ドックベストセメントについてどう思われますか?

相談者: ホワイトコートさん (28歳:男性)
投稿日時:2015-06-26 00:58:23
象牙細管内の細菌についてのあるブログの記事なのですが、

「細菌はふつう人間の目には見えません。
歯科用マイクロを使っても無理です。)」



「仮に細菌が見えたとしてもそれを選別して外科的に取り除く能力は
残念ながら人間にはありません。」



「持続的な殺菌や消毒を行って
化学的に細菌を無害にすることが必ず必要」



「しかし、細菌を殺そうとすると、歯髄も刺激してしまう」



「よって、ドックベストセメントがいい」

といった内容の記事で、結構説得力があるように思えます。


実際、この記事を読んで先生方はどうお感じになられますか?
[過去のご相談]


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 02:03:59
(ブログのURLは削除させて頂きました)

通常の歯科治療で用いられている水酸化カルシウムには歯髄が死んでしまうような刺激性はありません。
(強アルカリなので細菌は殺すことができます)

そのため、歯髄が露出してしまった際の直接覆髄等にも使用されています。


また、象牙細管内に侵入した細菌については、細菌によって軟らかくなった歯質軟化象牙質)をしっかりと除去し、封鎖を確実に行えば問題にはならないと考えられています。


ドックベストセメントはもう世に出て10年以上になりますが、本当に良いものであればもっと多くの歯科医院で使われていると思いますし、ドックベストセメントの優位性を示すデータも出てきているはずですが、そのような気配はいまだにありません。

ドックベストセメントを日本に導入された先生とは導入直後に連絡を頂いてお話しさせて頂いたということもあり、その後も注目して見てはいますが、個人的には良いから使っているというよりもマーケティングツールとして利用されているような印象です。


患者さん視点で考えると、従来法よりも効果があるというデータは無く、ドックベストセメントを適用した歯には保険が使えなくなるというデメリットは確実に存在するため、現時点では積極的にお勧めすることはありません。
(信頼している担当医の先生から強く勧められたら、検討をしても良いかとは思います)

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回答 回答2
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2015-06-26 10:02:52
ドックベストセメントも使用方法さえ誤らなければ(それ自体に封鎖性はありません)、有効な材料の一つではあると思います。

只、成否に関しては、材料の選択以上にその手技が大きなウエートを占めると思います。

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回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2015-06-26 11:08:01
(^_^;)ブログ拝読ありがとうございます。

ドッグスベストセメントを使用されている歯科医院は確実に増加してきているという印象があります。

医院で導入した当時は日本でも治療に使っている歯科医院はまだまだ少ない印象でしたが、現在はかなり普及してきていますね。


虫歯の治療法としては比較的術式が簡便な割に、患者にも歯科医にも無理がない治療法で尚且つ効果が高いからですね。

臨床で使用していると昔からあるカッパ‐セメントをうまく改良したものですごいな〜という実感があります。



>従来法よりも効果があるというデータは無く、

ドッグスベストセメントを日本に普及させることを目的に研究会までありそれを運営されている先生方がもっとちゃんとした研究をしてくれてSEM像や電子顕微鏡像などをちゃんと出して来てくれればいいのですけど、一般開業医の集団ですから基礎研究が日本から出ないので臨床的な使用感と治療コンセプトからしか評価されないのは残念です。

輸入薬剤ですが臨床応用している歯科医院は多くなっているので大学や研究機関がちゃんと比較研究してくれればよいのですが、研究すべき価値が見いだされないのでしょう。
そういう研究はまったく出てきません。

臨床家が欲しい内容の研究は論文研究の世界では評価が低いのでなかなかしてもらえないという現状があります。



>ドックベストセメントを適用した歯には保険が使えなくなるというデメリットは確実に存在するため、現時点では積極的にお勧めすることはありません。


保険のルールは各県によって解釈が異なる現状があるので、この件に関しては保険医は、触れたくない内容ですね。



臨床をされればわかることも多いと思います。
机上の空論ではない現場というものがありますから。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-26 11:33:04
田尾先生、藤森先生、船橋先生、
詳しく教えていただき、ありがとうございます。


このサイトを見ていて、ドッグスベストに懐疑的な先生のコメントを分析してみると

@失敗した患者が来るから
A周りで使っている人がいないから
B論文がないから
Cわざわざ虫歯を取り残すなんて、教科書から逸脱しているから

が挙げられると感じました。


しかし、その先生方が

「実際に自分でも何回も使用して」

みた結果、懐疑的な見解を示されているのか、自分では全くやらないけども上記4つの理由から懐疑的なのかどちらなのでしょうか?


