インプラントの技術の差はどこからでてくるのでしょうか?

相談者: 雅史さん (46歳:男性)
投稿日時:2012-01-09 09:26:42
参考:過去のご相談
複数の歯科医院にかかることの是非について
他多数



いつも丁寧なご回答ありがとうございます。

審美領域の左上2番、クレータ状に骨が無い右上6番のインプラント埋入を検討しています。
右上6番にインプラントを入れられると言われる先生、入れられないと言われる先生がおり、この差は、どこからでてくるものか、分からなくなりました。

インプラントの技術の差は、どこからでてくるのか、よろしかったら、教えて頂けないでしょうか。



直接診断していける先生の中で、自分が信頼できる先生方に、ご意見を伺いました。

主治医、保存関連のセカンドオピニオンの先生(日本歯科保存学会保存治療認定医指導医、日本顕微鏡歯科学会理事、某国立大学臨床教授 他)、インプラントのセカンドオピニオンの先生(スウエーデンで最初に開かれたインプラントの国際会議に日本人で1人だけ参加、某国立大学 臨床准教授)

・インプラントする歯科医には、
  補綴がしにくくても骨がある所、方向にフィクスチャを埋入する、増骨はしない派
  補綴がしやすい所、方向にフィクスチャを植入、必要ならば増骨する派
 がある。

・本当に増骨ができる歯科医は100人に1人ぐらい

・主治医も、保存のセカンドオピニオンの先生は前者、インプラントのセカンドオピニオンの先生は後者

・主治医も、保存のセカンドオピニオンの先生は、抜歯後骨がもどるまで待って埋入する。インプラントのセカンドオピニオンの先生は、抜歯、即埋入、即時加重、必要ならば埋入時に即時増骨もする。

・主治医の先生には、1年近く清掃性の良い仮歯の作りこみをして頂いている。

・インプラントのセカンドオピニオンの先生は、即時加重で仮歯を入れた後、4ヶ月後に本クラウンを入れる。(後 メンテナンスがあるにせよ、仮歯の作りこみみたいなことは、ないみたい)

・主治医の先生からは、審美領域のインプラントは難しいと言われた。

・インプラントのセカンドオピニオンの先生は、G.H.さん他 多数の芸能人にインプラントを入れている。



違う立場の先生方から、違った治療方針をお聞きし、何がよいものやら、ちょっと混乱しています。


私自身としては、主治医の先生に、口腔全体を全てみてもらえれば、一番ありがたいのですが。
[過去のご相談]


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2012-01-09 17:16:34
雅史さんはたぶんかなりの業績のある主治医にかかられているのではと思います。
そういう歯科医に対してコメントするのはちょっと気が引ける状態です。

雅史さんが主治医をある程度信頼されているのであれば、主治医の推薦するインプラント専門医を紹介していただく方法はありませんでしょうか?

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-09 19:11:54
柴田先生

回答ありがとうございます。 
お体おかげんいかがでしょうか。


そうですね。
紹介頂くのがいいでしょうし、主治医の先生にお願いすれば紹介はしていただけると思います。



焦点がしぼられてない質問文になってしまいましたが、

補綴がしにくくても骨がある所、方向にフィクスチャを埋入する、増骨はしない
・補綴がしやすい所、方向にフィクスチャを植入、必要ならば増骨する

は、技術さえあれば後者の方がよいで決着がついているのでしょうか? それとも まだ決着ついてないのでしょうか?


以上 宜しくお願いします
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2012-01-09 19:21:05
歯科医にもいろいろと学派のようなものがあります。


例えばスウェーデンなどスカンジナビアンスタイルの先生はエビデンスを重視する傾向が強く、現在最も確実と思われる方法を選択するケースが多いと思います。

インプラントなら増骨はできるだけ避けて傾斜埋入するというのも、エビデンス重視の先生ならおそらく多くの先生がそう言われるでしょう。


一方、アメリカン(西海岸と東海岸でもかなり違うのですが)スタイルの先生の場合は、まだエビデンスになっていないことでもアグレッシブにチャレンジする傾向が強い印象があります。


どちらが正しいというわけではなく、医学の発展のためにはどちらも必要だと思いますが、

「危ない橋をできるだけわたらない、確実性を重視する」

のであればスカンジナビアンスタイルの先生、

「まだデータは不十分だけど、最新の方法を試してみたい」

のであればアメリカンスタイルの先生という感じで考えられると良いのではないかと思います。

(全ての先生がスカンジナビアン or アメリカンにきっちり分かれるというわけではないので、あくまでも一例としてお考えください)

ちなみに僕個人は、「データが不十分なものを実験的に患者さんに適用する」ということに抵抗があるので、エビデンス重視のスカンジナビアン的な考え方に近いです。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2012-01-09 19:57:17
>・補綴がしにくくても骨がある所、方向にフィクスチャを埋入する、増骨はしない
>・補綴がしやすい所、方向にフィクスチャを植入、必要ならば増骨する
>は、技術さえあれば後者の方がよいで決着がついているのでしょうか? それとも まだ決着ついてないのでしょうか?

