ここまでがんばりましたので、そうしたいと思います。

少しでもしっかり延命を目指したい、先生のおっしゃる通りなのです。
それで、いろいろと迷ってしまうのですが、本歯のクラウンについても、ご意見をお伺いできますでしょうか。


以前にかかった先生のお話から、長くは持たない歯なので、硬いオールセラミックジルコニア)やメタルボンドよりも、ハイブリッドセラミック(金属の裏打ちのない?)のほうが適している、と理解していました。

ところが、今の担当の先生は、強度のためにジルコニアかメタルの裏打ちがあるものが良いと、それらしか扱いがないらしいのです。
ハイブリッドを扱っている(薦める)先生に相談してみたほうがいいでしょうか。

ジルコニアはセラミックより硬いとききました。
ハイブリッドセラミックのメタルボンドは、どうでしょうか。

質問が増えてしまって、すみません。
よろしくお願いいたします。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2011-08-04 16:39:41
先生によって考え方が異なる部分ですから、ひとつの参考として理解して下さいね。

クラウンの素材そのものの硬さを考えてもこの場合は意味ないと思いますよ。

例えばハイブリッドが軟らかいから歯に負担がかからないのでは?と言う意見も理解できますが、ハイブリッドの様な磨り減る素材であれば、磨り減った分歯は延びて、またかみ合う様にすぐなりますし、真っ直ぐカチカチ噛んだ時よりも物が挟まっていたり歯軋りしたりで歯を擦ったりねじったりする力の時の方が、歯根破折について考えた場合は問題です。

そういう時に、ハイブリッドの様なツルツルしない素材で、磨り減ってベタッとかみ合う歯が有利かと言えば、必ずしもそうでもない様な気もします。

あるいはクラウンが硬すぎても軟らかすぎても、かみ合う相手の歯(対合歯)が負けるか延びるかの違い、と考えれば結局何でも同じ?と考えることもできるかも知れません。

(ちなみにジルコニアの場合も通常かみ合わせ面までジルコニアでは作らないので、硬さとしてはメタルボンドと全く同じになります)



歯周病科出身の自分としては、根分割歯でポイントとして考えるのはマージンフィットとプラークの清掃性についてです。

マージンフィットは、根分割歯の場合どうしても厚みが稼げないので、とても薄く精密にフィットさせる必要が出て来ます。


となると有利なのはハイブリッドやプレスセラミックではなくメタル、あるいはジルコニアでもいいかも知れません。

プラークの清掃性についてはセラミック、ジルコニアが一番ですが、メタルが中間、ハイブリッドは最低と考えます。


トータルで考えるとジルコニアが一番いいかも知れませんが、予知性の悪い歯なのは間違いがないですから、費用対効果も考えて自分の場合はメタルボンドを好んで使います。

自分のイメージですが、多分、

ジルコニア(分岐部マージンジルコニアむき出し)>メタルボンド(分岐部マージンメタルむき出し)>ゴールド>ハイブリッド(前装冠)>ハイブリッド(ジャケット)

という順番ですね。



あと強度に対する考慮としては、近心根と遠心根をできるだけ小さい接触面積で連結させます。
仮歯の期間中は部分矯正をしたりする関係上分割します。ジルコニアの場合は連結部分の接触面積が少し大きくなる場合もあるのでそれもネックかも知れません)

そうすると理論上元通り、普通の6番と同じ強度になるはずですので、特別心配は要らないかと思いますよ。



・・というのが机上の空論で、実際に拝見するとまた全然違うことを言い出す可能性もありますので、軽く読み流しておかれて下さい^^;

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Sandyさん
返信日時:2011-08-04 20:34:32
渡辺先生、

お忙しい中、とても詳しく優しくご説明いただいて、本当にありがとうございます。

なるほど、なるほど、なるほど、と連発しながら、感激いたしました。
考慮しなければならない要素が、いろいろあること、よくわかりました。



>あるいはクラウンが硬すぎても軟らかすぎても、かみ合う相手の歯(対合歯)が負けるか延びるかの違い、と考えれば結局何でも同じ?と考えることもできるかも知れません。

右上567にメタルボンドブリッジが入っており、右下6の遠心根が、それとかみ合っています。

そうすると、ハイブリッドだと擦り減ってしまう・・・というようなことにもなるわけですね?
セラミックやメタルボンドだと、擦り減らない分、破折のリスクが高いかもしれない・・・という可能性も?



> ジルコニア(分岐部マージンジルコニアむき出し)>
> メタルボンド(分岐部マージンメタルむき出し)>
> ゴールド>ハイブリッド(前装冠)>
> ハイブリッド(ジャケット)
> という順番ですね。

非常にわかりやすく、目からうろこです!
(ハイブリッドの場合はメタルボンドとは言わないのですね)


>あと強度に対する考慮としては、近心根と遠心根をできるだけ小さい接触面積で連結させます。

小さい接触面積で連結、というのは、歯茎までの空間部分が大きくなるという意味ですか?
歯間ブラシを通すところ。


私の歯の状態と対合歯の状態と、対費用効果と、トータルに考えて、それで担当の先生のおっしゃることに納得できたら、先に進められると思います。


こんなに丁寧に教えていただいて、感無量です。
ありがとうございました、何度も読みます^^;
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2011-08-04 21:08:39
い、いや、そんな大した内容では・・
くれぐれも担当の先生のお考えも尊重されて下さいね。
何度も書いてますけど先生によって考え方は異なる部分ですので。



セラミックメタルボンドだと、擦り減らない分、破折のリスクが高いかもしれない・・・という可能性も?

そうですね。
ただセラミックのクラウンが割れるのは通常角がかける様な感じになりますから、さほど問題にはなりにくいです。

根分割歯の場合歯根破折が怖いので、それに対しては連結することである程度リスクを軽減できると思いますよ。

セラミックが割れるのが不安でしたらナイトガードマウスピース)を使用したり、ゴールドクラウンにすることで回避出来るかも知れません。



>小さい接触面積で連結、というのは、歯茎までの空間部分が大きくなるという意味ですか? 
歯間ブラシを通すところ。

そういうことですね。

写真がなくて申し訳ないのですが、私の場合細い小臼歯が2本並んでいる様な形態で仕上げます。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Sandyさん
返信日時:2011-08-05 18:56:54
渡辺先生、

早速ありがとうございます。

>くれぐれも担当の先生のお考えも尊重されて下さいね。
>何度も書いてますけど先生によって考え方は異なる部分ですので。

重々承知しました、気をつけます^^;



>根分割歯の場合歯根破折が怖いので、それに対しては連結することである程度リスクを軽減できると思いますよ。
>セラミックが割れるのが不安でしたらナイトガードマウスピース)を使用したり、ゴールドクラウンにすることで回避出来るかも知れません。

セラミックが割れるよりも、歯根破折のほうが、怖いですね。

本当にご丁寧にご回答いただき、感謝しております。
とても勉強になりました。また宜しくお願いいたします。
ありがとうございました。



タイトル [写真あり] クリーニングしやすい分割歯根のクラウンについて
質問者 Sandyさん
地域 非公開
年齢 50歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯磨きに関する疑問
その他(写真あり)
お勧めのクラウン(被せ物・差し歯)
クラウン(被せ物)の形・形態
歯根分割(ルートセパレーション)
回答者




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