先生方、ご回答いただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 12:08:19
とりあえず@はあります。

Cに関しては残してもいい場合があります。
それがAIPCです。

* http://www.hozon.or.jp/data/whatsnew/iinkai6/250.pdf

わざわざ自費にしなくてもAIPCであれば再エントリーするので効果が実感できると思います。

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回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 12:47:04
ホワイトコート さんこんにちは

>自分では全くやらないけども上記4つの理由から懐疑的なのかどちらなのでしょうか?

最初に私は懐疑的な方だと思います。


>@失敗した患者が来るから

導入されている先生の間違った使い方によるところが大きいと思います。
感染資質をのこしても大丈夫というところだけが頭にあるようでただ詰めれば治る的な感じを受けざるを得ません。


>A周りで使っている人がいないから

あえて使われている先生はいません。
田尾先生もおっしゃっていますが、他の材料との優位性がないですよね。

要は術式や技術、マイクロスコープなどを使用しておこなうなどの要素が大きく、最後にどの材料を使うかによっての差はあまり無いように感じます。


>B論文がないから

客観性のない材料を自由診療で提供するのはどうなんでしょうか?


>Cわざわざ虫歯を取り残すなんて、教科書から逸脱しているから

単純に除去できるのであれば取った方が良いですよね!
わざわざ残す意味がわかりません。
ただ単にきちんとギリギリのラインまで取りきれない言い訳のように思われてもしかたないかとおもいます。

自由診療にするための道具にされているようにも感じてしまいます。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-26 13:40:55
柴田先生、水川先生、ご回答いただきありがとうございます。

AIPCという方法もあるのですね。
水上先生も、全てにお答えいただきありがとうございます。



わざわざ残す意味ですが、ドッグスベストの専門の方のブログにこう載っていました。

--------------------

歯を削ると既に歯の象牙細管の中にいた「むし歯菌」は神経に到達してしまうのです。

従って、ほんの少し削っただけでも、今まで全く痛くなかった歯が突然痛くなるのは、この為なのです!

このような質問がとても多いです。

従いまして、いくら「むし歯」があっても直ぐに歯を削らず、必ず「ドックベストセメント」でこれらの「むし歯菌」を殺菌して象牙細管を封鎖して菌が神経に到達できないようにしてから削らなければならないのです!

そうすれば、痛くなく治療ができるのです。

--------------------
拡大鏡を使用して感染牙質を除去したら、歯がダメになってしまうのです!このような感染牙質が再生するのでもったいない話なのです。
--------------------

とのことですが・・・。
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 14:34:28
ドックスベストセメントもそうですし、3mixもそうなのですが、感染歯質を大量に残してよいという考えは画期的です。

発想的にはまったく違和感はないので、もう少し、信頼できるデータがそろえば、個人的には実施してみたい方法ではあります。


現実的には、感染歯質を完全に見極める方法もありませんし、細菌をゼロにする歯科治療もありえません。

所詮は、ある程度の期間、原因菌数をある程度以下に抑えるのがよい治療ですので。

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回答 回答7
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2015-06-26 16:33:51
>ある程度の期間、原因菌数をある程度以下に抑える


・・で、時間をかせぐと、その間に歯髄がそれなりの反応をしてくれる可能性も考えていますけどね。

回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 17:18:38
ちょっとわかりにくい文章だったようですみません。

私の書いた「ある程度の期間」というのは数年〜数十年というような意味です。

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回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2015-06-26 19:38:36
20年以上前に岡山大で非ランダム化比較試験が行われ


う蝕象牙質を部分的に除去した後、

・18歯にはタンニン・フッ化物合剤配合カルボキシレートセメント
・5歯には水硬性仮封材を貼付して仮封。

3ヶ月後にう窩を再開拡

タンニン・フッ化物合剤配合カルボキシレートセメント貼付した場合、う窩の再開拡時に全ての症例で log10 (2 〜 7) CFU/mg dentin から log10(0 〜 3) CFU/mg dentin に細菌数が減少したのに対し、水硬性仮封材では変化が認められなかった