決着は着いていませんが、最近は以前に増骨をした部分が吸収するケースが意外と多いことや、実際には増骨といっても本当に骨はできていないケースも多いことなどがわかってきて、増骨に慎重な先生が増えてきている印象があります。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-09 23:11:03
田尾先生

詳細のご解説ありがとうございました。

増骨は、まだ分からないところがありながらも、臨床に取り入れられて、患者さんも、それなりに使えているという状況のようですね。



蛇足ですが。
同じような話で、保存の先生から、「20年ほど前は、抜髄した後は、大きなコアを入れるというのが主流で、教科書にも、そう書いてあったが、根が割れやすくなることがわかってきたので、今は、大きなコアは入れない」とお聞きしました。

17年前に上顎の歯が、ほとんど抜髄され、大きなコアを入れられた自分にとっては、なんとも、やりきれない気持ちになりました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-10 22:16:48
追加のご質問で申し訳けないのですが

以前 高田先生より、増骨した部分を病理検査に出したところ、どれも、どろどろ生コン状態で骨になっていなかった という回答を頂きました。

また私が保存の先生から聞いた話しでは
・本当に増骨ができる歯科医は100人に1人ぐらい
とのこと



非常にお伺いしにくく恐縮なのですが、

歯科医の諸先生方の大雑把な感触として、

増骨して本当の骨になるのは
・少数のインプラント医だけ
なのか
・少数の症例に対してだけ
なのか はたまた
・上記のANDをとったものなのか
それとも
・いやいや 結構 本当の骨ができている
なのか、どのあたりにありますでしょうか?



主観で結構ですので、教えて頂けたらありがたいです。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2012-01-11 16:11:58
あくまでも主観ですが、

増骨をしたところは、それが本当の骨に置き換わっているかどうかは別にして、5-10年程度は維持されているケースが多いように思います。

ただ、それが本当に骨になっているかどうかは、たぶんほとんどの先生は知らないと思います。

レントゲンではわかりませんし、臨床的に問題がない部分から骨を採取して病理検査に出すということも通常しませんので。。。

調べるチャンスは以前増骨をしたところを含めてフラップを開けることになったのでそのついでとか、あるいは自分自身(や家族)が研究のために犠牲になるとか、かなり限られてしまいます。


ですが、臨床的にうまくいっているケースもありますので、増骨をするかしないかに限って言えば、やらないよりはやったほうがいい
(スペースメイキングの一手段として用いる)と解釈しています。



とは言っても、やはり長期予後に不安もありますので、傾斜埋入だけでいけるのであればそれが一番安心。

もし増骨をしないとインプラントが難しい場合は、吸収のリスクを考えるので、ブリッジとかなり悩むと思います。


でも仮に自分が上1番を失ってしまったとしたら、たぶんブリッジにしますね。
3番を削らないといけないのが難点ですが。。。

失ってしまったものを完全に元に戻すことはできないので、そこは割りきって諦めると思います。



>・本当に増骨ができる歯科医は100人に1人ぐらい

そうかもしれませんね。

ただ、それはテクニックの問題ではなく、

「このケースならいける、これは無理だ」

という判断(診査診断)の部分においての差が大きいと思います。


増骨が比較的しやすいケースであれば誰が(というのは言い過ぎですが)やってもそれなりにいい結果が出やすいと思いますが、

難しいケースであれば、誰がやってもいい結果を出すのは難しいと思います。

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2012-01-11 16:17:13
あと回答2で「アメリカンスタイル」「スカンジナビアンスタイル」という書き方をしましたが、アメリカの先生の中にもスカンジナビアン的な考え方の先生もいらっしゃいますし、その逆もありますので、あくまでもわかりやすく説明するために便宜的に分類しただけ...とお考えください。

自分で読み返していて気になったので(^-^;

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-11 22:14:27
田尾先生

 詳細のご解説ありがとうございました。

>ただ、それが本当に骨になっているかどうかは、たぶんほとんどの先生は知らないと思います。

歯科では、新しい処置法を考えついたら、動物実験してみるといったことはしないのでしょうか?