と言う論文が出てます。
データーのあるAIPCが保険で出来るのであえて使う必要があるのかなと感じます。

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回答 回答10
  • 回答者
回答日時:2015-06-27 09:35:25
教科書通りは良いことですが、これでは新しい発見は生まれないように思います。

基本は虫歯を取ることですが、逆に虫歯を残しても直す発想は面白いと思います。

現にドックスベストでなくても保険で虫歯を残す治療・フクトウは認められています。
詳細は三浦先生がお書きになっています。


臨床データの論文は比較検討も難しいことがありなかなか出ないこともありますし、論文を信用したら最近では論文データが怪しいこともあります。

ですから、新しい治療、新しい医製品は臨床で応用してその結果をみてみないと本当に良いか悪いかどうかの判断はつかないと個人的には思います。

回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2015-06-27 10:12:15
個人的な感想ですが、薬剤が素晴らしいのではなく保険の治療費が安過ぎる為にわざわざ保険外薬剤を海外から探してきて選択して治療しているだけのように思えますけどね。


世界的に評価されている「MTA」であれば数多くの論文があり色々な研究があります。

PubMedで検索してもDoc's Bestはほとんど引っかかってきませんが、MTAは何千と文献が出てきます。


またMTAはちょっと前に特許が切れた為に世界中で色々な類似品もでてきています。



ある面から言えば、Doc's Bestの特許が切れた時類似品が多数出てくれば本物だとは思いますが、今の所その雰囲気はないですね。

何故かといえば「MTA」のような唯一無二の材料ではなく、三浦先生がおっしゃられるように他の薬でも十分代用できるものですからね。


患者さんは薬剤がよければ結果がいいという印象を持ってしまいますが、歯科治療の場合まずは適応症の見極め、後は治療技術が成功の為には大きな因子になりますので、十分な時間を取って治療してもらいたいと思われればDoc's Bestも治療選択肢の1つにはあると思います。
(基本的に保険適応材料であれば時間をかけて治療しても患者さんには自費治療請求ができません)


保険治療内でAIPCなどを行っている先生からすれば、わざわざ自費治療でする必要ないように思えてしまうかもしれませんね^^;

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回答 回答12
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2015-06-27 11:24:22
たぶん、何故かドックベスト(や少し前なら3−Mix)だけが目立つから、その分、批判も多いのだと思います。

決して魔法の薬剤などではなく、他の薬と同じく、ちゃんと使用すれば普通に効果があると思いますよ。
材料費としては、決して高価ではありませんし、扱い易いのがメリットです。

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回答 回答13
  • 回答者
回答日時:2015-06-27 13:13:57
一般的に行われている直接覆髄は十分に研究されていて実績もあり、きちんと行えば成功率も9割以上だということがわかっていますので、あえてデータも実績も不十分な他の材料を使う必要性は無いと思います。

ドックベスト云々の前に、従来型の治療をきちんと行っていたのか?そこが疑問です。


ただ、保険の場合は診療報酬の問題で時間的制約などもありますので、ドックベストなど使うことで自費にして、十分に時間をかけて丁寧に治療をするという考え方もあるとは思います。
(これがドックベストを使う唯一の意義だと僕は考えています)

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回答 回答14
  • 回答者
回答日時:2015-06-27 18:41:16
直接覆髄は十分に研究されていて実績もあり、きちんと行えば成功率も9割以上だということがわかっていますので

保存の世界では直接覆髄法はまだまだ十分な見解が得られていないと考える専門の先生が多いと思いますが・・・

先日読んだその道の教授の書籍でも

「直接覆髄法の予知性が今なお十分とはいえないことは、歯髄保存に取り組めば取り組むほど実感される」

と書かれています。


直接覆髄法の成功率って、文献に結構バラツキがあり、カリエス除去中の直接覆髄法は成功率が33%であったとの論文もあります。

よく言われるのは、外傷による露髄や削り過ぎてしまったことによる偶発的露髄は予後が良いですし、逆に感染層(カリエス)の中から出てくる露髄では予後が極端に悪い。


ですので、後者のようなカリエスを全て除去すると露髄の危険がある場合は暫間的間接覆髄で一端カリエスを残したまま薬剤の作用で第3象牙質を誘導しておいて、リエントリー(もう一度治療しなおす)で全てのカリエスを除去する。