チタン型インプラントは、違う目的の動物実験で、たまたま骨とチタンがくっつくことが判明されたと聞いたことがあります。増骨法も、歯科大学で動物実験で検証していることはないでしょうか?
回答 回答6
  • 回答者
飯田歯科(堺市南区)の飯田です。
回答日時:2012-01-11 23:10:05
歯科では、新しい処置法を考えついたら、動物実験してみるといったことはしないのでしょうか?

当然多くの動物実験の後で、臨床試験をしていますよ。
多くの製品がとのことで、一部のものはされていないものもありますが・・


骨造成の後に実際に骨になっているかどうかの動物実験も臨床実験もたくさんされています。
多くの臨床家はそれらのデータを基に治療をしています。

骨を造成した後で、インプラントを埋入する部位の骨を取ってきて組織検査をする方法は世界中でされており、実際に骨になっているのが確認されております。私自身も新しい材料を使用する時には同様の方法で組織検査もして骨になっているのも確認しているので、骨造成した後に骨ができるのは事実です。


肝心なのは、できた骨が何年間保持されるかです。

以前は、できた骨は自分の元の骨と同じように維持されると考えられていましたが、増やした骨は徐々に吸収されることがあることが判明してきました。

これが、5年や10年単位なので動物実験では明らかにされなかったのです。
臨床で問題になってきました。


しかし、どのような骨造成は臨床的に問題にならないか、また、どのようなケースが臨床上に問題がでるかもかなりわかってきております。
しっかり勉強されている先生ならばその見極めもできていると思いますよ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-12 00:10:54
飯田先生

早速のご回答ありがとうございました。

>以前は、できた骨は自分の元の骨と同じように維持されると考えられていましたが、増やした骨は徐々に吸収されることがあることが判明してきました。
>これが、5年や10年単位なので動物実験では明らかにされなかったのです。

なるほど ようやく理解できました。 
でも犬とかでしたら10年以上生きますので、大学で、5年、10年単位の経過観察実験もやっておられ、いずれ明らかになっていくのでしょうね。



>しかし、どのような骨造成は臨床的に問題にならないか、また、どのようなケースが臨床上に問題がでるかもかなりわかってきております。
>しっかり勉強されている先生ならばその見極めもできていると思いますよ。

これが増骨に関する技術の差となってでてくるわけですね。

もやもや感がすっきりしました。
ありがとうございました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-12 08:12:41
再びの質問で恐縮です。

審美領域のインプラントの技術の差は、どこからでてくるのでしょうか?

・以前 高田先生より回答頂いたように、歯茎人工歯の間の適合を高度によくし、歯茎の変化に合わせて、5年に一度ぐらいで人工歯を作り直していく

なのでしょうか? それとも

・歯茎が下がっても、インプラントが見えないような、インプラントの入れ方がある

なのでしょうか? はたまた

・歯茎を炎症をおこさないよう清掃性を良くしようとし隙間を開けると、人工歯と歯茎の間に、インプラントが見えてくるのは、しょうがないこと。

なのでしょうか? 単純に

・歯茎と人工歯の間で、インプラントがみえてきたら、人工歯を作り直すことを、繰り返す

なのでしょうか? 
上記以外の何か方策があるのでしょうか?
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-15 11:15:06
諸先生方

インプラント審美領域の長期予後に関する話題は、なかったので、回答いただけましたら幸いです。
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2012-01-15 16:08:48
>保存の先生から、「20年ほど前は、抜髄した後は、大きなコアを入れるというのが主流で、教科書にも、そう書いてあったが、根が割れやすくなることがわかってきたので、今は、大きなコアは入れない」とお聞きしました。

厳密に言うと、この内容は正確ではありません。
ちなみに大学病院でのコアの処置は補綴科が行います。
コアとは、歯冠部の内側の部分になり根管内の部分はポストと呼びます。


当時の教科書的な記述は、ポストの長さの基準として歯根長の3/4〜2/3、または歯冠長同等。
太さは、根管面の1/3とされています。
つまり、細くて長いことが安全とされていました。