その第3象牙質の誘導剤が「タンニンの入っているセメント」(カルボキシレートセメント、テンポラリーセメントなど)や「水酸化カルシューム」、「Doc's Best」、「3−Mix」「酸化亜鉛ユージノールセメント」などになります。


この中で極端に優れたものは私は知りませんが、流行りの「タンニンの入っているセメント」が身近にありこれでいいのかな!?というぐらいです。
また「Doc's Best」の成功率が極端に低いという気もしません。


薬剤は戦略的な治療の中の1つの選択肢であり使えば成功するものではないということです。
(極端なイメージでは薬剤周りの象牙質の封鎖性の方が大切なような気がします)


逆に直接覆髄法においては今の所「MTA」を凌ぐ材料はなく成功率を上げる為には必ず第一選択薬に持ってくるべき材料だと私はおもっていますが・・・

MTAは自費材料ですし、歯が黒くなるというデメリットもあります。


神経を守ることは非常に大切なのですが、大きなカリエスの歯の神経を保存した場合に将来根管治療の難易度が極端に上がることもありますので、メリットばかりの治療ではないことは知っておいて下さい。


覆髄方法の使い分け・薬剤・費用を知りたい
 
過去にも同じような相談があります。

4人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答15
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2015-06-28 11:31:18
↑↑ 賛成!

現在のところの成功率は、直接覆髄法 < 間接覆髄法 だと思います。

只、直接覆髄予定で処置中に歯髄壊死が判明して根管治療を行う等の場合に限っては、直接覆髄にメリットはありますけどね。

今後、材料や術式の進化によって直接覆髄法の成績がベターになれば、誰もドックベストは使わなくなると思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-28 17:24:48
先生方、詳しいご回答をいただき、ありがとうございます。
たくさんの先生にお答えいただき、大変嬉しく思っております。



井野先生のホームページに、直接覆髄の5年生存率が載っていました。

Horsteds の研究よりというページです。

10〜30歳(私は28歳)は5年生存率92%とのことですが、これはあくまで偶発的露髄のデータなのでしょうか?



また、藤森先生のおっしゃっている、「歯髄壊死」の判定は処置中に目で見て分かるものなのでしょうか?

(電気で間接的に診ることが多いときいたものですから・・・)
回答 回答16
  • 回答者
回答日時:2015-06-28 19:24:50
露髄歯髄が露出する事をいいます。
当然生活歯髄であれば出血があります。と言うか出血するから露髄に気気付くんだと思います。

歯髄壊死では出血はないと思います。
また進行していると空洞がある場合があると思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答17
  • 回答者
回答日時:2015-06-29 01:31:39
直接覆髄法の成功率については多数の報告がありますが、高いものだと90%以上で、井野先生が書かれているようにそれより低いものもあります。
(実際には13〜95%程度と大きな幅があります)


直接覆髄法が成功するかどうかは術式はもちろん、歯髄炎症が可逆性(一時的なもの)なのか不可逆性(元には戻らないもの)なのか、細菌感染がどの程度なのか等が影響すると考えられていますが、臨床的にはそれを正確に把握することが不可能なため、データにバラつきも出やすいのだと思います。

つまり、成功率の高いデータが出ている研究では被験者が若く(若いほうが歯髄が元気なので有利)、露髄の穴が小さく(一般的には2mm以下が直接覆髄法の適応とされています)、細菌感染が深部まで及んでいないと思われるものを慎重に選んでおり(歯髄壊死しているものは当然除外)、成功率の低いデータが出ている研究では通常は抜髄の症例でもケースとして選んでいると言えますが、臨床的にはその適応の見極めが非常に困難なため、

「直接覆髄法の予知性が今なお十分とはいえないことは、歯髄保存に取り組めば取り組むほど実感される」

というような表現をされる先生も少なくないのだと思います。
また、直接覆髄を行うか?抜髄するか?は、歯科界でも特に争点になりやすい項目だというのが現状です。


一つ言えることは、直接覆髄と抜髄、どちらを行うにしても、虫歯が進行して歯髄の細菌感染が増すほどに成功率が低くなることは明らかですので、患者さんとしては虫歯をそのままにせずに、早めに歯科医院へ行くということが重要なポイントかと思います。