過去に何回か書かせていただいていますが、条件が整い基本に忠実であれば破折はほとんど起こりません。

抜髄根であれば除去する感染歯質はほとんどありません。
この場合のポストは、もともとあった根管の太さとほとんど変わりないか、やや太くなる程度です。

感染根管の場合は、除去する感染歯質も多くポストも太いものになるでしょう。
これは、必要があって行うことです。


では、コアの部分はどうでしょう。
歯冠の欠損の状態によりその大きさは変わります。
メタルコアの場合に厄介なのが、ポストの先まで凸凹がないようにしなければならない点です。
そのために、ポストが細くてもコアは大きくなる場合があります。

この点では、レジンを使用したコア(ポストはファイバーやピン)の方が優れています。




>17年前に上顎の歯が、ほとんど抜髄され、大きなコアを入れられた自分にとっては、なんとも、やりきれない気持ちになりました。

おそらく、ご自分で行う管理や定期的なメンテナンスを心がけていることが想像できます。
実際には、17年保っているのが現状ですから。

歯科医の逃げの言葉に聞こえるかもしれませんが、どんなに基本に忠実でも、最先端の技術を使っても何十年持つと断言はできません。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-16 17:03:31
桜田先生


お忙しい中、回答頂きありがとうございました。

>感染根管の場合は、除去する感染歯質も多くポストも太いものになるでしょう。
>これは、必要があって行うことです。

上顎が、ほとんど抜髄されている状態なのですが、当時振り返るに、痛かった歯は上顎で2本だけで、後はブリッジの支台にするために抜髄されたように思います。 
感染根管だったのは2本の歯だけで、両方とも抜歯されてしましました。


>どんなに基本に忠実でも、最先端の技術を使っても何十年持つと断言はできません。

虫歯歯周病にしない無治療歯の状態を保つことが一番なのでしょうね。。。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-17 10:12:47
諸先生方

よろしければ、返信6に対する御回答も、宜しくお願いいたします。
回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2012-01-20 23:31:43
ご相談ありがとうございます。


>よろしければ、返信6に対する御回答も、宜しくお願いいたします。


この回答はあまり簡単ではありません。
特に上の2番では条件がなかなか揃いません。

また白人などコーカソイドと日本人などモンゴロイドでも全く異なります。
比較すると分かりますが、外国製インプラントを使う場合、日本人にあった計画が必要です。


>・以前 高田先生より回答頂いたように、歯茎人工歯の間の適合を高度によくし、歯茎の変化に合わせて、5年に一度ぐらいで人工歯を作り直していく

なのでしょうか? 


これは境目が3次元的立体的に非常に高度なフィットをした場合ですが、場合によると思います。
また場合によっては何度も外したり、再製したりすると、それが原因でよけい歯ぐきが下がることもあります。

その人の歯肉の性格、顎の骨のゆとり、隣に天然歯があり歯周病がきちんと管理されているか、自浄作用となる歯肉からの分泌が旺盛かどうか、その人の免疫力などの健康度合いなどからも影響を受けます。


少々乱暴に言えば我々から見て頑丈な人は、後の経過も楽です。

セラミックの表面性状や色は多少変化しても天然の歯で20年や30年以上もおそらくもっと永く歯肉の退縮が起きにくいこともよく経験しているからです。

天然の歯のセラミック製かぶせ物では、少なくとも20年・30年はやり直しをしないものです。



>・歯茎が下がっても、インプラントが見えないような、インプラントの入れ方がある

なのでしょうか? 


状況によっては可能だと思います。

ある程度で下がる距離が止まる予想が付けば、その位置までは見えないように設計することですが、初めから大分下がる予想があるならば賢明な設計とは言えません。

その場合はいきなり本物を作るのではなく、ふつうの仮歯とは全く違い、精巧で上等な本物と見違えるほどの仮歯を使いながら歯肉の安定を見極める気長な方法があります。



>・歯茎を炎症をおこさないよう清掃性を良くしようとし隙間を開けると、人工歯と歯茎の間に、インプラントが見えてくるのは、しょうがないこと。

なのでしょうか? 


隙間というのが歯と歯の間であれば、そうとも言えません。
やや別の問題です。

隣との距離の関係もありますが、あまり近すぎると良く下がり、あまり開けすぎると歯肉がきれいにあがってこないこともあるからです。


>・歯茎と人工歯の間で、インプラントがみえてきたら、人工歯を作り直すことを、繰り返す

なのでしょうか? 


もし見えてくるとすれば、治療直後が大きく下がるでしょうから、ある程度落ち着いてから再製すれば、それほどくり返さずにすむかもしれません。

当院で20年以上前に埋めたブローネマルク・インプラント以来長年の治療経過を見ると、昔は根元にチタンのアバットをむき出しにしたものですが、ある程度はやはり下がっても途中でもう止まってしまうことがほとんどです。
またほとんど下がっていない人もいます。



>上記以外の何か方策があるのでしょうか?