※ここまで書いてきて気が付きましたが、今回のご質問はドックベストセメントについてなので、使用法から言えば直接覆髄法ではなく間接覆髄法(IPC法)と比較すべきでした。

※間接覆髄法の成功率についても多くの報告がありますが、概ね85〜95%の成功率となっています。



ちなみに、井野先生が書かれているMTAについてですが、これは最近の歯内療法の世界では最もHotな材料だと思います。

そのため、水酸化カルシウムと比較した研究も多く行われているのですが、今のところはまだ第一選択は水酸化カルシウムであるという見解も多くみられます。

理由は、

・水酸化カルシウムのほうが長期のデータがあること
・水酸化カルシウムのほうがコストが安いこと
・水酸化カルシウムよりもMTAのほうが明らかに成功率が高いとはまだ言えないこと

などです。

* http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2856472/


ですが、3Mix-MP法やドックベストセメントと違ってMTAはよく研究が行われており、水酸化カルシウムよりも臨床成績が良いことが証明される可能性も十分に考えられるため、将来的にはMTAが選択肢の一つとして当たり前になる可能性はあると思います。

(日本でも2007年にMTAが薬事の認可を受けています)

画像1画像1

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-29 02:02:46
柴田先生、田尾先生、
ご回答いただきありがとうございます。

>柴田先生

出血してるかどうかや空洞になっているかで歯髄の生き死にを確認するのですね。

出血するとMTAは適用できないという話を耳にした事があるのですが、そうなのでしょうか?



>田尾先生

詳しいデータや成功率のお話をしていただき、大変参考になりました。

早めに歯科医院へ行くのが凄く大事だと思うのですが、MTAかドッグスベストかで悩んでいます。


いくつか歯科には行きましたが、ドッグスベストだと虫歯を必要以上に削ってはならないMTAだと綺麗にとらなくてはならないということでやり方が全然違うため、迷っています。

どちらかを選ぶと、もう一方は選択できないので頭を抱えています。


一応、ドッグスベスト→駄目そうならMTAというのができなくもないみたいですが、1ヶ月そこらじゃドッグスベストでちゃんと象牙質ができるかどうか分からないのでその間に進行したらどうしよう・・・。

でも、MTAを選択すると、ドッグスベストには戻れない。

ということで悩んでいます・・・。
回答 回答18
  • 回答者
回答日時:2015-06-29 02:09:29
生活歯髄露髄させてしまった場合出血があると思います。

その露髄面に次亜塩素酸ナトリウム製剤を局所応用して止血できれば歯髄温存できるという判断でMTAなり水酸化カルシウム製剤を塗布することになると思います。


つまり出血があるからできないのではなくて、出血が止まらないと直接 覆髄の適応症ではないのでMTAを使わないという方が正しい表現だと思います

2人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答19
  • 回答者
回答日時:2015-06-29 05:29:44
・信頼できるデータを重視する場合 → MTA or 水酸化カルシウム

・変わった方法を試してみたい → ドックベストセメント

ということになるかと思います。
(そもそも適応症かどうかという問題がありますが…)


※ドックベストセメントの説明で、「従来なら神経を取っていた歯でも神経を取らずに済む」「歯の寿命が延びる」などと書かれている場合もありますが、そのような信頼できるデータは皆無です。データも無いのになぜこんなことが書けるのか不思議です。


※ドックベストセメントは日本では「新しい方法」として紹介されていることが多いですが、実際にはアメリカで2003年頃から発売されています。

また、ドックベストセメントと同じ銅が含有されたセメント(Red copper cemment)は19世紀から使用されていましたが、現在はほぼ使用されていません。
理由は、銅による殺菌作用はあるものの、効果を高めるために銅の含有量を増やすと歯髄を腐食させてしまうことがわかったためです。


※一応、ドックベストセメントの優位性を"示そうとしている"データはありますが、専門家から見ると突っ込みどころが満載です。

【Doc's Best 優れた抗菌・抗真菌の殺菌効率確証】
* http://www.epecohouston.com/docs_best%E2%84%A2_study_report