埋めてからいろいろ工夫しても手遅れです。
もしやり直しが必要になるほど不適切であれば、必ず当初から適切な設計の治療結果とはほど遠くなり、時にはとんでもないトラブルになりマイナスが増えてしまうこともあります。

人工歯を作る以前に、インプラントを埋める位置の状況を確認すれば、適切なインプラントの埋入で予め下がらない計画が立てられる可能性があります。

額堤の形態、厚み、歯槽頂の骨質、隣在歯の歯周病や歯肉の厚み・付着・形態等の状況、唾液の分泌量、臼歯咬合安定性、前歯の被蓋状況、インプラント埋入位置と方向、特に唇側面の位置と骨の厚み、埋入インプラントの形状・直径・表明性状・表面性質・上部のマクロ構造・アバットの接合メカニズム・アバットの材質・形態、クラウンとアバットの位置関係、前歯の排列、歯周病治療の成績、天然歯のカリエスコントロール、メインテナンス予想、生活習慣、などの条件が良ければあまり下がらないか、下がっても途中で進行が止まるか、むしろ歯肉があがって隙間を天然歯のように塞ぐ方向に増えるかなどの予想が立つこともあります。


結論として理想を言えば、インプラント治療・歯周病治療・むし歯予防・補綴技術と優秀な技工士さんや歯科衛生士と共に、どこかに偏ることなくバランスが取れた総合的に適切な診断と治療計画と実施手腕と経験をそろえることです。

回答 回答9
  • 回答者
飯田歯科(堺市南区)の飯田です。
回答日時:2012-01-21 00:55:22
さがら先生の意見と同意見です。

大切なのはインプラントの外側に十分な骨と軟組織(歯肉)を安定させることができれば長期間審美性を維持することができることが世界的な規模の研究でもわかっております。

(3年くらい前にI.T.I.という世界規模のインプラント研究でのトリートメントガイドが発表されております。
そこで審美修復に関しての細かい記述もされていますのでその本を読んでいてある程度の経験があれば後は本人の状況で審美達成度の判別もできます。
この難易度についてもI.T.Iにて出版済みです。)


現在の医療レベルであれば、ある程度勉強して経験のある先生ならば心配ないとは思います。

もちろん、歯ブラシの状況や指導は大変重要ですのでメインテナンスもしっかりしている体制のある医院を選んで下さい。
本人の健康状態、例えば喫煙や歯周病の状態もろもろも重要ですが、さがら先生のコメントにかぶるので省略します。


後、仮の歯で歯肉の反応状況をみて最終の補綴形態を決定するのも大切ですので、審美性を求めるならばこれも重要なファクターになります。


長々なりましたが、ご参考になれば幸いです。
審美の専門的な細かい内容を追求すると10時間以上の長い話になりますので、素人にもわかりやすい要点を述べたつもりですが・・

わかりにくい個所があればまたご質問下さいね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 雅史さん
返信日時:2012-01-24 19:42:48
さがら先生 飯田先生

詳細かつ丁寧なご回答誠にありがとうございました。
またお返事おくれ申し訳けないです。

審美ともうしましても、私の求めるレベルは、芸能人のような歯になりたいではなく、にっと笑った時にインプラントのフィクスチャが見えるのは、かなわんなぁと思う程度のものです。

両先生のご回答読み、勉強と経験を積んだ先生の元で施術を受け、メンテナンスをしっかりすることで、極端にフィクスチャが目立つようなことは避けられると実感し安心できました。



>結論として理想を言えば、インプラント治療・歯周病治療むし歯予防・補綴技術と優秀な技工士さんや歯科衛生士と共に、どこかに偏ることなくバランスが取れた総合的に適切な診断と治療計画と実施手腕と経験をそろえることです。

上記を1人で兼ね備えた歯医者さんを、素人の患者が見つけるのはとても難しいことですね。 
かといってチーム医療はチーム医療でまた違った難しさがあるようですし。


現在の主治医の先生のもとで治療を続けていき、主治医の先生では左上2番、右上6番のインプラントに対応できないとなった時には紹介して頂くといった感じで、今後の治療を進めていきたいと思います。




回答頂きました、全ての先生方に感謝いたします。



タイトル インプラントの技術の差はどこからでてくるのでしょうか?
質問者 雅史さん
地域 非公開
年齢 46歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ インプラント治療法
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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