本当に笑ってしまうほど突っ込みどころ満載なのですが、一番おかしいのは比較対象がアイオノマーレジンセメントだということですね。


ドックベストセメントは通常のセメントの代わりとしてではなく覆罩材として使うわけですから、比較対象はどう考えても水酸化カルシウムとMTAでしょう。
まぁ、水酸化カルシウムやMTAはph12なのでほぼ100%殺菌してしまうと思いますが^^;



あと、医院選びについては他にも大切なポイントがありますので、すでにお読みになられているかもしれませんが、こちらも参考にされてみてください。

→参考:根管治療

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回答 回答20
  • 回答者
回答日時:2015-06-29 08:42:53
一応、虫歯治療中の露髄に対する直接覆髄水酸化カルシウムまたはMTA)の成功率について、比較的新しいレビューを載せておきます。

Vital pulp therapy in vital permanent teeth with cariously exposed pulp: a systematic review.

* http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21496652


このレビューによると直接覆髄の成功率は、

6か月〜1年 = 87.5%
1〜2年 = 95.4%
2〜3年 = 87.7%
3年以上 = 72.9%

ということです。

2人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-30 17:13:54
>柴田先生

ご回答いただきありがとうございます。
出血はあるが、止血できるかどうかで方法が変わってくるのですね。
よく分かりました。ありがとうございます。


>田尾先生

MTAの詳しいデータと、ドッグスとの選択の仕方について詳しく教えていただきありがとうございます。

先生のおかげで、MTAに気持ちが傾いています。


MTAはph12ということですが、通常のレジンセメントなどはphによる殺菌効果はないのでしょうか?


また、もしMTAでするときは、虫歯を削る前からラバーダムは必要ですか?

(ラバーダムを使うと虫歯除去中に水が使えないというのをネットで見たものですから、虫歯を削る前からはつけられないのかなあと思いまして・・・。)
回答 回答21
  • 回答者
回答日時:2015-06-30 17:37:30
>また、もしMTAでするときは、虫歯を削る前からラバーダムは必要ですか?

削る前からラバーダムされた方がよろしいかと思います。


>ラバーダムを使うと虫歯除去中に水が使えない

これはさすがに間違った情報ですね。

高速切削中は注水が基本です。
低速の場合、無注水にする事もありますが水が使えない事はありません。

「ラバーダムを使うとうがいが出来ない」と言う事であればその通りかも知れませんが。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-06-30 21:31:12
>櫻井先生

ご回答ありがとうございます。

削る前からラバーダムをしてもらったほうがいいのですね。

ラバーダムをしていて、高速切削中の注水はどこに流れるのでしょうか?

バキュームで吸いながらですか?
回答 回答22
  • 回答者
回答日時:2015-07-01 09:09:26
ラバーダムをしていて、高速切削中の注水はどこに流れるのでしょうか?
>バキュームで吸いながらですか?

その通りです。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-07-03 05:19:59
>櫻井先生

良く分かりました。
ご回答いただき、ありがとうございます。
回答 回答23
  • 回答者
回答日時:2015-07-04 07:58:38
レジンに抗菌性は基本的にはありませんが、クラレのレジンの一部には抗菌性のモノマーが使われております。
これは、クラレの特許なので他のメーカーからは販売されておりません。


MTAの欠点として黒くなる とありますが、それは、MTAの中でも造影剤に酸化ビスムスを使っているものや、酸化鉄を成分の中に含むものの場合です。
最近は、造影剤にジルコニアを用いたものが登場してきており、それでしたら黒くならないため前歯でも用いることが可能です。


私は、DocsでもレジンでもMTAでも別に良いと思います。
その先生が得意な方法で、結果が出せるならそれがベストでしょう

2人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2015-07-04 17:05:25
>タカタ先生

詳しく教えていただき、ありがとうございます。

抗菌性のあるレジンや、黒くならないMTAもあるのですね。
初めて知りました。とても勉強になります。

ありがとうございます。



タイトル ドックベストセメントについてどう思われますか?
質問者 ホワイトコートさん
地域 非公開
年齢 28歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 3Mix-MP法
材料・機材関連
その他(写真あり)
MTA
覆髄・覆罩(覆ずい・覆とう)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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